- 2019年03月23日 11:15
移民流入なら日本人の雇用はむしろ増える
2/2■トランプ政権は「疑惑のメガ・モール」
この通り、意外に思われるかもしれませんが、移民が納税する額は、移民が受ける社会保障の額を上回り、国の財政へ利益をもたらすことの方が多いのです。
まあ、考えてみれば当然の結果かもしれません。移民は、教育費などで税金がかかる幼少期を母国で過ごしてから、生産力のある大人として仕事をしに来るものですから。
では、助けを求めに来る難民についてはどうでしょうか? 実は2017年にアメリカ政府がその計算をしています。過去10年間で難民が納税した額から、難民が受けた公的サービスなどの政府出資額を引いたところ、これも630億ドル(約7兆円)の黒字だということがわかりました。難民も経済に貢献しているのです。
しかし、そうとわかっていても、トランプ政権は納税額の数字を無視し、出資額だけにスポットを当て、アンチ難民の感情を煽あおっています。その情報操作も発覚してニュースになっていますが、まあ、現政権のスキャンダルの中ではマイナー過ぎる話題で、あまり注目されていません。日本で政治家を「疑惑のデパート」と呼ぶことがありましたが、規模が違います。トランプ政権は「疑惑のデパート」どころか、「疑惑のフードコート」や「疑惑のスーパー」などもすべて寄せ集めた「疑惑のメガ・モール」とでも言うべきでしょうか。
■外国人受け入れが日本社会にもたらすもの
このように、移民・難民は治安や財政に貢献しているようですが、考えてみれば、外国人がもたらすものはそれだけではありませんよね。
例えば、外国人が日本社会に入ることで彼らの国とのつながりができます。彼らは自分の生まれ育った国のライフスタイルやニーズも掌握しており、当事者ならではの情報や見解を握っているのです。グローバル化を目指す企業などに重宝されて然しかるべきです。
さらに日本人とは違う教育を受けてきた外国人の発想で、日本国内のアイディアが多様化し新しい商品開発につながるなど、世界市場を視野に入れた事業展開も可能になると思います。もちろん外国人が持ち込む食・音楽・文学などの文化的な要素も大きいでしょう。
一般的なイメージや政治家のレトリックに反するかもしれませんが、移民の受け入れは、その国の職を減らすのではなく、職を増やす効果があるのです。移民によって労働人口も消費人口も増え、国内需要も増えますから、国内市場は大きくなります。消費の増大によって新たな雇用も創出され、結果的に経済成長が促されると考えられるのです。
■イメージだけで議論しない
日本のように、労働者だけを受け入れるケースもそうですが、扶養家族をも受け入れる本格的な移民制度では、外国人労働者は自国への仕送りより、日本にいる家族にお金をかけるようになり、さらに経済を刺激します。

実際に1990年代半ばから移民の人口比率を増やしたスペインは、移民の流入によって高い経済成長を達成しましたが、2008年までは失業率も上がっていません(08年以降は深刻な金融危機によって経済が低迷し、失業率も大幅に増えていますが、移民政策の問題ではありません)。
こういうデータや具体的な事例はたくさん存在するのに、移民・難民問題はよく「イメージ」だけで語られてしまいます。でも、そのイメージには思い込み、先入観、固定概念などの「バイアス」がかかっているかもしれません。もし「バイアス」がかかっているようならば、なるべくそれを外し、視野を広げ、事実を把握してから日本の未来を形作る議論に挑むべきではないでしょうか。
(お笑い芸人 パトリック・ハーラン)
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