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日産、三菱、ホンダ 「非トヨタ連合」は絵空事ではない 日産「ゴーン退場」とホンダの凋落がもたらすもの - 井上 久男

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 日本の自動車産業はいま、2つの大きなリスクに直面している。まずは地政学的なリスクだ。米中貿易摩擦は、「ハイテク戦争」の一面があり、たとえば、中国通信機器大手ファーウェイのCFO身柄拘束問題は、次世代通信規格5Gの技術で先行すると言われる中国に対する米国のけん制とも見て取れる。

【写真】日産VSゴーン 暗闘の20年

 米中摩擦は日本の自動車産業にとって他人事ではない。5Gなどの通信技術は、コネクテッドカー(インターネットと常時つながるクルマ)とも深く関わっている。また、中国では百度(バイドゥ)が中心となって、人工知能(AI)を駆使した自動運転技術の発展のための「アポロ計画」を推進しているが、こうしたプロジェクトに日本企業が参加することに対して、最大の同盟国である米国は快く思っていないはずだ。

 米国は「国防権限法」によって中国への技術漏洩を阻止する動きを強めており、政府調達からファーウェイなど中国のハイテク企業を外すことを決め、現に日本政府もこれに追随する動きを見せている。特に、自動運転や燃料電池の技術は軍事に転用されやすいことから米国が神経を尖らせている分野だとされる。

 中国市場欲しさから安易に中国企業とハイテク分野で手を組めば、近く開始される日米物品貿易協定(TAG)の交渉で、米国から「自動車の関税を引き上げるぞ」といった恫喝を受けるかもしれない。これまでのトランプ大統領の政治手法からは十分に想定される米国の出方だ。


トランプ大統領 ©JMPA

 また、NAFTA(北米自由貿易協定)が見直されたことで、日本の自動車メーカーは現地調達率を引き上げなければならなくなった。すでにトヨタ自動車は、国内生産していたハイブリッド車の基幹部品を米国に移すことを検討している。日本の自動車メーカーは、カナダ、米国、メキシコの3カ国に部品や完成車の生産拠点を持ち、補完し合うサプライチェーンを構築してきたが、それを見直さなければならず、コスト増につながるであろう。

「何台売ったか」よりも「何キロ乗せたか」が問われる時代

 続いて技術革新のリスクだ。これは異業種との競争が加速することで、これまでの「競争のルール」が変わるリスクとも言えるだろう。米グーグルや米アップルが自動運転分野に参入し、次世代自動車の基本ソフト(OS)で覇権を握ろうとする動きも見え隠れしている。クルマを保有するものから利用するものへと消費者の価値観を転換させたライドシェアの米ウーバーや、カーシェア企業も台頭したことで、自動車産業のビジネスモデルは、「何台売ったか」よりも「何キロ乗せたか」が問われる時代になった。

衰退が著しいホンダの「課題」とは

 自動車産業がこうした現状にある中、日本の自動車メーカーは「元気」がない。なかでも、創業者である本田宗一郎氏のイメージから、斬新なアイデアと常識にとらわれない商品戦略によって、新機軸を打ち出す会社と見られてきたホンダの衰退が著しい。

 直近の決算である2018年4~12月期の四輪事業の売上高は8兆3749億円、営業利益は2627億円で、営業利益率は3.1%と、日産(3.7%)よりも低い。さらに同10~12月期の3カ月だけでみると営業利益率はわずか1.4%なのだ。

 最近のホンダは、国内専用の軽自動車「N-BOX」シリーズ以外のヒット車がないのが実情。その軽自動車事業も「儲かっておらず赤字に近い状況」(ホンダ関係者)という。また、ホンダは北米市場で稼いできたが、北米での売れ筋が「セダン」から、「ライトトラック」と呼ばれる大型のSUVやピックアップトラックに移ったことで、収益性に陰りがみられる。


©iStock.com

 ホンダの低収益性の主な要因は、過剰設備と開発コストの高さだ。ホンダの八郷隆弘社長は今年2月、英国工場の閉鎖を発表したが、これは「ブレグジット(英国のEUからの離脱)」が直接の原因ではなく、グローバル展開で過剰設備と過剰人員に悩むホンダが、生産能力の最適化を計画する中で出てきた計画で、「ブレグジット」が背中を押したに過ぎない。

 ただ、ホンダには営業利益率15.3%を誇る稼ぎ頭の二輪事業がある。この二輪が四輪を食わせてあげる形になっているので、何とか救われているのだ。ホンダOBや現役社員からは「四輪は抜本的な構造改革をしなければいずれ赤字に陥る」との声が出始めている。

 ホンダの四輪事業の不振で窮地に陥りそうなのが系列部品メーカーだ。「今のままでは下請け部品メーカーの経営が行き詰まる」とホンダ関係者は言う。実際、ホンダ幹部によると、複数の系列企業をドイツの巨大部品メーカーであるコンチネンタルに丸ごと売却する構想もあったが、条件面で折り合わず、頓挫したという。実際、ホンダ系でブレーキ部品を造る日信工業は、ホンダ向けだけでは事業が成り立たなくなると見て、欧州の大手部品メーカーと業務提携をして生き残りを模索している。

 ホンダで役員を経験した有力OBも「自動車産業の実力はいかに優れた部品を造れるかにかかっている面もある。そうした視点からも部品産業を国内に残す戦略が今こそ求められている」と語る。国内では「勝ち組」と見られるデンソーやアイシン精機などトヨタ系部品メーカーも生き残りをかけてグループ内での再編を加速させている。

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