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風呂に入らず、昼夜逆転も、私のひきこもりが自然に終わった理由

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復帰を焦らされ

 そんな生活を続けていましたが、小6の春か夏ごろに、今までがんばって張りつめていたものがパチンと切れてひきこもりました。お風呂にすら入らず、昼間は寝ていました。食事も冷蔵庫のものを全部食べる日もあれば、一日中何も食べない日もありました。

――なんで昼夜逆転しちゃうんでしょうか。

 朝は一般社会の動き出すときだからイヤなんです。自分と同じくらいの年齢の子たちが目の前の道路を通ったりするから。でも夜は静かで「こうしなきゃいけない」のある世の中からちょっと離れた感じがするんです。

 みんなとちがう世界にいられる夜は居心地がよいので、自然に昼夜逆転していきました。

 朝食の準備をしている母に、夜中のテレビやラジオ番組の内容を話し続け「あぁスッキリした! 寝るわ」と言って自分の部屋にこもる生活でしたね。

 母は「そうなんだ」「へぇ」と言って、ただ聞いてくれていました。今思い返してみると、どんなときも母は何も言わなかったですね。どんなに長いあいだ、お風呂に入ってなくても「お風呂に入ったら」とは言わなかったです。

――お母さんが聞くだけでいてくれたんですね。

 母がすべてを受けいれてくれたので、落ち着きましたね。だからひきこもっていた時間は、今の自分のことを精いっぱい考えられた時間でした。ひきこもって本当によかったと思っています。あのまま流されるままに生きていたら、手首を切っていたんじゃないかなと思います。

 私は不登校だけでなく、ひきこもりも肯定しています。ひきこもりって「健全なひきこもり」と「不健全なひきこもり」があると思うんです。健全なひきこもりは家のなかを居心地よく感じていて、自由にすごせます。

 一方で「ちゃんとしなさい」とか「いつまで寝てるの」という空気が家のなかにあって、子どもが追いつめられちゃうのはひきこもりのほうが「不健全だな」と。

 事件で見聞きするようなひきこもりは「不健全さ」ゆえに追いつめられたからだと思っています。

親の気持ちが外に向かうと

――でも不登校で子どもが家にいると親もストレスがたまります。将来の見えない不安もあるし……、どうしたらいいんでしょう。

 私がひきこもったころ、母は親の会を立ち上げたんです。その親の会などで学んでいたんだと思います。

 それと母は押し花が好きで、家にいないことも多かったんですね。家でも外でもいつも楽しそうにしている母の姿を見ていました。だからお母さんは家にいないほうがよいと思うんですよね。

 お母さんは好きなことのために家にいない、子どもは家や安心できる居場所ですごすというのがベストじゃないでしょうか。

――ひきこもりはどうやって終わったんですか。

 自然に終わりました。小6の春に、兄と楽しく遊んでいたころの夢を見たんです。目が覚めて「楽しいときがあったなぁ」と思い、兄弟で遊ぶために外に出てみたんです。

 こんなふうにパッと外に出られたのは「ゆっくり休めた」からだと思っています。ひきこもってゆっくり休めたからこそ、外に出られたんですよね。

 ひきこもりを終えてから「○○しなきゃいけない」という気持ちは、少しやわらいでいました。給食登校をしなくてもいい、適応指導教室だけですごしてもいい。そう思えるようになり、中学生時代は、家と適応指導教室と学校、3つの場を行き来していました。

学校を休んでも大丈夫だよ

――最後に不登校や学校に行きたくない子に向けてメッセージをお願いします。

 学校は休んでいいよってことですね。でも、そういう子たちってどんなこと言われても届かないと思うんですよね。だから保護者の方に向けてのメッセージにします! 

 学校に行かなくても、大人になる道はいくらでもあることを伝えたいです。内申書がなくても受けられる高校はたくさんありますし、私が卒業した高校は入学試験もありませんでした。フリースクールという道だってある。もし学歴が心配だったら「高等学校卒業程度認定試験」もありますね。

 高校へ行かずに就職している大人や、フリースクールに通ったことで不登校を1ミリも否定的に捉えていない人もたくさんいます。それに学歴をつけなくても安心できる居場所で安心できる仲間たちとすごしていたら、いくらでも楽しい大人になれるんです。

 楽しくすごしていた人は、どこに行っても楽しめるから平気なんですよね。子どもは自分のことを自分でちゃんと考えて、自分に合った道を自分で探します。

 だから保護者の方も、情報収集をして高校以外にも進める道がたくさんあることを知ってほしいです。

――ありがとうございました。(聞き手・赤沼美里)

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