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医師"20分で眠れなければベッドを出る"

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「日中眠くなる」「朝早く目が覚める」。春にはそんな悩みがよく聞かれる。精神科医で早稲田大学准教授の西多昌規氏は「春は体内時計が昼の長さにまだ慣れていない。年度の切り替わりによる心身の不調、花粉症の鼻詰まりなど、睡眠の質を下げる要因も多い」という。医師が教える「睡眠の5つのコツ」とは――。

季節の変わり目には睡眠の悩みが増える


※写真はイメージです(写真=iStock.com/stevanovicigor)

3月に入って日の光もまぶしくなり、暖かい日も増えてきました。就職、進学から異動、転職など、新生活を控えている人も多くなる忙しい季節です。

春は、日中にウトウトと眠くなるイメージがあります。夏目漱石は、小説『草枕』のなかで、「春は眠くなる。猫は鼠を捕る事を忘れ、人間は借金のある事を忘れる」と書いています。

「日中どうしても眠くなる」「朝早く目が覚める」「すっきり起きられない」など、季節の変わり目には睡眠の悩みが増える印象があります。秋は「ぐっすり寝た気がしない」という相談が多い一方で、春は日中の眠気や朝早く目覚めてしまうという悩みが多い印象があります。漱石も感じていた春の眠気ですが、日中に眠くなるメカニズムが、人間には備わっているのでしょうか。

春になると眠気が強くなるのは、科学的にも確かにあることだとわたしは考えます。理由は一つに絞られるものではなく、体内時計といった生物的要因から、新生活に向けた緊張など心理的要因がミックスしていると考えられます。

睡眠時間は「一年間同じ」ではない

わたしたちの睡眠時間は、一年通じて一定ではありません。日の長い夏には睡眠時間は短くなり、夜の長い冬には長くなります。

春は、夏至のころほど昼の時間は長くありません。ただ、寝室の中に光が差し込む時刻は、冬の頃と比べて徐々に早くなってきるのを実感します。明け方にまだ眠っているようでも、人間の脳は網膜を通じて日の光を感知し、覚醒を始めるのです。

睡眠時間は、春よりも夏の方が短くなります。しかし、眠気と言えば、夏よりも春という方が多いでしょう。温度や湿度などの環境が、猛暑の夏と比べて穏やかな春のほうがウトウトしやすいのはもちろん、冬の長い夜に慣れていた体内時計が、長くなりつつある昼にまだ慣れてきていないのが理由です。5月の連休ごろになれば、体内時計は昼の長い一日に慣れてしまうのです。

アラームが鳴る前に目が覚めてしまう理由

春になると眠くなるのは、日本だけではありません。中国は「春眠暁を覚えず」という有名な漢詩を生み、英語にも「Springtime sleepiness」「Springtime lethargy」という、春の眠気やだるさを表す言葉があります。サマータイムを導入している国では、3月から夏時間となり体内時計が乱れる影響もあると思われます。

ただ諸外国の年度は、9月開始が一般的です。学校の新学期も、秋から始まります。日本は、学校も会社も4月で年度が切り替わります。3月4月は、どんな人にとっても多かれ少なかれ環境の変化を経験する人が多くなり、それだけストレスや緊張を感じることも多くなります。

「新しい部署で大丈夫かな……」「新しいクラスになじめるかしら……」など、3月になると、4月からの新しい環境に対する不安が増してきます。4月から新生活が始まれば、慣れない仕事や人間関係など、緊張の毎日が続きます。翌朝に早く起きなければならないとき、アラームが鳴る前に目が覚めてしまった経験はないでしょうか? これは「注意睡眠」と呼ばれる現象です。心理的緊張も、睡眠を浅くしてしまうことは言うまでもありません。

春は体内時計によって、朝早くから目覚めやすくなるうえに、心理的要因からも、睡眠の質が下がります。結果的に、日中に眠気やだるさに襲われやすくなるのです。

「花粉症」と「低気圧」も眠気の原因になる

春に見られる睡眠の問題で侮れないのは、花粉症などのアレルギー症状です。鼻詰まりや喉のまわりの炎症は、寝ている間の空気(=酸素)の通り道を狭くしてしまい、「睡眠時無呼吸症候群」に近い状態にしてしまう場合もあります。

花粉症の眠気と言えば、抗アレルギー薬による眠気で日中は頭がぼうっとしてしまうことをイメージしますが、夜も鼻詰まりで睡眠の質が低くなっている可能性があるわけです。春が過ぎれば治るとはいえ、きちんと対処をしないと、睡眠不足の状態が続いて体調を崩してしまいます。

そのほかに、気候の変化もあります。太平洋側では、3月に入ると乾燥した冬と違って、低気圧に覆われる機会が増え、雨の日が多くなります。低気圧による心身の不調のメカニズムは、まだ明らかではないですが、現実生活ではよく見る現象です。

科学が発達しても、日の出を人為的に遅くしたり、4月始まりの新年度制度を勝手に変更したりすることはできません。できる範囲で、睡眠を保つ工夫と努力をしていく必要があります。

朝早く明るくなるのが一因だからといって、寝室を完全に真っ暗にして暗室にしてしまうと、今度はちゃんと目覚めて覚醒することが難しくなります。心理的要因も睡眠を悪くしますが、ストレスを一発で消し去るスイッチがあるわけでもありません。

慌ただしい春に、できる範囲で健康的な睡眠を保つ実践的なコツを考えてみました。

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