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"0→1"のできる人が実践する5つの問い

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問題や原因の追究は単なる「改善」にしかならない

「なんでターゲット層はうちのサービスを使わないのか」

「なぜヒット商品を生み出せないのか」

――これらも確かに“問い”ではありますが、あまり創造的な問いとはいえません。こうした「問題」や「原因」を追求するネガティブな問いは、進むべき方向や作るべきプロダクトなどがすでに決まっていて、「改善」を目的とする場合は効果的な場合もあります。ただ、その答えを得るまでの道のりは、過去の事実や既存の状況を分析する作業に偏ることが多いでしょう。

ゼロベースで新たなアイディアを考えるのであれば、ポジティブで前向きな問いのほうが、良い成果を期待できます。

冒頭の問いを少しだけ、ポジティブな問いに変えてみましょう。

「どうすれば首都圏で○○に困っている人たちに私たちのサービスをいつでももっと便利に使ってもらえるだろう?」

「どうすれば私たちは日本でストレスを抱えているビジネスパーソンに新しい通勤体験を提供する商品をつくれるか」

このように“私たち”という言葉を入れ、対象となるユーザーに共感を持った具体的な表現に置き換えるだけで、とたんに問いが少し前向きに変わります。

つまり、「問いかけの中に“人”を入れる」のです。

問いの中に「人」を入れるとポジティブになる

こうした問いをスタート地点とすると、

「では、業績の上がる会社とはどんな会社か」

「そもそも自社にとって重要な業績とはなんなのか」

「ヒット商品とはそもそもどういうものか」

「誰にヒット商品だと認めてもらいたいか」

「ヒットを通じて本来提供したい価値とはなんなのか」

「自社のヒットは他社のヒットとは何が違うのか」

といった具合に、問いを広げていきつつ、そもそも自分たちが「なにを創ろうとしているのか」という本質に近づくこともできます。

問い自体がネガティブでは、こういった広がりは得られません。

また、人間は他の「人」のためになることにやりがいを感じるものです(しかし、ビジネスの現場では時々それを忘れてしまいますよね)。そういう意味でも、やはり「人」という観点を入れるだけでも少し問いかけがポジティブになるのです。

実際、IDEOのクライアントでも「なぜかなかなか前向きなお題がないんですよね」というように悩んでいる場合は、ここがポイントになっていることが多々あります。

ヒット商品を生むための着眼点

具体例を見てみましょう。

野々村健一『0→1の発想を生み出す「問いかけ」の力』(KADOKAWA)

チリス(Zyliss)というキッチンツールのメーカーがあります。この会社の顧客は料理をする人です。しかしあるとき、普段の自分たちのコアターゲットではない人たちに、自社の商品、具体的には包丁やピザカッターなどのキッチン用具を使ってもらいました。対象となったのは、高齢者と子どもです。

すると、彼らには共通点があることがわかりました。高齢者も子どもも指先が器用でないので、包丁を手のひら全体でつかもうとするのです。これはチリスにとって新たなヒントでした。

「どうすればキッチン用具を指先の力や器用さがない人でも使いやすくできるだろうか?」

キッチン用具を使う際、指先がおぼつかない人が手のひら全体を使いたがるということは、指先が器用に使える人も手のひら全体を使ったほうが、実は楽かもしれない――と気が付くことができたのです。

そうして誕生したのが、持ち手の部分が丸くて太いキッチン用具です。手のひら全体の力を使えるこのシリーズは、同社のヒットアイテムになっています。

これは「どうすればもっと売れる新しい商品をつくれるか?」といった問いかけからは生まれない発想だったと思います。

(IDEOディレクター 野々村 健一 写真=iStock.com)

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