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なぜ「嵐」のファンは大野智を許せるのか

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“ワガママ”ではなく“あるがまま”を許す大野君

こういうことかな、と僕は思い当たった。

大野君は“ワガママ”ではなく“あるがまま”なのかな、と。

完璧な人間は世界中に一人もいない。誰だって欠点がある。その欠点を隠したり、いい人のふりをすると、他者から嘘っぽく、不自然に見られる。そういう人は好かれない。

逆に、欠点のある不完全な自分を自分で認め、そのまま他者にさらけ出せる人は好かれやすい。

人は相手が不完全であることを知るとホッとする。相手の劣等を知ると自分が優越を感じる、という面があるからだ。

しかし、それだけではない。不完全な相手を見ることで、まるで、自分もまた、不完全であることを許されたように感じるからだ。

僕には、大野君がこんな風に言っているように聞こえるのだ。

「僕は欠点もある不完全な人間。だけど、それでいいじゃない。僕が僕らしくあってもいいよね」

「だから、君も欠点があってもそのままで、ありのままでいいよ。君も君らしくいてね」

そんな声が聞こえてきそうなのだ。

自分を責める人は相手を責める。自分を許す人は相手を許す

心理学の世界では、対人関係の基本は「自分との対人関係」である、と考える。だから、自分の欠点を責めてダメ出しばかりしている人は、無意識に相手の欠点を責めて、ダメ出しをする。そういう人は嫌われやすい。人間関係がうまくいかない。

逆に、自分の欠点を受け容れて、OKを出す人は、相手の欠点を受け容れて、OKを出すことができる。そういう人は好かれやすい。人間関係がうまくいく。

大野君がこれだけ老若男女に好かれるのはこの一面、すなわち「自分と相手の欠点を受け容れ、OKを出している」ことこそが大きいのではなかろうか。

それだけではない。リーダーが自分を責めず、相手も責めない、自分にも相手にも「あるがまま」を許すことで、チームに心理的な安全性がもたらされる。

この心理的安全性はチームにとてつもなく大きな成果をもたらす。グーグルによる「プロジェクト・アリストテレス」という調査からも明らかなように、心理的安全性の高いチームこそが高業績を生むからだ。

心理的安全性の低いチームでは、一人ひとりが「叱られないように」「失敗しないように」「バカにされないように」と自分を殺す。そしてチャレンジを避ける。下手に挑戦して失敗するよりは、挑戦しない方が安全だからだ。

一方で、心理的安全性の高いチームは一人ひとりが「あるがまま」「自分らしさ」を表出し、自分を活かす。そして、チャレンジを楽しむ。チャレンジに失敗はつきものだが、失敗が許容される風土がチャレンジを促すのだ。そして、チャレンジを多くしたチームこそが結果を出す。当然のことだ。

大野君は、“ワガママ”なのではなく“あるがまま”なのだ。

そして、心理的安全性で嵐というチームを包み込み、だからこそ、嵐は国民的アイドルにまで上り詰めることができたのではなかろうか。

「大野君、どう? この推測、合っているかなぁ?」

ぜひ本人に訊いてみたい。でもきっと、大野君はそんな理屈になんか興味はなさそうだ。そして、だからこそ、大野君は人に好かれるのだと思う。

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小倉広(おぐら・ひろし)
組織人事コンサルタント
1965年新潟県生まれ。88年青山学院大学経済学部卒業。リクルート勤務を経て、2003年より独立。『アルフレッド・アドラー人生に革命が起きる100の言葉』(ダイヤモンド社)、『もし、アドラーが上司だったら』(プレジデント社)、『アドラーに学ぶ部下育成の心理学』(日経BP社)、『任せる技術』(日本経済新聞出版社)など著作多数。http://ogurahiroshi.net
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(組織人事コンサルタント 小倉 広 写真=時事通信フォト)

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