記事

期待外れギャンブル依存症対策に今すぐパブコメを!

1/2
カジノ(イメージ) 出典:Pexel; Tookapic

田中紀子(ギャンブル依存症問題を考える会代表)

【まとめ】

内閣官房、「ギャンブル等依存症対策基本法」策定に必要な人員排除。

・ギャンブル等依存症対策は本質を見ず、IR法案対策となりつつある。

・依存症対策基本法に4つの問題点有り。パブコメで意見表明を。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイト(https://japan-indepth.jp/?p=44855)でお読み下さい。】

昨年度、大騒ぎをして通過した法案の一つにIRカジノ法案があるが、あの法案を通す推進派の言い訳に「ギャンブル依存症対策をしっかりやる!」の大合唱があったことを、皆さん覚えておられるだろうか?

もちろん我々は、カジノを作ることにもろ手をあげて賛成などできないが、今まで顧みられることのなかったギャンブル依存症対策が、これで前進するのでは?と、大いに期待するところであった。

確かに現在、厚生労働省や文部科学省そして金融庁、消費者庁らが、前向きにギャンブル依存症の当事者・家族の思いをうけ、様々な対策を講じてくれるようになったが、信じられないことに「ギャンブル等依存症対策基本法」の策定に関わる、肝心の内閣官房が徹底的なギャンブル産業つまり既得権の擁護、および当事者・家族の切り捨てにかかってきたのには、驚き、困惑、そして失望しかない。このまま内閣官房が、さらなるギャンブル産業を発展させようと動き出すことには、大いなる警鐘を鳴らしたいと思う。

まず内閣官房のホームページでギャンブル等依存症対策基本法の関係者会議のHPをご覧いただきたい。関係者会議は2019年2月20日に突然公開の通知もなく行われた。

アルコールの健康障害対策基本法では、あらかじめ日程が発表され、会議の公開のお知らせがなされたのに、このやり方にも驚いた。

そして関係者会議のメンバー表を見ていただきたい。ギャンブル等依存症対策基本法にもIR(カジノ)法案にも「当事者・家族の代表に意見を聞く」という文言があるにも関わらず、なんと当事者・家族の全国を縦断する予防啓発、相談支援を行っている団体を排除してきたのである。

ギャンブルで予防啓発、相談支援を全国にまたがり活動しているのは、私たち「公益社団法人 ギャンブル依存症問題を考える会」、もしくは「NPO法人 全国ギャンブル依存症家族の会」しかない。だから当然この二つの団体のどちらかを関係者会議に入れなければ、現在、全国でどのようなギャンブル依存症問題が起きているか?当事者・家族はどんな支援を求めているのか?医療や行政の支援にどのような連携が必要か?支援の手薄な地域はどのようなところか?などなど、現状の課題と問題点を全国規模で把握しているのはこの2団体しかない。そしてこの2団体はつねに連携し、身銭を切って支援に駆けずり回っているのである。

しかも私たちは、ギャンブル依存症対策推進のためにご尽力下さった与野党の先生方全員から関係者会議へのご推挙を頂いていたのだが、その先生方にも会議のメンバーはギリギリまで「まだ決まっていない」という回答一辺倒で、我々2団体の誰もメンバーに入れなかったのである。これには与野党の先生方も驚いておられた

そして言い訳的に一個人の当事者・及び家族をメンバーに入れてきたのである。もちろん個人の方を入れても構わないが、当然に全国を縦断した団体の代表も入れなければ、現状の問題も課題も解決されるわけがない。これは、アルコールの健康障害対策基本法に公益社団法人全日本断酒連盟さんを排除して作成するようなものである。それでどうやって当事者・家族のニーズにこたえることができようか。

さらに驚いたことには、こうして当事者・家族の団体の参加を認めなかったばかりか、ギャンブル産業側からは、パチンコ、競馬、競艇の団体の長、合計3名もが会議のメンバーになっていたのである。そしてギャンブル依存症の回復施設も2つ入っているが、そのうちの1つはパチンコ団体からの支援を受けている団体である。

言っておくが関係者会議には、これらギャンブル産業の管轄省庁も参加しているのであって、当事者・家族団体ゼロに対し、ギャンブル産業の代表3名及びギャンブル管轄省庁が加わっているのである。

