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"会社に使われるだけの人"に共通する欠点

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■会社にある「資源」を活用しよう

サラリーマンを辞めて自分のめざす道へと転身した人たちがいる。そば屋を開業、社会保険労務士で独立、ボランティア活動に取り組むなどなど。私が取材した彼らは、ゴールを自らの意志で積極的に早め、会社員というIDに頼らない道を60歳になる前から歩みはじめている。また、同じ会社で長期間勤めながら、50代以降になってもイキイキと仕事を続けて、定年後の展望を明確にもっている人たちもいる。

楠木 新『会社に使われる人 会社を使う人』(角川新書)

転身後や定年後を“いい顔”で過ごしている人の大半は例外なく、サラリーマンをやりながら、“もう一人の自分”をつくってきた人たちだ。もっと踏み込んだ言い方をすれば、サラリーマンという立場を活用し、会社の資源を存分に使って主体性を育んだ人が多い。

いわずもがなだが、会社の資源を使うといっても、お金を着服したり、会社の情報を利用してサイドビジネスを始めたりすることではない。それでは、“もう一人の自分”をもつ前に人生をしくじってしまう。会社には定年後の人生を豊かにしてくれる資源が山のようにある。

そのポイントは、「多くの人に出会えること」「会社の仕事が社会とつながっていること」だ。『会社に使われる人 会社を使う人』(角川新書)には、その具体的な内容を書いている。

■「会社に使われるだけの人」にならないために

ただし、これらの職場にあふれている資源(“宝”)の価値に気づかないままであれば、「会社に使われるだけの人」になってしまう。その価値に気づき、自ら主体的に動き出せば、「会社を使う人」「自ら輝く人」になれる。

さらに大切なことは、会社の仕事の質や効率も向上するということだ。それが取材した人たちから私がくみ取った、定年後の人生に表れる差の根源なのである。

日本のサラリーマンは会社と対峙(たいじ)しているのではなく、ある意味で会社と絡んで一体となっている人が多い。その関係のなかで会社を否定すれば、自分を否定することにもなる。会社とはあくまでも、共存共栄をめざさなければならないのだ。

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楠木 新(くすのき・あらた)

人事・キャリアコンサルタント

1979年 京都大学法学部卒業後、生命保険会社に入社。人事・労務関係を中心に、経営企画、支社長等を経験。勤務と並行して、「働く意味」をテーマに取材・執筆に取り組む。2015年3月定年退職。現在、神戸松蔭女子学院大学教授。『人事部は見ている。』(日経プレミアシリーズ)、『定年後』『定年準備』(いずれも中公新書)など著書多数。19年2月、『会社に使われる人 会社を使う人』 (角川新書)を出版。

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(人事・キャリアコンサルタント 楠木 新 写真=iStock.com)

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