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ピエール瀧容疑者逮捕で相次ぐ“排除”に若新雄純氏「なかったことにする“無菌社会”は危険」



 コカインを使用した疑いでピエール瀧こと瀧正則容疑者(51)が逮捕されたことを受け、出演する番組や映画などに影響が広がっている。マルチタレントとして多岐にわたる分野で活躍していた瀧容疑者。その違約金や損害賠償額は30億円超との報道もあるが、一方では「作品に罪はない」との声もある。こうした自粛の動きはどこまでするべきなのか、またする必要はあるのか。14日放送のAbemaTV『けやきヒルズ』で意見を述べた慶応大学特任准教授などを務めるプロデューサーの若新雄純氏に、放送後さらに話を聞いた。

 「これから開催されるライブや公開中の映画は仕方ないにしても、過去の作品を自粛するのは『罪を犯した人が出ている作品』を並べることに子どもに悪影響とか言っていちいちクレームが入るからでしょうね。薬物だけでなく不倫問題やスキャンダルでもそうで、ちょっと変だと思うのは、不倫したタレントの存在は消すのに不倫ドラマそのものは作り続けること。子どもへの影響を考えるならそもそもそのテーマを扱わない方がいいはず。問題そのものを取り除くのではなく『問題な存在』をないものにしたいという風潮がある」



 自粛の動きが過去作品にまで及ぶことに疑問を持つ若新氏。テレビ朝日の大木優紀アナウンサーも「不倫ドラマや映画を自分に重ね合わせて見るのに実社会ではそれをないものとしたり、悪い社会を映画で描いてひとつの作品になっているのに現実では全くないように振る舞ったりする矛盾がある」との考えを示す。

 さらに、「ここ5~10年で急激に罪を犯した人がなかったことにされる風潮があると思う」と疑問を投げかける若新氏。「法的な制裁はちゃんと受けるのに、その存在そのものまで抹消しようとしている」として、こうした風潮に「“無菌社会”へのアンチテーゼ」として自身の考えを次のように話した。



 「少しでも見たくない・汚い・よくないことを起こした、いわゆる“菌”を持っている人に対して、罰する以上に滅菌しようとしているように思う。復活を許さないだけでなく過去もないことにして、菌を持たない“きれいな人たち”だけの社会を残していこうという空気。でもこの“無菌社会”は危険だと思っていて、例えば専門家が『気をつけないと誰もが薬物依存になる可能性がある』と注意喚起するように、仕事も順調なはずの瀧容疑者が逮捕されたのは誰でも持っている人間の弱さが出たひとつのケース。全ての人がその菌を持っているはずなのに『発症した人だけ消せ』というのは、自分たち人間が本来持っている弱さや醜さ、不完全さに向き合っていないのではないか。罪は罰せられるべきだが、瀧容疑者をメディアから消すよりも、なぜ発症したのかの背景やその背景にある人間生活の難しさを知ることにフォーカスすべきだと思う」

 また、無菌社会で「隔離」しようとすることに対し、「菌を持っている人を追いやると、それ以上自分たちは“感染”しないと安心する。そういうことではなくて、僕らの中にも何かに依存しうる弱さがあって、発症のきっかけとなるのはピエール瀧の存在ではなく、自身の生活でストレスやトラブルにある」と指摘した。



 瀧容疑者について近所の住民からは「普通に話される気さくな方という印象」「好印象を持った青年だった」と好意的な声が紹介される。ネットなどでもそうした意見は見られるが、若新氏は「逮捕されるなら薬物に手を出しそうな人であってほしかった、明らかに菌を持っていて『やっぱりそうだ』と思いたかったということ。でも誰しもが菌を持っていることと向き合い、『僕は絶対にこんなことしない。コイツだけが悪いヤツ』とするべきではない」と再び述べる。

 また、テクノロジーの進化に触れ「ここ最近、テクノロジーや社会システムといった外側の進化に意識が向きすぎて、人間そのものに目を向けていなかったのでは。例えば、自動運転はミスがひとつも許されないが、本来人が運転する際に事故はたくさん起こっているはずで、それでも運転したいという人間の本質は変わらない」と話すと、大木アナも「テレビに映っている人は誰もミスをしていない、一度ミスをした人は排除しなければならない風潮になっている。感覚では簡単に言葉は発せられず、ある意味機械より正確さを求められるようになっている」と自身の立場から語った。



 インターネットが普及したことで、誰でも意見を発信できるようになった一方、他人のミスを簡単に指摘できるようになった。それを踏まえ若新氏は「『しくじり先生』が人気なのは、全ての人にどこか許されたい部分があるからじゃないか。瀧容疑者の存在そのもの消そうとすることは、自分たちにも厳しくなるということ。決して擁護するつもりはなくて、罪はちゃんと罰する一方で、社会を無菌化してきれいな人たちだけで安全な社会を作れるといった幻想は危ない。寛容ではない社会は自分にも返ってくると思う」と述べた。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

▶︎「20代からコカインや大麻を…」ピエール瀧容疑者

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