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韓国人はなぜ今「日本叩き」に躍起になっているのか

反日がエスカレートしている(AFP=時事)

 北朝鮮との融和ムードが高まる韓国だが、日本との関係は最悪だ。ほとんど言いがかりのような内容も含み、日韓関係を壊しかねない勢いで反日が盛り上がっている。これまでに200回以上韓国を訪れている経営コンサルタントの大前研一氏が、なぜ今、「日本叩き」がいつになく盛り上がっているのか、その背景を分析する。

 * * *

 日韓関係は日増しに冷え込み、改善の兆しが全く見えない。韓国大法院(最高裁)が日本企業に賠償を命じた「元徴用工」訴訟問題や日韓合意に基づく元慰安婦のための財団の解散、海上自衛隊P-1哨戒機に対する韓国海軍駆逐艦の火器管制レーダー照射問題に加え、文喜相国会議長が元慰安婦への謝罪は「天皇が望ましい」「その方は戦争犯罪の主犯の息子」などと発言したことで、日本の対韓世論は悪化の一途をたどっている。

 韓国の反日運動は今に始まったわけではないが、このところ立て続けに日本に難癖や言いがかりをつけているのは、歴史教科書問題や竹島問題のような日本側の動きに対する反発というよりも、「韓国発」の盛り上がりである。

 たとえば、慶尚南道教育庁は庁舎前にあった日本の学名がついたヒノキ科の常緑針葉樹「カイヅカイブキ」を別の場所に移し、その跡地に韓国固有の松を植えた。「カイヅカイブキは日帝時代の残滓」と指摘する韓国メディアの報道が続いたからだという。

 また、忠清南道教育庁は道内の小中学校・高校29校に掲示されていた日本人校長の写真や日章旗、刀を差した日本人教師の写真を撤去する、と報じられた。こちらも理由は「日帝残滓の清算」である。

 なぜ、いま韓国でこれほど反日運動が激しくなっているのか? その背景には、北朝鮮との南北統一に向けた文大統領をはじめとする韓国人の高揚感がある。

◆戦後一番の高揚感

 文大統領は今回の米朝首脳会談を前にしたトランプ大統領との電話会談で、南北の鉄道・道路連結や経済協力事業の活用を申し出た、と報じられている。事実上の制裁緩和につながることを米朝首脳会談の議題にするよう提案したのである。

 もし、文大統領の思惑通りに南北統一へと進んだら「ユナイテッド・コリア」として南北連合政府を作ることになるだろう。だが、今のところ、その統治機構がどのような形になるのか、という絵は全く描けない。北朝鮮でも民主的な選挙でユナイテッド・コリアのトップを選ぶことになり、南北の鉄道・道路が連結されて人や情報の交流が進めば、いずれ国民の本音が出てくるはずだ。となると“暴君”の金委員長が北の代表に選ばれることはないだろう。

 金委員長もそれが分かっているから、アメリカに対して「体制の保障」を要求し、かつてのカンボジアのシアヌーク国王のような中国亡命の道を模索しているのではないかと思う。

 そして、そうなれば、韓国に“核付き・金正恩抜きの労働植民地”が転がり込むことになる。言い換えれば、核武装した人口7700万人の南北統一国家が誕生するわけで、その高揚感が現在の「日本恐るるに足らず」という気運の高まりにつながっているのだ。

 私はこれまで仕事や講演などで韓国を200回以上訪れているが、韓国の友人たちと酒を飲むと、酔っ払った彼らは必ず「南北統一が実現すれば、核戦力と安い労働力が自分たちのものになる」というシナリオを口にしていた。それが目の前に見えてきたから、いま韓国で急に反日運動が盛り上がっているのである。

 私は以前、韓国で起きている問題については「放っておいても日本にとって実害はほとんどないし、日本に年間754万人も来てくれるありがたいお客さんなのだから、静観するのが最も賢明な選択だ」と述べた。この主張は、韓国の『中央日報』日本語版(2月11日配信)でも紹介された。

 だが、それは現実を無視すればよいということではない。日本が過剰に反応して非難の応酬を繰り返したり、ビザなし渡航の制限や国交断絶などを叫んだりして火に油を注ぐべきではない、という意味だ。やはりこれも以前、指摘したように、韓国人は自分の国が大嫌いだ。そういう歪んだ劣等感を持つ彼らがこれからどう動くか、冷静に注視すべきなのである。

 なぜなら、統一コリアにとっての“仮想敵”は日本だからだ。核保有国の中国やロシアと喧嘩するはずがないし、統一後に在韓米軍が撤退したら、反米感情も下火になるだろう。となれば、核ミサイルのターゲットは日本しかない。核保有国になることで日本の優位に立ち、いつでも寝首をかくことができるわけだ。その“妄想”があるから、韓国人は戦後70年で最も気分よく高揚しているのだ。

 この現実に日本は危機感を持ち、アメリカはもとより台湾や東南アジア、オーストラリアなどと連携・結束して統一コリアの誕生に備えるべきである。

※週刊ポスト2019年3月29日号

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