- 2019年03月12日 10:03
Microsoftが加速する地球規模の課題解決 ── 人間を超え始めたAIは何を解決するか?
2/2AIで地球規模の課題を解決
西脇氏は、AIは身近な課題だけではなく、地球規模の課題解決にも活用できる、と言います。
下の画像は、ドローンで撮影した写真をAIで分析することで、「過去と比較した森林の変化状況」を分析した例。 具体的には、
- 木の本数
- 森林の比率
- 荒れ地の比率
などを分析しています。

「地球の環境や生態生命の多様性といったスケールの大きな問題も、AIで対策を立てることができるようになりました」
ほかの事例として、物体認識の技術により、ジンベイザメの模様を識別し、個体の追跡が可能だそう。これにより、どの個体がどの個体と行動を共にしているのか、どこの海域に生息しているのかが把握できます。
世界中で起きている、地球温暖化や少子高齢化といった地球規模の問題。これらの問題解決にAIを活用することで、これからの時代に必要な企業として活躍していけるのかもしれません。
Microsoftが開発するFPGA
自動運転に使われる、画像解析のような素早い処理が求められる場合、クラウドでは処理速度が間に合いません。そこで、リアルタイムでの処理が可能なAIが求められています。

解決策は、AIが学習、推論する過程のうち、推論をデバイス上で可能にすること。Microsoftでは、マイクを搭載したカメラ上で推論の処理ができる「Vision AI Developer Kit」というデバイスを開発しています。
しかし、Vision AI Developer Kitでもリアルタイム性が求められる場面での使用には処理速度が足りないんだとか。そこで、MicrosoftはFPGAも開発しています。
FPGA
ユーザーが自由にプログラミングできる LSI。書き換えが可能なため、回路を無制限に変更することができる。
引用:大辞林 第三版
当日は、地表の画像を使った森林分析に対して、CPUとGPU、FPGAの処理速度比較のデモが行われました。

「Microsoftは、今よりさらにリアルタイムで処理が可能なAIを機能させ、世の中のさまざまな問題を解決したいと考えています。
店舗でお客様対応を効率化する方法、企業がミーティングを効率化する方法、目や耳の不自由な方が支障なく生活できる方法、地球のさまざまな動物が生きながらえる方法。いろいろ考えを巡らせています」
目の前で実際に起きている課題解決にAIが活用され始めています。
自動運転を例に取ってみても、前に飛び出してきた人影を瞬時に認識することは必須。他の半導体よりも処理速度の早いFGPAは、AI開発の際の選択肢の一つになりそうです。
AIを正しく使うための基本原則
最後に西脇氏は、「AIは乱暴には使ってはいけない」と語りました。Microsoftは、AIを扱う際に注意すべき以下の6つの基本原則を提唱しています。
- 公平性
AIシステムはすべての人を公平に扱う必要があります - 透明性
AIシステムは理解しやすい必要があります - 包括性
AIシステムはあらゆる人に力を与え、人々を結びつける必要があります - プライバシーとセキュリティ
AIシステムは安全であり、プライバシーを尊重する必要があります - 信頼性と安全性
AIシステムには信頼でき、安全に実行する必要があります - 説明責任
AIシステムには説明責任が課せられる必要があります

「AIの学習や推論に必要なデータには、検索履歴や購買履歴、顔写真などの個人情報が含まれています。悪用されれば人の生活に悪影響をもたらす可能性も存在するため、基本原則を守ったAI活用が求められます」
AIを活用することによってビジネスプロセスにおける課題解決の方法が変わり、単純作業をAIに任せ他の仕事をすることができたり、人間だけでは不可能だったことを実現したりできるようになりました。企業がAIを正しく使い、顧客や従業員、社会を幸せにするためにも、基本原則は心に留めておくべきでしょう。
あらゆるビジネス分野・企業にAIが組み込まれ、リアルタイムに課題解決をしていく時代の到来を感じさせるセッションでした。
企業が市場の中で生き残るためには、波に取り残されることなくAIを活用し、生産性の向上やこれまで解決できなかった課題解決に取り組む必要がありそうです。
参考:The Future Computed AI とその社会における役割 (日本語版こちらから)
Future Ready Business: AI によるビジネスの可能性について
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by 小野寺 雄大明治大学在学中に Ledge.ai の前身となるBITAデジマラボ編集部へ参画。主に海外事例系の記事制作を担当し、ファクトを着実におさえた取材スタイルを貫くライター。



