- 2019年03月13日 11:34
寝屋川事件・山田浩二被告が綴った死刑判決への思いと死刑めぐる体験
2/2ラジオのニュースで知った死刑執行
《その後、午前10時頃でしょうか、28室の前に大きな台車とゴミ箱が置かれているのを見ました。そしてこのフロアの主任職員がその居室に入り、居室内にある荷物を台車に積んで行きました。その様子を「面接で暴れて保護房に入れられついでに転房させられたのかなぁ」と思いながら見ていました。
居室から運ばれる荷物が訴訟関係の書類みたいで大量の書類が台車に積まれていました。私も居室内に大量の訴訟資料書類を所持していますが、私より数倍以上の量でした。その後、居室からその人が日常的に使用している私物のコップやハンガー等をゴミ箱の中に入れていきました。
転房なら私物も台車に積むはずなのに何故捨てる? おかしいなぁ…と思った時にふと、こんな事を思い出しました。「死刑執行は週末(木~金曜)に行われる事が多い」。そういえばこの日は木曜日。何かの本でそのような記事が書かれていたのを何故このタイミングで思い出したのか判りません。
大阪拘置所新棟6階で生活している収容者は基本、各階の移動は階段を使用せずエレベーターを使用するんですね。そういえば今朝は朝食の配食が遅れたけど、それは炊場での何らかのトラブルでなく、何らかの理由でエレベーターが使用出来なかった為に配食が遅れたのでは?
あと大阪拘置所は週2回の入浴が実施されます。普通は居室ごと順番に入浴するのですが、私が現在生活しているフロアは何故か順番とは関係なくある特定の人たちが朝一番に入浴をしているんです。またその人達が入浴する時は立ち合いの職員が3~4人(警備隊)なんです。普段の立ち合い職員は2人なのに…です。朝一番に入浴しているメンバーはいつも一緒だし、おかしいなぁ、これってもしかして…?とは思っていましたが、そういえば今朝連れて行かれた人も朝一番に入浴しているメンバーだったなぁ…と思い、もしかして…?って思いました。
点と線がつながった瞬間でした。この時期はまだ落ち着いてラジオを聴く気分ではなかったのでラジオのスイッチはOFFにしていましたが、午後と夕方に流れるニュースの時間だけスイッチをONにしました。
そして夕方、午後のNHKニュースを録音したものが放送されましたが、その時にこの日大阪拘置所で2名の死刑囚の刑の執行があった事を知りました。
「やっぱりそうだったんだ…」
犯行から30年、死刑確定から14年、「コスモリサーチ事件」で死刑判決を受けて刑が確定した人達の執行だと知りました。私の向かって斜め右の居室だった人は再審請求中だったそうです。》
刑場に連行する際に嘘を言っているのか?
この山田被告の手記で気になるのは、斜め向かいの死刑囚を刑場に連れていく時に、係官が「面接をするから」と言っていたという話だ。
確かに死刑執行と気づけば独房に籠城する者もいるからだろうが、これが本当だとすると、死刑囚は刑場に行ったところで嘘をつかれたと気づくわけで、これはどうなのだろうか。永山則夫元死刑囚が刑場に連れ出される時に激しく抵抗したという話は有名だが、そうした例があったので、最初は騙して…というふうにしているのだろうか。
昨年、紹介した元オウム幹部・新實智光死刑囚の執行に際して、遺体を引き取った元妻の生々しい手記を紹介した。
https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20181107-00103264/
元オウム新實智光死刑囚の妻がつづった夫の死刑執行をめぐる衝撃手記!
こんなふうに死刑執行をめぐる具体的な情報は、これまでほとんど外部に出ておらず、知られていない。今回の山田被告の手記も、自身が死刑囚という立場での特別な思いがにじみ出ていることを含め、リアルで生々しい。
死刑制度の存廃をめぐるアンケートは、こうした死刑についての実情を知らされないまま、賛成か反対かを理屈で考えて問うものだ。その結果、死刑制度賛成が約8割というわけだが、死刑をめぐる実情はもっと具体的に国民に知らされるべきで、死刑制度をめぐる議論は、それを踏まえてなされなければいけないと思う。
前回の新實元死刑囚の妻の話を紹介したのも、そして今回、山田被告の手記をここで紹介するのも、そういう思いからだ。

月刊「創」
※Yahoo!ニュースからの転載



