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米韓合同軍事演習の終了に伴う諸問題 (我が国が覚悟すべき朝鮮半島の大激変) - 渡部 悦和

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我が国が覚悟しなければいけないこと

●キーリゾルブの前身のRSOIについて説明したが、キーリゾルブでも、米国本土等から来援する米軍を受け入れてから全ての部隊を戦力発揮できる状態にする段階までを訓練する。実は、米本土から展開する米軍の一部は、日本の領土や領海を経由して朝鮮半島に展開する。その際に、在日米軍がその作戦を支援することになる。つまり、大規模演習が中止になることは、在日米軍の任務役割にも影響を与えることになる。

●トランプ大統領の日米同盟に関する言動には細心の注意を払わなければいけない。日米同盟について、金銭的な損得勘定で様々な要求をしてくることを覚悟しなければいけない。まず考えられるのが日米共同訓練についても「金がかかるから中止する」と言いかねないし、在日米軍の削減や在日米軍駐留経費の負担増額を要求してくる可能性もある。さらに、日米貿易赤字の解消を強烈に求めてくることも覚悟しなければいけない。日米同盟の根幹が問われる事態を覚悟しておいた方が良いかもしれない。

●大規模合同演習の中止により米韓同盟の存在理由が希薄化し、在韓米軍の存在意義が減少してくると、いずれは在韓米軍撤退が現実のものとなってくる可能性がある。

 在韓米軍が存在しているからこそ日米韓の軍事協力も可能である分野が存在する。例えば、朝鮮半島の状況が悪化し、在韓日本人の避難が必要な場合、自衛隊はNEO(邦人避難作戦)を実施するが、日韓のみの二国間では韓国側の協力は難しい。そこに在韓米軍がいると、米軍と協力してNEOを行うことが可能になる。在韓米軍がいなくなると自衛隊のNEOは非常に難しい作戦になるだろう。

 また、在韓米軍が撤退した状況下では、現在日韓で締結している軍事情報包括保護協定(GSOMIA)も破棄される可能性が高い。いずれにしろ、日韓関係はさらにぎすぎすしたものになるだろう。

●3月1日付のJBpressへの投稿「決裂すべくして決裂した米朝首脳会談だが・・・」で次のように書いた。「今のままでは、北朝鮮の核兵器、弾道ミサイル、化学兵器、生物兵器が残ったままになり、拉致問題も解決しない厳しい状態が続く可能性が高い。」

 朝鮮半島の情勢は、我が国にとって望ましくない方向にどんどん進んでいる。思い出すのは、英国の第三代パーマストン子爵ヘンリー・ジョン・テンプルの「永遠の同盟国もなければ、永遠の敵対国もない。あるのは永遠の利害関係のみだ」という有名な格言だ。いまこそ我が国の本当の実力が試される時だ、国を挙げてこの厳しい状況を打破する以外にない。
渡部 悦和 Yoshikazu Watanabe
 1955 年生まれ。1978 年東京大学(工学部電子工学科)卒業。同年陸上自衛隊幹部候補生として入隊、その後、外務省「安全保障課出向、ドイツ連邦軍指揮幕僚大学留学、防衛研究所副所長、陸上幕僚監部装備美朝、第28 普通科連隊長兼函館駐屯地司令、第2 師団長、陸上幕僚副長を経て、2011 年、東部方面総監。2013 年、退官。2015 年~17 年、ハーバード大学アジアセンターシニアフェロー。現在、JFSS 政策提言委員、富士通システム統合研究所安全保障研究所長。
 著書に『米中戦争 そのとき日本は』(講談社現代新書)、『中国人民解放軍の全貌』(扶桑社)、『日本の有事』(ワニブックス)がある。

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