記事

雅子妃のご体調が劇的回復、改めて振り返る「人格否定発言」

九州北部豪雨の被災地の仮設住宅を訪問し、被災者の手を握られる両殿下(2018年9月) JMPA

 5月に皇后陛下になられる雅子妃殿下。皇后になられることへのご覚悟もあり、ご体調は近年、劇的に回復しているが、ここまでの道のりは平坦ではなかった。ジャーナリスト・友納尚子氏がレポートする。

 * * *

 雅子妃が適応障害と診断されたのは2004年のこと。だが、ご体調の変化から病気かもしれないとご自分で訴えられたのは、それよりも遡る、2001年に愛子内親王殿下が生まれた後だった。

 愛子さまご誕生の前から、お世継ぎについての重圧で雅子妃は疲弊していた。

 宮内庁の幹部の中には「雅子妃は外国に行きたがってばかりで、お世継ぎ問題を真剣に考えていない」と歪んだ見方をする人が多かったのだ。実際には、両殿下はお子さまの誕生を待ち望んでおられたが、恵まれなかった。18年前のことだが、子どもができるのは当たり前で、できないのは女性が悪いという時代錯誤な見方が残っていた。

 結婚から8年が経ち、ようやく世継ぎ誕生となったのだが、早々に第2子の男子が期待された。宮内庁としては皇位継承問題を考えると、手をこまねいているわけにもいかなかったのだろうか、その苛立ちは雅子妃に向け続けられた。

 雅子妃は身も心も疲れ切っていた。そしてご自分の存在を見失われて、ご体調は悪化の一途をたどったのだ。にもかかわらず、責任逃れから周囲はそれに理解を示さなかった。宮内庁のある職員は「雅子妃は体調が悪いと訴えて、やりがいがないと思われている国内公務に消極的なのだろう」と漏らすほどだった。

 こうした事情から、皇太子はやむなく2004年5月に「人格否定発言」をご発言、多くの波紋を呼んだ。宮内庁と東宮家の間は隔たりが大きくなったようにも見えたが、この発言によって、ようやく雅子妃に精神科の専門医がついたのだ。同年7月に、ご病気は適応障害と正式に発表されたが、雅子妃がご病気になってから、3年以上もの歳月が経過していた。

「早期治療ができなかったことは、雅子妃のご回復までを長引かせている要因の一つかもしれません」と東宮関係者が語るように、今でも悔やまれる対応だった。

 精神疾患には、治療をサポートする周囲の環境が絶対に必要だった。皇太子は、ご病名発表後も宮内庁からの理解が完全とは言えない中、たとえ“雅子さまワールド”と揶揄されようとも、雅子妃を支え続けてこられた。愛子さまの成長なさる存在も大きかったという。

 こうして、雅子妃はご家族と東宮職に見守られて、その時にできる公務を懸命に続けてこられた。ご体調によっては、急遽お出ましになれなかったり、反対にその日に出られることもあったりしたことから“ドタキャン”“ドタ出”などと皮肉な表現で報道されることもあったが、ご公務の回数よりも継続を目標に据えて歩んでこられた。

 今でもご療養中の身であることに変わりないが、そのご努力は実を結びつつある。皇太子妃としての思いは確実に国民に届いている。

●とものう・なおこ/1961年生まれ。新聞、雑誌記者を経て2004年に独立、フリージャーナリストに。著書に『ザ・プリンセス 雅子妃物語』(文藝春秋)などがある。

※SAPIO2019年4月号

あわせて読みたい

「皇室」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    米議事堂襲撃 副大統領は間一髪

    WEDGE Infinity

  2. 2

    トランプ氏罷免せず 判断を評価

    猪野 亨

  3. 3

    五輪判断 どう転んでも政府苦境

    内藤忍

  4. 4

    官邸崩壊の足音 秘書官もう交代

    NEWSポストセブン

  5. 5

    スピルバーグ氏に見る残酷な一面

    Dain

  6. 6

    総額6.7兆円 不良債権回収の苦難

    BLOGOS編集部PR企画

  7. 7

    「病床に余力」医師提言に課題も

    中村ゆきつぐ

  8. 8

    感染拡大の深刻さを認めぬ菅首相

    おくの総一郎

  9. 9

    母がマルチ商法に心酔 娘の悲劇

    PRESIDENT Online

  10. 10

    14歳以下のコロナ感染が増える仏

    NEXT MEDIA "Japan In-depth"

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。