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いわゆる高等教育無償化の論点

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2019年3月14日、衆議院本会議で「大学等における修学の支援に関する法律案」及び「学校教育法等の一部を改正する法律案」が審議入りとなりました。

ここでは大学修学支援法案にしぼり、衆議院本会議で国民民主党・無所属クラブを代表して質問に立たせていただいた折に私から示した論点を以下に整理しました。前向きな制度改正へ、修正案、附帯決議案を準備して議論に臨んでいます。

【我が国には高等教育の無償化を漸進的に進める義務】

我が国は、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」、いわゆる社会権規約の留保を2012年に撤回し、高等教育の無償化を漸進的に進める義務を負っています。

しかしながら現状は、教育分野における公的負担割合が低く、家庭負担が高いことから、経済的理由で大学等への進学を諦めなければならない事態がいまだに起こっていると現場の声が聞こえます。

【希望する全ての子どもに学ぶ機会を】

子どもは、親も、生まれる国も、地域も選べません。生まれながらに恵まれた人と恵まれない人に分かれる。それも自己責任だと言い放つ、そんな冷たい社会を、子どもたちに引き継ぐわけにはいかない。

子どもたちの間に線を引かない。経済状況や生まれた環境に左右されず、希望するすべての子どもたちが学ぶチャンスをつかめる日本にしたい、との観点から法案審議に臨んでいます。

【制度の前進は評価したい】

「大学等における修学の支援に関する法律案」について細かく見ていきます。

昨年12月28日の関係閣僚合意で「高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針」が決定され、2020年度より低所得者に対する給付型奨学金と大学等の授業料減免を拡充することが盛り込まれたことは評価できます。

これまでの授業料等減免は政策による予算執行で行われてきたので、根拠となる法律を作ったことも前進と言えます。

【「一部」無償化では?】

しかし、対象が「真に支援が必要な低所得者世帯」とされ、ほんの一部に限られています。また、今回の対象には、大学院生は入っていません。これで「高等教育の無償化」というのは、少々大げさが過ぎると考えます。

「高等教育の『一部』無償化」というのが、実態を表した言葉です。収入のわずかな差で支援の対象外となった場合、支援対象者と非対象者との差が大きく、大変な不公平感が生ずることになります。将来的に、所得制限のない高等教育の無償化と支援対象の拡大を実現する検討を続ける旨も法律に明記すべきです。

【現在の授業料等減免と新制度にスキマができる?】

現行の授業料減免制度と新制度ではスキマがある点もしっかり見ておかねばなりません。新制度での授業料減免は対象者の状況にもよりますが例えば、両親と子ども一人の世帯の場合、年収目安380万円まで対象となります。満額適用は270万円まで。270万円を超え300万円までになりますと3分の2に、300万円から380万円までになると3分の1になります。

一方、現行の授業料減免では各大学の制度等により380万円を超える収入基準で全額免除、半額免除が実施されています。その財源は国立大学運営費交付金など公費で賄われています。

新制度実施により、380万円を超える世帯、これまで授業料減免を受けられた世帯が対象から外れることとなります。また新制度の恩恵がある収入目安の世帯でも全額免除の適用は法律で確保されていない人々が出てしまいます。

減額免除がないかあるいは適用金額が減る、つまり実質負担が増えるということが起こるのではないか、低所得者層と中間層の分断を生んでしまうことにならないか、と危惧しています。

「税金を納め、保険料を支払い、教育費や介護の費用を支払うと手取りが残らず、貯蓄もない」、そんな経済的に苦しさを感じるまじめな人々こそ、税の再配分で暮らしの底上げ・下支えを図るべきです。教育費負担は中間所得層でも重くのしかかっており、支援対象を現行制度で対象としてきた中間層まで広げるべきです。

具体的には、これまで減免対象だった世帯のうち減免の対象外となる世帯はいくつ出てくるか、各大学に確認しながら現行制度でカバーしてきた部分をしっかり確保すべきだと考えます。

この部分はこれまで文部科学省が国立大学運営費交付金等で政策的に手当てしてきた部分で今後も確保すべき部分です。新制度に伴い、これまでの授業料減免が打ち切りや後退することはないよう法律で配慮する旨法案修正を求めるなど、国としてしっかり対応するよう求めていきます。

【貸与型奨学金の返還困難者救済を】

教育費の負担軽減を論ずる時、現行の貸与型奨学金の返還困難者の救済制度の改善が喫緊の課題ですが、本法案では対応されていません。

2014年度に猶予期間が5年から10年に延長されました。借りたものは返す、が世の中のルールではありますが、現在返還中の方々には現在の現役学生に導入されている「所得連動型返還」(一番少ない返還月額が2,000円)は適用されていません。

3分の1までの減額返済の仕組みまではたどり着いていますが返還のための救済や支援が不十分だと考えます。猶予期間の延長適用とともに、返還中の方々にも所得連動型返還を適用する等、返還困難者の救済へ早急な対応が必要です。

【消費税引き上げと新制度実現】

本法案の趣旨には、「我が国における急速な少子化への対処に寄与する」と書かれており、少子化に対処するための施策として、消費税率引き上げによる財源を活用するとされています。

子どもを産み育てることができるかどうか考える時、ここまで限定された制度が「親となる人」の後押しとなる支援策だと言えるのでしょうか。

なぜ少子化対策なのか、なぜ消費税の使いみちに「教育」を追加しなかったのか、なかなか理解しづらい状況です。心配なのは、仮に消費税率の引き上げがされなかった場合、本法案の内容は実現されるのか、実現を見送るのかという点です。

リーマンショック級の事態が起こらない限り行われる消費税の引き上げを前提にしてこの制度を作ったと文部科学省は説明します。景気後退局面が経済統計等でも明らかになる中、まさかの事態にも検討を加えておかねばなりません。

リーマンショック級の事態が起こった場合にどのように対応するかを本会議質問などでも数度にわたり確認していますが、具体的な答えが返ってきていないのが現状です。

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