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「北の人権問題」で文在寅政権が米国から批判されてしまう理由

米国務省は13日(現地時間)に公開した人権報告書で、北朝鮮における人権侵害について、政治的殺害や強制失踪、当局による拷問、任意拘束などが横行する実態を告発した。ただし、前年にあった「ひどい人権侵害」という表現が削除され、当面の対話相手に若干の「配慮」がなされたとの見方がある。

その一方、韓国については、「政府が北朝鮮との対話に出たことで、脱北者団体は北朝鮮に対する非難を控えるよう直接的・間接的な圧力を政府から受けている」と指摘した。北朝鮮の人権問題を巡り、韓国政府が米国政府に非難される異例の事態である。

報告書は、韓国政府が「平昌(ピョンチャン)冬季五輪を控え、脱北者に接触して北朝鮮に対する批判を控えるよう要請した」と指摘。文在寅政権になって脱北者同志会に対する支援金が止まり、北朝鮮人権財団の設立も遅滞しており、北朝鮮人権担当大使が1年以上空席である状況も憂慮されると指摘した。

この間、韓国で具体的に何があったのか。まず、韓国政府は2018年6月末、正式発足が遅れている北朝鮮人権財団の事務所の賃貸契約を打ち切った。

韓国国会は朴槿恵政権時代の2016年3月、「北朝鮮住民の人権保護と増進に寄与する」ことを趣旨とする北朝鮮人権法を成立させた。法律は第10条で「北朝鮮の人権の実態を調査し、南北人権対話と人道的支援など北朝鮮の人権増進と関連した研究と政策立案」を目的に、北朝鮮人権財団を発足させることを定めている。

ところがその後、理事の人選が難航。15階建てのビルの7〜8階を借り切った1322平米のオフィスは、ほとんど使用されないまま放置され、家賃、管理費、中途解約に伴う違約金、原状回復費用として15億ウォン(約1億5260万円)の税金が無駄遣いされたのだ。

統一省は当時、賃貸契約の打ち切りについて、「さらなる損失を避けるための行政的、実務的措置で、北朝鮮の人権政策とは関係ない」と説明したが、その一方で、人権財団設立に向け積極的にリーダーシップを発揮しているわけでもない。

東亜日報の敏腕記者で、本人も脱北者でもあるチュ・ソンハ氏は、自身のブログに昨年3月22日付で次のように書いた。

「ファン・ジャンヨプ元朝鮮労働党書記が、金大中政府時代の1999年に『脱北者同志会』を作って以降、歴代政府はこの組織の象徴性ゆえに、オフィスの家賃と人件費の一部を支援してきた。19年間にわたり続けられた支援は、現政権の発足1カ月で完全に断たれ、脱北者同志会は一介の民間団体に転落し、有名無実化した。

政府は、平昌五輪に北朝鮮の人々がやってくるや、テ・ヨンホ元公使をはじめとする脱北者たちを『圧迫』して、メディアに登場できないようにした。

統一省が発行する統一教育教材も、今年から北朝鮮の人権と関連した部分を大幅に縮小して『独裁』『世襲』『公開処刑』『政治犯収容所』などの単語と説明がすべて削除された」

非核化に向けた本心は明らかでないながらも、それでも金正恩党委員長は米国との対話に乗り出し、核の放棄に言及している。しかしこれまで、人権問題の改善については、対外的には一見半句も言及していない。

結局のところ、「北朝鮮問題」の本質は人権にあり、あるいは同国を民主化できるかどうかにある。それなくして、信頼に足る非核化も実現しないだろう。北朝鮮に遠慮して人権問題を回避しようとすれば、どこかで必ず自ら「ワナ」にはまることになる。韓国政府の迷走は決して他人事ではなく、日本政府もまた、他山の石とすべきものなのだ。

※デイリーNKジャパンからの転載

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