また大きな問題点はもう一つあり、日弁連からどなたもメンバーに入らなかったことは我々にとっても大きな打撃である。うがった見方をすれば日弁連はIR(カジノ)法案に徹頭徹尾反対されてこられたことも影響したのかと思う。ギャンブル問題はその大半を金銭問題が占めるわけであり、さらに現在重篤な遅れを示しているのはギャンブル依存症者による刑事事件つまり司法との関係なのである。日弁連も、ギャンブル依存症問題に対する課題を度々提起されており、また我々も司法の理解を切望していたのだが、ここで完全に意見が取り入れられる目はつぶされてしまった。

そして内閣官房が初日に用意してきた、会議資料にはギャンブル依存症対策が世間で叫ばれるようになってから、ほんの言い訳程度に進めてきたギャンブル産業側の強化策がもっともらしく羅列された資料のみが提出され、現状に対する問題点や課題について触れた当事者・家族団体による要望やレポート等の資料は提出されないどころか聞き取りすらされなかったのである。

その上、会議の日程も危惧していた通り、ギャンブル等依存症対悪基本法は、わずか4回の会議で終了となるのである。4回のうち1回は委員の自己紹介、2回目で資料配布3回目で意見の取りまとめ、4回目で決定と中身について話し合われるのはわずか1回であり、そこでもし課題が提起されたとしても、参考人が招致されることも、関係団体の意見聴取も一切なされないのである。

議事録を見て頂ければお分かり頂けると思うが、会議の中味はわずか2時間。冒頭の説明で大半の時間を使い、発言していない委員もいる。アルコール健康障害対策基本法は、関係者会議は30回を超え、2年間かけて話し合われそれぞれワーキンググループまで作られたことを鑑みると、ギャンブル等依存症対策基本法がいかに骨抜きかお分かりいただけることと思う。

菅官房長官は「5月のギャンブル依存症啓発週間に間に合わせる」といかにもな理由付けを発表していたが、アルコールの啓発週間は基本法が策定されなくとも関係者会議と同時並行で実施されており、関係者会議の長さと啓発週間の実施は阻害するものではないのである。

このようにギャンブル等依存症対策は、あくまでもこの後に控えるIR(カジノ)法案の言い訳対策にすぎず、内閣官房はギャンブル産業側の既得権を守ることを重視し、ギャンブル依存症対策は問題点を封じ込み、さっさと終わらせることしか考えていなかったとしか思えない状況にある。

しかしながら、我々は内閣官房がどんなにギャンブル産業側の既得権者への擁護しか考えていないと思える状況にあっても、依存症対策を前に進め、ギャンブル産業が利益を増大させ、その負の側面であるギャンブル依存症問題は国民の税金にツケを回している愚策をなんとか一歩でも前進させ、ギャンブル産業を許可する諸外国が当然に行っている受益者負担を実現し、欧米諸国並みのギャンブル依存症対策を実現させるべく、前進するしかないのである。それができない現状がある限り、この上新たなギャンブル産業を許可するカジノを推進することは時期尚早であるとはっきり申し上げておく。

そして国民の皆様に是非お願いしたいことは、3月26日までこちらのサイトパブリックコメントを募集しているので、今から私が絶対に外せないギャンブル等依存症対策基本法の問題点を掲げるのでそれも参考にしていただき、パブリックコメントをどしどし入れていただき、内閣官房がギャンブル産業に忖度し、国民にツケを押し付けているような現状を改善できるようどうかお力を貸して頂きたい。

あわせて読みたい

「ギャンブル」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    企業の短命化で「高学歴」が仇に

    内藤忍

  2. 2

    堀江氏「ヤクザはグイグイくる」

    NEWSポストセブン

  3. 3

    テレ朝は宮迫の降板を決断すべき

    渡邉裕二

  4. 4

    年金の仕組み知らない国民に呆れ

    永江一石

  5. 5

    橋下氏がネット番組批判「虚偽」

    橋下徹

  6. 6

    はあちゅう AV男優の夫もつ心境

    AbemaTIMES

  7. 7

    橋下氏 戸籍晒し巡り雑誌に怒り

    橋下徹

  8. 8

    上田晋也の政権批判番組が終了へ

    女性自身

  9. 9

    G20の日韓会談「何も決まらず」

    ロイター

  10. 10

    予算委の審議拒否は参院選争点に

    立憲民主党

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。