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森友学園小学校設置趣意書非開示国家賠償訴訟で全面勝訴判決と私の陳述書

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すでにマスコミ報道されているので、ご存じの方も多いと思いますが、
安倍晋三首相の昭恵夫人が名誉校長就任予定だった森友学園小学校の設置趣意書非開示に関する国家賠償訴訟で、昨日(2017年3月14日)、大阪地裁が原告全面勝訴の判決を下しました。
まず、訴訟の経緯を紹介します。

①私は、2017年5月10日付で、近畿財務局に対し、森友学園の小学校の設置趣意書と賃貸借契約書の情報公開請求を行った。

②近畿財務局は、同年7月10日、小学校の設置趣意書につき近畿財務局は一部開示(ほぼ全部非開示)にした。その理由は「経営上のノウハウが書かれている」から、というもの(http://kokuyuuti-sinsoukaimei.com/wp-content/uploads/2017/10/安倍小学校をマスキング文書.pdf)

③そこで、私は、同年10月2日、その非開示処分の取消を求めて大阪地裁に提訴した(http://kokuyuuti-sinsoukaimei.com/7616/)。

④森友学園の管財人が開示してかまわないと判断したため、国は、同年11月24日、近畿財務局長は森友学園の「開成小学校設置趣意書」を全部開示した(http://kokuyuuti-sinsoukaimei.com/7634/)。
しかし、そこには、「経営上のノウハウ」は一切書かれていなかった(http://kokuyuuti-sinsoukaimei.com/wp-content/uploads/2017/11/開成小学校設置趣意書.pdf)。

⑤そこで、私が、同年11月30日、非開示事由がないにもかかわらず非開示した処分が違法であったとして国家賠償請求の訴訟を大阪地裁に提起した(’http://kokuyuuti-sinsoukaimei.com/7644/

⑥その訴訟で昨日(2019年3月14日)13時10分、大阪地裁は、原告である私の請求を認容する判決を下した(http://kokuyuuti-sinsoukaimei.com/7695/)。

以下、裁判所に提出した原告・私の陳述書を紹介します(最終版ではないかもしれませんので、ご留意ください)。

1.森友学園問題で情報公開請求した動機・理由
私は憲法研究者です。現在、神戸学院大学法学部(以前は同大学実務法学研究科)の教授であり、研究の専門分野としては法律学の中の憲法学で、同大学で憲法に関する科目を担当し学生に対する憲法教育に携わっています。

これまで、「政党の憲法上の地位」論(「政党に対する国家・国法の態度」論および「政党の憲法的性格」論)についてドイツの議論を分析し、日本国憲法との違いを踏まえた論理を展開すべきことを研究成果として研究論文にまとめ公表しました。

その研究の延長として「政党がかかわっている事項」へと研究対象を拡大し、選挙制度、政党助成を含む政治資金などの憲法問題について研究し、その成果を研究書にまとめ、公表してきました(上脇博之『政党国家論と憲法学』信山社・1999年2月[北九州大学法政叢書17]、同『政党助成法の憲法問題』日本評論社・1999年[1999年度科学研究費補助金「研究成果公開促進費」(一般学術図書)交付]、同『政党国家論と国民代表論の憲法問題』日本評論社・2005年[神戸学院大学法学研究叢書14])。

また、市民にも理解を深めてもらうために一般市民向けの書物も複数執筆してきました(上脇博之『安倍改憲と「政治改革」』日本機関紙出版センター・2013年、同『どう思う?地方議員削減』同・2014年、同『誰も言わない政党助成金の闇』同・2014年、同『財界主権国家・ニッポン』同・2014年、同『告発!政治とカネ』かもがわ出版・2015年、同『追及!安倍自民党・内閣と小池都知事の「政治とカネ」疑惑』日本機関紙出版センター2016年、同『ここまできた小選挙区制の弊害』あけび書房・2018年、など)。

政治資金問題については、人権(いわゆる“知る権利”)保障および議会制民主主義からの要請として情報公開制度そのものの整備の必要性だけではなく、その適正な運用も重要であると認識して、市民運動にも参加し制度改革の必要性や運用改善を求めてきました。

とりわけ内閣官房報償費はいわゆる機密費と呼ばれ、その使途に関する情報が一切公表されないのが常識とされてきましたが、その運用は違憲であり、かつ情報公開法にも反する非常識であるとの立場から、2007年に情報公開訴訟を提起し、最高裁まで争いました(本件訴訟提起後の2018年1月19日最高裁第二部判決で一部勝訴により全国で初めて使途文書の一部の開示を得ましたので、それを市民向けの書物にまとめました。

上脇博之『内閣官房長官の裏金 機密費の扉をこじ開けた4183日の闘い』日本機関紙出版センター・2018年)。

以上のように情報公開制度について重大な関心を抱き、違法または不適切な運用の改善を求めてきましたので、学校法人森友学園に対する国有地の売払い問題についても、重大な関心を抱きました。

まず、豊中市議が2017年2月8日に国有地の売払い価格の非開示処分の取消を求める情報公開訴訟を提起しましたが、私は、その訴訟提起前に、豊中市議とたまたまお会いする機会があり、安倍晋三首相の昭恵夫人が同学園の小学校の名誉校長に就任予定であることを教えてもらいました。そして、その訴訟提起直後の同月10日に、近畿財務局は、当該価格1億3400万円を公表しましたが、近隣地の売払い価格の10分の1程度であるとの朝日新聞の報道もありました。

