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「読書はファッション」の時代になるのか?


ここのところ、日本人の読書について気になるニュースがいくつかありました。

まず、TSUTAYAがレンタルビデオの店を猛烈なスピードで閉店しているという話。

hbol.jp

そして、この動きとは逆に、お洒落カフェ併設の書店出店を拡大していて、2018年にはその売上が過去最高の1330億円になったという話。

prtimes.jp

いっぽう、インターネット広告費が過去最高の1兆7589億円となり、広告費全体の約27%になり、2019年にはテレビ広告費を上回る予想という話。

webtan.impress.co.jp

こちらは少し前の話になりますが、2018年の雑誌・書籍の売上が過去最低の1兆2880億円となり、最盛期の半分を下回る見通しとなったという話。

www.sankei.com

まず、TSUTAYAですが、AmazonプライムビデオやNetflixの影響でレンタルビデオ利用者が激減し、相当経営は苦しいはずです。事業母体であるカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社の2018年3月期の売上は311億円。閉店ラッシュのニュースを見ても、今後この事業は衰退の一途をたどると考えられます。

他方でおしゃれカフェを併設した書店事業は伸びており(といっても全売上の1割未満ですが)、これ以外にもスタバと提携したやはり書店事業、地方自治体と提携して図書館経営事業などは(一時いろいろな問題を起こして話題になりましたが)、順調に数を増やしているようです。

しかし、問題はこの先。

蔦屋書店がいくら売り上げを伸ばしたといっても、雑誌・書籍全体の市場は急速に縮小しています。一部電子書籍の売上は伸びているとはいえ(私も最近はほとんどKindleでしか本を読みません)、雑誌・書籍に替わる読み物として、インターネット情報が普及しているのは誰でも認めるところでしょう。

インターネットで情報を得る人が多くなっているからこそ、企業はインターネット広告にお金を払うのです。

カルチュア・コンビニエンス・クラブ社は、デジタルコンテンツや出版事業も拡大していく計画のようですが、この分野はAmazonをはじめ競合がひしめくレッドオーシャンですから、優位性があるのはやはりお洒落カフェ併設の書店ということになります。

では、そのお洒落カフェ書店というビジネスモデルは、他社も参入してこれからどんどん拡大していくのか?

私にはそう思えません。

蔦屋書店ではないですが、東京に滞在する際に神楽坂で待ち合わせすることがあり、早く着いてしまったときなどブックカフェを利用することがあります。さすが神楽坂だけあって書店のラインナップも玄人好みの店が多いのですが、残念ながらここで何冊も本を購入して読もうとは思いません。たまに訪れて本を買ってもせいぜい1,2冊、紀伊国屋書店などの本物の本屋さんに行くときとは比較にならないのです。

その理由は、カフェ併設なので本選びに集中できないから。日常としての読書や本を選ぶという作業と、非日常のゆったりとお茶を飲んだり人と話をしたりするというまったく違う二つの作業が、私の中で同一空間で長時間共存させられないのだと思います。

逆に蔦屋書店のようなスペースで好んで本を選んだり読書をしたりする人は、本そのものや読書が目的というより、ブックカフェのお洒落で非日常的な雰囲気に浸りたくてそこを訪れるのではないでしょうか。

電子書籍では雑誌に広告費は入りません。その分、雑誌の広告費は減ります。書籍が電子書籍になれば書店の売上は減りますし、Amazonの読み放題のようなサービスに参入する出版社が増えると出版社の売上も減ります。

いっぽう、コンテンツを作るクリエイターである書き手の収入もまた減っています。

私は20代半ばから30代初めにかけて、調べたり取材したりしてそれを書くことで収入を得ていました。ギャラがいいマーケティング調査やコピーライティングの仕事以外に、比較的ギャラが低い書籍や雑誌の仕事もしましたが、私のような無名のライターでも、30年近く前で400時詰め原稿用紙1枚が最低で1,500円程度で通常は3,000円前後、売れている雑誌では5,000円から1万円ということもありました。1文字にあたりに直せば、3.75円から25円。原稿用紙ベースなので、余白スベースもカウントされます。

それが現在、ネットコンテンツなどのライター募集広告をみると、1文字あたり0.5円から1円程度が相場。「高報酬」と謳っている広告でもせいぜい3〜5円。この程度のギャラで仕事をしたい応募者が殺到し、広告を掲載するための多くのインターネット・コンテンツが作られていくわけです。

海外暮らしがそこそこ長い私は、日本人は本当に活字好き、読書好きな国民であるとずっと思っていました。が、昨今帰国すると、本や雑誌を読んでいる人はもはやたいへんなマイノリティになってしまい、スマホを見ている人しか目に入りません。そのうち何割かの人はスマホで文章を読んでいると思いますが、上記のようなライターさんが書いたコンテンツが非常に多いのではないでしょうか。

海外では以前からそうであるように、今後、本物の本の読書という習慣は、一部のマニアの趣味か、もしくは蔦屋書店のようなファッションとしての位置づけに変わっていくのかもしれません。

書き手も読み手も非常に高い水準を維持してきた日本の読書界が、今後どうなっていくのか、これからも注視していきたいと思います。

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