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【読書感想】ザ・殺し文句

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 後半の「殺し文句の法則の解説編」では、大正時代に総理大臣を務めた原敬さんのこんなエピソードが紹介されています。

 総理になった原の元には、毎朝数十人もの陳情客が来ていました。順番に面会していくのですが、朝一番の客には必ず次のように語ったといいます。

「君の話は、いの一番に聞かねばならんと思ってね」
 一方で最後まで待たせた客には次のように語りました。
「君の話はゆっくり聞かなければならないと思って、最後までお待ちいただきました」

 客の方も、原が来た順番に会っていることはわかっていました。それでもこのように言ってもらえたら悪い気はしません。このように、自分を特別で重要だと思わせることで、原敬の人気は高かったといいます。

 なるほどなあ、言うだけならタダだし、相手も社交辞令だとは思いつつも、総理大臣にこう言われれば、たしかに「悪い気はしなかった」はずです。

 こうして本になっているのを読むと、こういう殺し文句を駆使する人は、ちょっと「あざとい」感じもするのだけれど、現実では「このくらいのことはやらないと、他人とうまくやったり、自分をアピールすることはできない」のかもしれませんね。

 僕はこの新書を読みながら、これは、「他人にどういう殺し文句を使うか」というよりは、「人が自分を利用しようというときには、どういう言葉を使ってくるのか」を知るために役に立つな、と考えていたのです。

 決して悪用はしてほしくない。というのも、詐欺師やそれに近いような輩も、このような手法を取り入れることが多いからです。
 例えば以下のように。

「実はとっておきの投資先があるんです。これを教えるのはあなただけですよ」
「他の人には絶対内緒ですよ。実は○○資金というのがあって……」
「○○さんは信用できると思うので、こっそりお教えしますが……」

 などという「あなただけを強調」した言葉を巧みに使って、カモに近づいてくるのが詐欺師の典型的な手口です。

 こういう相手の手口を「予習」しておけば、いざというときに騙されにくくはなると思うのです。
 「あなただけ」と言われても、「ああ、詐欺師の『殺し文句』が来た!」と、冷静に対処できる可能性が高いはず。

 「自分がそんな凄い情報を明かされる価値のある人間なのか?」と冷静に考えれば、「そんなうまい話は嘘だろう」という結論に達するのに、人間って、「あなただけ」って言われたら、それだけで、舞い上がってしまう。

 そんなに物珍しいこと、斬新なことは書かれていませんが、こういうふうに名言とかをまとめてある本って、つい手にとってしまうんですよね。
 そして、読んでみると、ちょっと得をした気分になれるのだよなあ。


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