- 2019年03月15日 09:06
【モバイルオーダー】、映画館のポップコーンもアプリ注文!流通視察にある強烈な皮肉?
■映画館でもポップコーンをレジ行列に並ばなくてもピックアップできるようになる。映画館チェーン大手のAMCシアターズは14日、館内売店の食べ物と飲み物のモバイルオーダーを開始したことを発表した。
モバイルオーダーは利用者がスマートフォン・アプリ経由でポップコーンやコーラ等を事前に注文・決済することでフードカウンターのレジに並ぶ必要がなくなる。
外食チェーン最大手のマクドナルドやコーヒーチェーン大手のスターバックス、チキン・サンドウィッチチェーンのチックフィレなど多くの外食チェーンで展開しており、最近ではディズニーやユニバーサルのテーマパーク内のレストランでもモバイルオーダーを導入している。
AMCシアターズ・アプリ経由で注文できるモバイルオーダーはボストンやデンバー、ヒューストンのシアターで開始。夏までには150ヶ所の映画館での導入を目指し、その後は徐々に全米に展開していくという。
使い方はAMCシアターズ・アプリをダウンロードし、クレジットカード等を登録しておく。食べ物の注文ではアプリを起動してメニューを選択し決済を行う。ピックアップは売店の「エクスプレス・ピックアップ(Express Pick-Up)」カウンターで注文品を受け取ることになる。
AMCシアターズによると一部の映画館ではモバイルオーダーでフード&ドリンクを座席まで運んでくれるサービスもある。
モバイルオーダー&ペイを導入する外食チェーンは後を絶たないどころかファストフード店では標準サービスになりつつある。
外食チェーン最大手のマクドナルドからスターバックス、ダンキンドーナツ、3大宅配ピザチェーン(ドミノピザ、ピザハット、パパジョンズ)、2,300店以上を展開するチキン・サンドウィッチチェーンのチックフィレ、約2,000店のベーカリーカフェを展開しているパネラブレッドなど大手外食チェーンが全店でモバイルオーダーを展開している。
国内に3,400店を展開するソニック・ドライブインをモバイルオーダーを始めており、全世界30ヶ国で1,100店を展開しているザ・コーヒービーン&ティーリーフは、モバイルオーダーを南カリフォルニアとアリゾナの直営店で開始した。
ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートでは2年前から、ディズニーランド・リゾートでは1年前から順次、モバイルオーダーをそれぞれの園内レストランに導入している。ディズニーは昨年11月、モバイルオーダーの注文が100万件を突破したと発表した。
フロリダ州オーランドにあるユニバーサル・オーランド・リゾートも昨年11月、園内にあるテーマパーク内レストランでモバイルオーダーを開始している。
一方でモバイルオーダーの利用者には混雑が見えないためピーク時など注文が殺到、店のレジ客が待たされたスターバックスの失敗事例もあった。
調査会社ビジネス・インサイダー・インテリジェンスの報告によると、モバイルオーダー市場は380億ドル(約4兆円)になると試算しており、2020年にはファストフード店の売上11%近くに成長する。
トップ画像:AMCシアターズの売店レジ行列。スマートフォン・アプリ経由でポップコーンやコーラ等を事前に注文・決済することで、映画館でもレジ行列に並ぶ必要がなくなるのだ。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。後藤に初めて依頼・契約する大手スーパーマーケットチェーンの中には、当社のIT&オムニチャネル・ワークショップのカリキュラムやコンテンツ、提案する日程案に対して疑問視するところもあります。
ホームデポやナイキの旗艦店など食品スーパーとは異なる業種・業態の店舗視察に加えて、日本ではまだレアなストアアプリからモバイルオーダーを多用した体験内容に若干、不審に思うのです。
ただし、一度でも後藤がコンサルティングセミナーを手掛けると逆に今までおこなっていた研修がいかに偏ったものかがわかることになります。
食品スーパーがアメリカに来てやりがちなのは、スーパーの売り場だけ見て回って店長インタビューを行うというもの。後藤がアナロジーとして紹介する「ハイテク化する自動車の時代に馬車を研究するようなもの」でしょうか。
皮肉なことに、最新技術を盛り込んだ車を使いこなしている若い人たちにむけて、わざわざ馬車を見せていたりします。
⇒スマートフォンを使いこなす若い参加者が多いのに、ストアアプリをほとんど体験せずに店舗視察をおこなっているのです。
食品オンラインの市場規模は昨年、240億ドルとみられています(コモンセンス・ロボティクス調査)。食品市場8,000億ドル市場の3%がオンライン経由での売り上げということです。ストアアプリ等を介した食品オンラインの市場規模が2023年、10%のシェアとなるとの予想です。
これで「なんやっ、10%程度か!」と思っているとしたら、ビジネスセンスはありません。ストアアプリはお店と顧客を結ぶコミュニケーションツールです。コミュニケーションの一部がオンライン売上になっていくだけで、リアル店舗への影響力は売上の過半数を占めることになります。
近い将来、お買い得商品やクーポン商品、店からのおススメなどの情報はストアアプリを経由するからです。外食チェーンからエントリー記事にあるように映画館の売店までモバイルオーダーができる時代になっています。
食品スーパーの売り場だけ、スマートフォン・アプリの影響を受けない特権があると考える人はいません。世界最先端のストアアプリ技術があるアメリカまできて、しかもスマートフォンを最も自在に扱う若い人たちにアプリ体験をさせないというのは、もうね...強烈な皮肉ですが、後藤にとってはありがたいことでもあります。