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「業界の常識を疑え」顔認証ATMを発表したセブン銀行がAIを実用化するまで

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ATMにおける現金マネージメントをAIで最適化

――松橋
「技術と業務の相性を見極めることが大事です。なんでもかんでもディープラーニングではなく、目的に応じて使い分けるなど、ひとつずつ試しながら考えることです」


――松橋
「AI導入は、AIに学習させるデータを作れるかどうかが成功の分岐点になります。これは頭を使わないとできません。ベンダーに提案要請をして終わりではなく、自ら考えることです」

セブン銀行が取り組んだのは、ATMにおける現金マネージメントのAIによる最適化でした。


松橋氏は、NEC the WISEの異種混合学習を活用し、あえてディープラーニングは使わなかったといいます。

――松橋
「ATMの運用担当者が持っているロジックは、最初は数値化できません。そのため、どの変数が予測結果に影響を及ぼしているか把握しておく必要がありました。

何度も担当者にヒアリングを重ね、最初は5年分のデータを使ってパラメータの配分を変えるなどして、チューニングを繰り返しました」


トライアンドエラーによってデータの粒度を高度化していった結果、五十日(ごとおび…毎月5日・10日・15日・20日・25日と、30日のこと)だけでなく、大型上場や桜の開花時期には多くの現金需要があり、ATMの現金残数への影響が大きいことを発見したんだとか。

これらの知見をデータ化して再学習のプロセスを回し、現在は全国のATMへ需要予測のモデルを導入する時期を検討中だといいます。

ATMへのAI導入でセブン銀行が得た知見

ATMへのAI導入の経験から、松橋氏は以下の知見を得たといいます。

――松橋
「一度取得したデータでも、定期的に再編し、学習を繰り返すことが重要です。

再編する前の、漫然と貯まっているデータはAIに最適化されておらず、使えないことが多いので、トライアンドエラーを繰り返して最適化していきました。少ないデータでスモールスタートし、仮説検証を繰り返すことが必要です」


――松橋
「AIが未完成だったとしても、業務部門へのAI導入は有効です。一度導入すると人間の能力が可視化されるので、現状把握の手段としてとてもいい。

導入におけるポイントは、AI専任チームを作らないことです。「AIで何かやらなきゃ」と縛られてしまうので、長期に持続させるためにもチームは後付がいいです」

活動が優先、チームは後付け」の方針は、アメーバ経営を行っているセブン銀行のカルチャー。境界を定めずに、有志を集め「とにかくやってみる」マインドセットが大切だといいます。

関連記事:AI本格導入に向け検討へ。セブン銀行に聞いたAI実証実験の進め方。秘訣は「悩まずしぶとく、やってみる」

――松橋
業界の常識を疑ってみてください。ATMの例で言えば、1年ごとの定期点検をやめることにもチャレンジ中ですが、業界の常識からすればとんでもないことで、そんなことしたら『壊れますよ?』と最初は言われました。

しかし、そこで引き下がらず試してみたら、うまくいきそうだということが分かりました。うまくいかなくても諦めず、『こういうことを実現したい』という未来像を共有しておくのが重要です」

データを集め、検証を繰り返すには数年かかることもあります。愚直に、気長に取り組む姿勢が肝要です。


次の一手は新型ATM。新技術の活用に終わりはない

――松橋
「今後の展開として、2019年秋頃、新型ATMの投入を予定しています。モバイル決済連動の金融商品や、その他の新事業にも注力していきます」

社内での人材育成にも力を入れていくセブン銀行。従業員の半分がAIを使えるようにすることが目標だとうたいます。

最後に、松橋氏はこう言って講演を締めくくりました。

――松橋
「『変われ変われと言うけど、自分が変わっていないじゃないか』と言われないよう、まずは自分が率先して変わるように心がけています。新技術の活用に終わりはありません。技術はどんどん出てくるので、引き続きトライアンドエラーしていきます」

結局、AIもシステムのひとつ。スムーズに導入できる企業もあれば、できない企業もあります。

その分かれ道は、自分が率先して変化を促しトライアンドエラーするという、当たり前の姿勢を持てるかどうかに懸かっていいるのもしれません。

by 高島 圭介    Twitter  Facebook
前職では、PRコンサルタントとしてBtoB企業を中心に、数々の企業のメディアリレーションを担当。Ledge.aiでは最先端のAIビジネス活用を取材するとともに、レッジ自体の広報活動も行なっている。

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