そこで、森友学園への国有地売払いについて、私は、「適正な対価」なくして国有地を譲渡することを禁止している財政法第9条第1項に違反するのではないか、また、その原因は安倍晋三首相の昭恵夫人が同学園の小学校の名誉校長に就任予定であったからではないか、言い換えれば国民共有の国有地は安倍首相夫婦によって私物化されたのではないかとの疑念を抱きました。

こうして私も同年3月2日、近畿財務局に対し「森友学園との交渉・面談記録」など多くの文書を情報公開請求し、また、この問題での真相解明を求める弁護士・研究者の会(2017年4月20日結成)の一員として活動に参加し、情報公開請求を続けてきました。

2.本件文書を開示請求した時期・内容
「森友学園の小学校の設置趣意書」(以下「本件文書」という)を情報公開請求したのは、2017年5月10日です。

というのは、前述した同年3月2日の情報公開請求を行った際に、賃貸借契約に関する文書を開示対象に含めていなかったので、次のように再度情報公開請求したのです。

2016年6月20日に1億3400万円で学校法人森友学園に売払った8770.43㎡の土地(大阪府豊中市野田町1501番。別紙「公共随契による売払結果一覧表」の「土地」整理番号4番 http://kinki.mof.go.jp/content/000159261.pdf)に関する以下の文書

(1) 学校法人森友学園との賃貸契約書
(2) 賃貸契約時までに提出された小学校の設立趣意書
(3) 賃貸契約に至る決済文書
(5)その他当該土地を学校法人森友学園に賃貸することに関する一切の文書(なお、私がすでに開示決定を受けた面談・交渉記録等を除く)。

3.情報公開法の仕組み
日本国憲法は、国民主権(主権在民)主義を採用しています(前文、第1条)。いわゆる情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)は、1999年に制定されました。

同法は、その目的につき、「国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき定めること」、「行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされる」とともに、「国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資すること」を「目的とする」と明記しています(第1条)。これは、“知る権利”を明示しなかったものの、国民主権の理念と民主主義の要請から情報公開法が制定されたことを国民に教示しています。

しかしまた、同法は、「何人も」「行政機関の長」に対し「当該行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができる」と明示して、「情報公開請求権」を具体的権利として定めています(第3条)。「国民主権の理念」に基づきながらも、情報公開請求権者を「主権者」に限定してはいないのです。したがって、同法は、日本国憲法の保障する抽象的権利である “知る権利”という基本的人権を事実上具体化したに等しい法律なのです。なお、日本国憲法が政府情報公開請求権としての“知る権利”を保障していると解するのが学説の多数説です。

情報公開法の解釈・運用においては、以上のように日本国憲法の立場との関係で適切に行われなければなりません。そうすると、情報公開法の解釈・運動において原則はあくまでも開示であり非開示は例外でなければならないこと、例外である非開示情報は限定して解釈されなければならないこと、その解釈・運用を濫用して拡大してはならないことが当然帰結されることになります。

4.本件文書に不開示情報は含まれず違法な不開示処分でした
情報公開法は、いわゆる「非開示情報」(第5条)の一つに、「法人その他の団体(……。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報」(第2号)であって、「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」(イ)を挙げています。

本件において、近畿財務局は、森友学校の設置趣意書の「表題の一部および本文」につき、「当該部分は学校法人の経営上のノウハウを含むため、公にすることにより、学校法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため」と説明し、情報公開法「第5条第2号イ」に該当するとして、私の情報公開請求に対し非開示処分の通知を送付してきました(「行政文書開示決定通知書」近財統一1第776号2017年7月10日)。

かりに、本件文書において「森友学園の経営上のノウハウ」が明記されているとしても、小学校名そのものが「経営上のノウハウ」とは一般に思えませんし、本文全文が「経営上のノウハウ」で書き尽くされているとは思えませんでした。ですから、小学校名は全部開示されるべきですし、本文はたとえ「経営上のノウハウ」が書かれているとしても、その部分を除き、それ以外は全て開示されるべきである(要するに部分開示されるべきである)と思いました。

そこで、2017年10月2日、その非開示処分の取消を求めて大阪地裁に情報公開訴訟を提起しました(以下、この訴訟を第一訴訟という)。そうしたところ、森友学園の管財人は、森友学園がすでに小学校の設置申請を取り下げていたので、本件文書を非開示にする必要がないとの判断を示したため、近畿財務局長は同年11月24日訴訟代理人・原告(私)に対し本件文書を全部開示しました。

全部開示された本件文書を見て、驚きました。

何と、小学校名は、森友学園が経営し名称を公表していた「開成幼稚園」からとった「開成小学校」であり、「経営上のノウハウ」とは全く関係ありませんでした。森友学園が設置を目指した小学校名は「瑞穂の國記念小学院」へと変更していたのですから、「開成小学校」という表記を公開しても、何ら森友学園の「競争上の地位」を害することにはならないはずです。

また、本文には、「経営上のノウハウ」は一行も書かれていませんでした。書かれているのは、主に森友学園の小学校の「教育理念」であり、それは、基本的に、森友学園の小学校のパンフレット(甲第14号証)の「教育理念」(特に「教育の要」)でも明記され、森友学園が自ら公表していた内容ですから、何ら森友学園の「競争上の地位」を害することにはならないはずです。

近畿財務局が説明した「経営上のノウハウ」は一切明記されていなかったのですから、そもそも本件文書には、情報公開法第5条第2号イに該当する不開示情報は部分的にも存在しなかったのです。近畿財務局が本件文書に不開示情報があるとして不開示処分にしたのは、情報公開法の明らかに違法な運用でした。

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