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バーチャルユーチューバー(Vtuber)は登録者数ほど閲覧されていないのではないか

きょう、明治大学のアカデミーホールで『ダウンロード違法化の対象範囲見直し これまでとこれから』というシンポジウムがあり、また、その流れで先進広告技術勉強会なるものがあったために顔を出してきたのですが、UUUMを筆頭に頑張っているYouTuber(ユーチューバー)界隈と、現在配信者が乱立して一気に更新総数が減ったVtuber(バーチャルユーチューバー)界隈とでは広告効果や視聴測定のメジャメントが違うんじゃない? という議論が出たので興味深く聞いておったわけです。

 平たく言えば、ユーチューバーもUUUM一人勝ちでそれはそれでちゃんと運営されているのだから良いよねと言いつつも刺さる世代がさらに若年層固定になりつつあり、より長い目線でマーケティングをしないといけないという結論になるわけですが、Vtuberはもっと先鋭化しており、むしろミニコミ誌や地域FMのような顧客特性が媒体としての安定度を損ねている、という結論になってきています。

 裏返すとInstagramやGoogle、Facebookが購買力のある20代から40代向けのデジタル広告予算をかなり奪っている事実と同じで、その残りをコアでカルトな動画配信でさらっていっている、と言われればそれまでなのですが。

 ちなみに、本当に死んでいるAMラジオの広告反響はradikoの健闘もありつつもさらにどんどん減っていき、早めに葬儀の日程を考えたほうがいいんじゃないかと思うぐらいの状況になっています。広告に反響がなく、切り取ってウェブニュースにしてもパーソナリティの知名度以上にはアクセスが集まらずに詰んでいるのです。伊集院光が何か気の利いたことを言いました、荻上チキが有識者引っ張ってきてそれらしいトークをしましたというだけではもはやメディアとして成り立たないのです。よりミニコミ的なサブスクリプションビジネスでも始められればそれは成立するのかもしれませんが、TBSラジオで出ている荻上チキだから成立するような、メディアの金看板がなくなったら別に専門性があるわけでもないパーソナリティに有識者を張り付けてサブスクやったところで「その有識者の書いた本を読めばいいだけだ」ということに気づいた読者から順番に市場からいなくなるだけです。

 話を戻すと、Vtuberはその期待とは裏腹にこのAMラジオ放送の広告よりも客層が悪く、広告の閲覧回数に比べてクリックされる割合が低いように見受けられます。簡単に言えば、Vtuberの登録者数に比べて広告の閲覧回数は伸び悩み、商品サイトへのアクセスに至ってはちょっと悲惨な数字になっているというのが現状であるということです。

 たぶん、再生回数はそれなりにあるんだと思うのですが、他の作業をしながらの視聴が多すぎて、また、ネットで動画視聴者が流す情報で放送内容のサマリーが出回ってしまい、それらの記事をチェックしてバッと聞き流して終わりという行動が定着してしまっているのかもしれません。

 さすがに数字そのものを書くとまずいのでしょうが、(少し前のことながら)端的に表していたのが「クリスマスイブのときの有力Vtuberのライブ配信視聴が多くても4桁ギリギリしかいなかった」という事案です。何百万も登録者数がいて、ライブ配信の閲覧者が数十数百というケースもあり、ウェブマーケティングの会社やオンライン広告の代理店から出てくる「新進Vtuber、登録者数何百万人突破!」という大々的な文字を信じて広告予算を突っ込むと、本当の意味で崖下にタンクローリーが落ちていくような状況になりかねないのはご理解いただけるでしょう。ほぼ反響がゼロなんですよ。儲かるのは代理店とGoogleだけです。

 外形的な評価としては、これの>>134を見れば察していただけると思います。

http://tarosoku.com/?p=111875

 良いか悪いかは別として、ファンも実際に多いわけですし、Vtuberの世界が健全に発展してくれることは望ましいのですが、登録者数や見た目の再生回数についていうならば、広告を掲載したり、タイアップしたときにはじめて「あっ、これはやられたな」と思うのです。まともな代理店であれば絶対にしない焼き畑ですし、Instagram経由で特定属性の顧客候補が雑多ながらごっそりやってくる(しかしあんまり買わない)仕組みか、UUUMのように訪問回数をある程度保証してくれる会社でないと広告予算は今後通らなくなるでしょう。

 いずれにしても、Vtuberが幻滅期に入り、あまり筋の良くないVtuberが淘汰された後で、何か新しい勝ちパターンが出てきてくれることを願うのみですし、ウェブプロモーションを担う側も「Vtuberが流行っているので、HIKAKINみたいにいまのうちに押さえに行きましょう」と安易な提案をしないでくれることを望みます。文化としてはVtuberが流行すること自体は歓迎ですし、盛り上がるのは必然だと思いますけれども、話題ありきで登録者数を盛ったり、言うほど見られていない動画の再生回数を前面に出して広告を売られても、そういう地雷を踏んだクライアントが担当者ごと大爆発して天高く舞い上がった状況は他社も「あっ(察し」となるので、本当にやめてほしいと願うのみです。


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