- 2019年03月26日 10:04
親の意見が気になって、自分らしい就活ができない──悩める就活生が、臨床心理士の信田さんに相談してみた
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就活を控え、自分の将来のキャリアを考えるとき、親の顔が浮かんでしまう。親が望む道を選ぶべきか、自分の行きたい道を選ぶべきか──。親との関係性も良好に築いていきたいけれど、自分を曲げて後悔をしたくない。親の意見と自分の意思との間で悩んでいる人もいるかもしれません。
サイボウズ式でインターンをしている大学生のみっちゃんも、その間で揺れるひとり。地方出身の彼女は、母親から「東京の大学を卒業したら地元に戻って、公務員になりなさい」と言われています。親に、経済的にも精神的にも依存している今、就活をどういう風に進めていけばいいのか、悩んでいます。
そんな悩みを親子関係の問題に関するカウンセリングを行っている臨床心理士・信田さよ子さんにぶつけてみました。親への依存から抜け出し、後悔しない選択をするためには、どうすればよいのでしょうか?
やりたいことを考える前に親の顔が浮かんでしまう

みっちゃん
私は今、母親との関係性について悩んでいて、今日は信田さんのお話をお伺いしたくて来ました。

信田 さよ子
何に悩んでいるの?

信田さよ子(のぶた・さよこ)。1946年岐阜県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部哲学科卒業、同大学院修士課程家政学研究科児童学専攻修了。臨床心理士。駒木野病院勤務、CIAP原宿相談室勤務を経て1995年 原宿カウンセリングセンター設立、現在に至る。

みっちゃん
「母親の意見に従わなくてはいけない」という、謎の恐怖心があるんです。大学を卒業したら東京で就職したいと思っているんですが、母には「東京で就職したら、縁を切る」と言われていて……。
どうしても、自分のやりたいことよりも先に親の顔が浮かんでしまうんです。

信田 さよ子
なんでお母さんは、みっちゃんを東京に行かせたくないんでしょうね。

みっちゃん
私の親戚は、ほとんど全員が地元に住んでいることもあり、母は、とにかく家族が近くにいることに価値を置いているんです。
たとえば大学に進学するときも、東京のいい大学へ行くよりも実家から通える大学へ行ってほしい、と。

信田 さよ子
それはなぜでしょう?

みっちゃん
親として、遠くにいると感じ取れないことも、近くにいれば感じ取れると思っているのかもしれません。小さい頃、私がいじめられていたことに気づくのが遅れたことも気にしているようです。


信田 さよ子
娘の自己防衛能力を信じていないわけですね。
お母さんは地元の親族中心のコミュニティの中だけで、荒波にもまれることもなく安全な人生を歩んできたのかもしれませんね。それが幸せだったから、娘にも同じような道を歩んでほしいと思っている。

みっちゃん
私も東京へ出てくるまでは、母親の価値観を信じていたので、それがいいと思っていたんです。でも実際に東京へ出てきて、いろんな価値観があることを知って、もやもやし始めました。

信田 さよ子
お母さんの視点で言えば、禁断の果実を食べてしまったのですね。
親の意思だけではすぐに変えられない事実を無理にでもつくる

信田 さよ子
具体的には、何を一番恐れているんですか?

みっちゃん
やっぱり、親に縁を切られることが一番怖いです。でも、親に従っても自分自身が幸せになれないし、親を変えることもいろいろ試したけれど難しくって。どうすればいいのかわからないです。


信田 さよ子
「親と縁を切る」「親に従う」「親を変える」以外の選択肢もありますよ。

みっちゃん
えっ?

信田 さよ子
まず、東京に行く理由になる「決定打」をつくってみましょう。そのときは、「やりたいことができた」などという内的要因ではなく、外的要因にすることがポイントです。
たとえば、東京でしか就職先が決まらなかったとか、熱烈に企業からスカウトを受けた、とか。

みっちゃん
なるほど……。

信田 さよ子
内的要因では、言いくるめられてしまうこともあるでしょう? だから、親の意思だけではすぐに変えられない事実を無理にでもつくってみることも、ひとつの方法だと思いますよ。


みっちゃん
考えたことがなかったです。

信田 さよ子
結局、完ぺきな解決方法はなくて、最終的には自分の意見をどこまで通すかです。
それに、親は自分が示した道を子どもが選ばなかったことで、機嫌を損ねるかもしれないけれど、縁を切るなんてなかなかできない。ある種の脅しだと思いますよ。
どれだけ言っても子どもを変えることができないということに気がついたら、認めてくれることも多いと思います。



