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トランスジェンダーに断種求める法の改正を

記者会見の様子 ©Japan In-depth編集部

Japan In-depth編集部(佐藤瑞季)

【まとめ】

・ヒューマン・ライツ・ウォッチ、トランスジェンダーに対する人権侵害に関する報告書提出。

・日本のトランスジェンダー、性別変更の時、法律上不妊手術が必要。

・土井代表、不妊手術を求める法律の改正を要請。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合は、Japan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=44821でお読みください。】

3月20日、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは、日本の性別認定制度の人権侵害の実態を明らかにする報告書を提出した。

トランスジェンダーとは、心と体の性が一致していない人をさす言葉。彼らの中には性転換するための外科手術を望まない人も含まれる。日本では、法律上の性別の変更を望むトランスジェンダーの人々は性同一性障害者特例法により家庭裁判所に審判を請求する必要がある。

彼らは性同一性障害の診断書を提出し

1.20歳以上であること、

2.現に婚姻をしていないこと、

3.現に未成年の子がいないこと、

4.生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること、

5.その身体についてほかの性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること

という5つの要件を満たしていなければならない。

つまり、法律上、断種手術を受けない限り、性別の変更ができない状態なのだ。日本では同性婚を認めていないため、結婚には手術が必要不可欠だ。だが、手術は不可逆的で体への負担も非常に大きい。

報告書「高すぎるハードル:日本の法律上の性別認定制度におけるトランスジェンダーへの人権侵害」は、日本に住むトランスジェンダー48名・弁護士、医療提供者、研究者などの専門家へのインタビューをもとに作成され、日本の政策は人権侵害そのものであり、当事者を大きく傷つけていると指摘した。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ代表の土井香苗氏は「日本政府はトランスジェンダーの人々の権利を尊重し、法律上の認定要件として、手術を強制することをやめるべきだ。同制度は性自認をいわゆる『精神疾患』とする時代遅れの前提に基づいており、早急な改正が必要である」と話した。

▲写真 土井香苗氏 ©Japan In-depth編集部

日本の法制度の現状は、海外と比較しても遅れているのだという。同報告書の執筆者であり、ヒューマン・ライツ・ウォッチのLGBTの権利プログラム調査員のカイル・ナイト氏は「最近まで進行具合が日本と同程度であった国も改正されてきている。制度が早いスピードで変わっている最中。ヒューマン・ライツ・ウォッチとして、この報告書をもとに提言などを出し、働きかけていきたい。」と意欲を示した。

記者会見に出席したNPO法人 東京レインボープライド 共同代表でトランスジェンダーの男性である杉山文野さんは、「精子提供を受け、パートナーの女性との間に子どもをもうけた。毎日、オムツを替えたり、ミルクをあげたりしている。そんな日常に幸せを感じている一方で、書類上では何の関係もないことへの不安も大きい。パートナーは戸籍上ではシングルマザーということになっている。僕に何かあった時に、子どもとパートナーはどうなってしまうのか。」と訴えた。

杉山さんは乳房切除手術を受けたが、子宮摘出手術は受けていない。「自分が手術をしたいのか、社会に手術をしたいと思わされているのかを何度も考えた。乳房は外から見えるし、常に自分の目に入ってくるので、耐えられず、切断した。子宮については、日常生活に影響がないので、手術をしていない。やはり、制度のために手術するのはおかしい。中には結婚するために手術を受けて後から離婚をして後悔する例もある。」

また、(不妊手術を受けていないことで戸籍上は男性になっていない)自身が子どもを持つことになった際に、メディアに多く取り上げられたことに触れ、「これだけ話題になってしまうのが今の現状。活動家になりたいと思っているわけではない。」、「多様化が重要。ルールが現実に合っていくことが大切だ。少しでも現実を知ってもらうきっかけになれば。」と話した。

子ども、パートナーとの関係・生活以外でも不自由は多い。杉野さんは戸籍上の性が女性であることで、入国できなかったこともあるという。

ここ数年でLGBTという言葉はだいぶ浸透してきたように感じる。筆者の周りでもLGBTであることを公表している人も多い。しかし、誰もが生きやすい社会にはまだまだ程遠い。愛する人と結婚し、子どもを持ちたい。そんな希望を持った時、誰でも当たり前に叶えることができる社会になって欲しい。

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