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ドタキャンで損をするのは消費者 店と客は互いにリスペクトを

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積極的な情報発信を続けるブロガーを表彰する「BLOGOS AWARD 2018」で銀賞を受賞したグルメジャーナリストの東龍さん。「グルメ」というフィルターを通し、日本人の価値観や社会問題に鋭く切り込み続けています。

どんな思いで発信を続けているのか、飲食業界の抱える問題点とは何か。話を聞きました。【田野幸伸・島村優 撮影=弘田充】

グルメの情報が溢れていた学生時代

BLOGOS編集部

—BLOGOS AWARD銀賞受賞おめでとうございます。

ありがとうございます。素晴らしい賞をいただき光栄です。今日はよろしくお願いいたします。

—東龍さんがグルメジャーナリストとして活動するようになったきっかけを教えてください。

スタートはテレビ出演の機会があったことでした。1999年頃だったと思いますが、当時僕は自分でホームページを作って食べ歩き情報を掲載するということをやっていました。そんな時にテレビ東京『TVチャンピオン』に出場する機会があり、出された料理を食べてお店を当てるといった企画で優勝し、その時期から他の番組からも声をかけていただけることが増えていきました。

特に僕の専門であるビュッフェは他に専門家がいないこともあり、呼んでいただける機会も多くありました。ただ、そうした出演を通して気づいたことですが、テレビは「視聴者に刺さる」話を放送することが多くなります。わかりやすいのは「どれがお得か」というテーマがほとんどで、例えばビュッフェだと、どうやると元が取れるか、値段が高いのはどんな料理か、といった話です。

僕は作り手側と視聴者の両方の気持ちがわかるので、こうした番組が必要とされる理由は理解できますが、次第に自分の言葉で自分の考えていることを発信したいと思うようになりました。その発信方法が具体的には「書く」ということで、ビュッフェの本を出す機会にも恵まれ、そのくらいの時期からジャーナリストとして活動するようになっています。

—「食」というものに興味を持つようになったのはいつ頃だったのでしょうか。

今年で43歳になりますが、高校生や大学生の頃(1995年前後)は食に関する情報があふれていました。『東京ウォーカー』や『ぴあ』といった情報誌も多く流通し、数百円で買える雑誌に、毎号とても回りきれないほどのお店が掲載されていて。

1990年代はグルメの大衆化が加速した時代で、雑誌も売れていました。部数をさらに伸ばすために値段が安い店や若い人向けの店も多く掲載されており、そうした飲食店を回ることが楽しくて、「食」に興味を持つようになりました。

少食の方にこそビュッフェに行ってほしい

写真AC

—ビュッフェを専門の一つとされていますが、このジャンルに取り組み、読者に伝えていきたいと考えたのはなぜですか。

現在僕は日本ブッフェ協会の代表理事を務めていますが、ビュッフェは量をたくさん食べたり、元を取ったりするための食事スタイルだと思われがちだということを感じています。ただ、食事をするにしても、買い物をするにしても、あらゆる経済活動で「元が取れる」ということはそうそう起こらないですよね。

どうしてビュッフェだけそう思われてしまうのかと疑問を持っていて、何かを伝えたいなという思いが強くなり、自分の専門の一つとして取り組むようになりました。

—ビュッフェには様々な料理があるので、どうしても量を食べ過ぎてしまいます…。

よく少食の人は「私は少食だからビュッフェには行けない」と言いますが、実はそれは逆なんじゃないかなと思います。例えばオーセンティック(伝統的)なフレンチに行けば、コースで料理が13皿出てくるようなことがありますよね。アラカルトのお店に行っても、前菜から食べて最後にメインのお肉がドン!と出てきて結果的に食べきれないということもあります。

一方で、ビュッフェであれば30種類、40種類とたくさんの料理がひと口ずつ楽しめます。これは見方によっては少食の人ほど楽しめると考えることもできます。食べる値段、コストで考えると「損」なのかもしれませんが、経験で考えれば少食の人がたくさんの種類の料理を食べるのはビュッフェでしかできませんよね。だから価値観の問題だと思います。

店へのリスペクトが欠けると消費者が「損をする」

—日頃はどのように情報収集を行い、取材活動を行っていますか?

グルメ業界のトピックについては、付き合いのある飲食店で聞く話を取り上げることもありますし、SNSで上がった声を掘り下げていくこともあります。何か気になることを見つけて、自分なりに何か伝えたいなと思えるものは、なるべく書くようにしています。それでも外で食事する回数も以前よりは減っていて、平日のほとんどは外食というような生活でしたが、今は多くても週に3回くらいになりました。

—東龍さんは、明るい話題がクローズアップされることの多い飲食業界で、様々な問題提起も行っています。最近はどんなテーマや問題に注目していますか。

ノーショー・ドタキャンの問題や、去年大きな進展があった食品ロスの問題には注目しています。どちらもお客さんとお店の関係に関わっていますが、「コスパ」という言葉に表れているような、食べて得した・損したという関係だけではなく、お互いをリスペクトしあうべきだと考えています。そうなればみんなが結果的に「得をする」ということを伝えていきたいです。

例えばビュッフェなどの食べ残しの問題では、お客さんの食べ残しが少なくなれば、お店は無駄な支出が減る。そうなればもっと食材を良くしたり、種類を増やしたりすることにお金を使えます。ビュッフェだと、お店が損してるなと思えば食材を安くするか、提供する料理の種類を減らすしかないんです。

これはノーショーの問題でも同じです。予想外の損害が出てしまう可能性があるということは、店側はそれを見込んだ上で販売価格を決めるようになります。でも、こんなことをして得をするのは誰なんでしょうか。ドタキャンや良くないマナーで損をするようになるのは、結局自分たちなんです。このことが見えていないのはすごく残念だと思いますし、お店側の見えない努力や工夫はしっかりと伝えていきたいですね。

—日頃の行いの積み重ねで消費者自身が「損をする」ということなんですね。

その通りです。そこに気づいてほしいなと思って、ノーショーの問題も何度も取り上げています。難しいと思うのは、マナー改善だけを伝えても読者には刺さらないということです。そのため「皆さんの行動一つで、お互いが気持ち良くなるし、双方が得をするよ」という形で訴えかけていきたいです。

お店も、お客さんと良い信頼関係が築ければ、もっと良いものを提供したり、安定した収入が見込めればもっと面白いチャレンジをしたりできるようになります。お客さんと店の間に入る潤滑油のような役割になりたいですね。

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