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【読書感想】文系と理系はなぜ分かれたのか

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文系と理系はなぜ分かれたのか (星海社新書)

内容(「BOOK」データベースより)
本書では、そもそも文系と理系というカテゴリーがいつどのようにして生まれたのか、西欧における近代諸学問の成立や、日本の近代化の過程にまで遡って確かめるところから始めます。その上で、受験や就活、ジェンダー、研究の学際化といったアクチュアルな問題に深く分け入っていくことを目論みます。さあ、本書から、文系・理系をめぐる議論を一段上へと進めましょう。

以下、本書目次より抜粋

第1章 文系と理系はいつどのように分かれたか? --欧米諸国の場合
第2章 日本の近代化と文系・理系
第3章 産業界と文系・理系
第4章 ジェンダーと文系・理系
第5章 研究の「学際化」と文系・理系

 文系・理系という分類は、かなり広く使われており、なかでも大学入試に関しては、高校のクラスを「文系コース、理系コース」に分けてしまうくらいの「当たり前のもの」になっているのです。

 一般的には、文系の学生は国語や社会、英語が得意で、理系は数学、理科が得意、というイメージがあるのですが、この「文系・理系」という概念は、いつごろ、どのようにして生まれたものなのか?

 文系についての歴史は、実は理系よりもわかっていないことが多いのです。これは、なぜか「自然科学史」の研究のほうが先に進み、「人文社会学史」研究はつい最近、ようやく形を取るようになったばかりという事情があります。

 もちろん、各分野別の「社会学史」「経済学史」「政治学史」などはあるのですが、「人文社会学史」という枠組みでの研究がほとんどないのです。

 これには、人文社会科学の成立背景が影響しているようです。実は、人文社会系というのは、歴史的に見ると、「古くて新しい」という特徴があります。

 私たちはうっかりすると、「文系は古代から存在していたが、理系の諸学問は最近生まれた」という見方をしがちです。しかしそれは、完全な間違いとはいえないまでも、正確ではありません。どういうことか説明します。
 法律を作ったり、誌や物語を創ってそれを評価しあったり、歴史を記録したりという営みは、確かにある程度の規模の文明ならば、必ず存在します。特に、聖書のように何らかの重要な文献、正典をきちんと解釈し後世に伝えるという営みは地域を超えて昔から普遍的にありました。

 その意味では遥か古代から、法学も文学研究も歴史研究も存在します。しかし、それらは「近代的な」法学や文学、歴史研究と全く同じとはいいきれません。

 自然科学の場合を思い出してみて下さい。確かに、近代的な自然科学の形成期は17世紀以降ですが、古代ギリシアや中世にも、人々は複雑な計算や図形の問題を知っていました。天動説ではあるけれど、星の運行をある程度予測できました。しかし、それらは現代の自然科学とは違う特徴を持っていました。同じような理由で、文学や歴史といった領域にも、「近代的ではなかった」時代というのがあるのです。

 「理系」よりも「文系」のほうが昔からあったような(というか、「理系」のほうが近代的な)イメージがあるのですが、近代的な「学問」として認知され、体系化された時期は、文系のほうが複雑で、わからないことが多いそうです。
 著者によると、「歴史の中で諸分野のカテゴリーが定着していった順番からすると、『自然科学・工学』『社会科学』『人文科学』という順番になるのだとか。

 ちなみに、キリスト教文化では、「工学」というのは地位が低く扱われていたのです。
 明治維新を経て近代化を目指した日本では、西欧ほど神学や法学が重視されないという文化的な背景があり、世界ではじめて、総合大学に「工学部」がつくられることになったのだとか。

 この本のなかで、著者は、「学問というのは、『ジャンル分け』きるものなのか?」という問題を提起しています。
 著者自身も、このテーマで書き始めるまでは、「すべての学問は、最終的には『つながる』のではないか」と考えていたそうです。

 ところが、実際に文系・理系の諸学問が「分化」していった過程を検討していくと、そう簡単に、まとめられるものではない、という思いが強くなった、と述懐しておられるのです。
 そうだよなあ、僕が通っていた大学の医学部も、それまでの「臓器別の専門中心で、タコツボ化していた研究室の垣根を外して、横断的な研究・治療をしていこう」という方針を掲げていたのですが、実際にそれをやろうとすると、かなり弊害が多かったのです。

 「どっちつかず」のような仕事が多くなり、研究の内容も専門ばかりやっているところに比べるとインパクトに欠ける、というような。
 僕も当初は「理想」に共鳴していたのだけれど、時間が経つにつれ、「ジャンルが分かれていくものには、それなりの理由というのがあるのだな」と感じるようになりました。
 だからといって、「専門しかやらない」というような姿勢は、それはそれで問題が多いのも事実なのですけど。

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