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統計不正が"アベ忖度"ではない決定的証拠

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■統計は経済運営を正しい方向に導く計器の役割

ここまでの議論をまとめると、下記の3点となろう。

① 2004年から2017年に行われた不正は、厚生労働省の独自判断で行われた。

② 2018年以降の不適切処理は、以前から指摘されてきた統計の不備に対して厚生労働省および総務省・統計委員会が「やっつけ仕事」で対応した結果である(また、多くのエコノミストが「空気を読んで」傍観を決め込んだことも罪深い)。

③ 厚生労働省および総務省・統計委員会は安倍政権に忖度していると言うより、結果において足を引っ張っている。

以上を踏まえつつ、「結局だれが悪いのか」と考えてみると、本当に関係する「全員」に反省すべき過ちがあったことが見えてくる。

既に指摘されているように、統計「不正」の問題は、厚生労働省の職業倫理の欠如、そして自浄作用の欠如という、組織的なガバナンス上の致命的な欠陥を露呈させた。客観的かつ徹底的な真相究明に基づいた組織改革が求められる。

他方、「不適切な処理」に関しては、関係各者全員が不作為の罪を犯していると言わざるを得ない。同処理を行った厚生労働省および承認した総務省・統計委員会に、統計に関するリテラシーが欠如していたことが、今回の問題の発端となったことは事実だ。しかし多くのエコノミストも、建設的批判と代替案の提示を怠ったという点で同罪だ。的外れな批判で国会の貴重な時間を空費している野党も罪深い。

さらに言えば、与党にも非はある。それはもちろん、忖度うんぬんといった、レベルの低い議論についてではない。野党の的外れな批判を一蹴するのは簡単で、共通事業所の詳細データさえ公表すればよいわけだが、今のところそのような動きがみられない点が残念である。関係各者全員が各々の非を認め、本質的かつ建設的な議論が進展することを望んでやまない。

経済統計は、政府が経済政策を行う際や、民間が事業行う際、「意思決定」の根幹を形成するものだ。その意思決定の根拠となる計器が統計に当たる。計器が狂っているとなれば、大事故が発生してもおかしくない。

■不祥事が相次ぐようであれば前提が揺らぐ

また、国外からの信認問題もある。日本国債の格付けや、海外投資家の日本市場への投資行動もやはり、統計の内容と信頼性をベースとしている。日本の統計は比較的信頼度が高い、との評価が一般的であったが、今回のような不祥事が相次ぐようであれば、その前提も揺らぎかねない。

記憶に新しいギリシャの財政危機も、財政関連の統計に不正処理が見つかったことが発端となった。こうした事態を避けるためにも、不正発覚を奇貨として、今度こそ聖域なき統計改革に踏み込むことが求められる。

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小林 俊介(こばやし・しゅんすけ)

大和総研 エコノミスト

2007年東京大学経済学部卒業、大和総研入社。新興国経済・金融市場分析担当を経て、11年より海外大学院派遣留学。米コロンビア大学・英ロンドンスクールオブエコノミクスより修士号取得。13年より日本および世界の経済・金融市場分析を務める。

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(大和総研 エコノミスト 小林 俊介 写真=iStock.com)

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