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「アラブの春」再び? 中東で広がる抗議デモの嵐

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「アラブの春」前夜との類似性

 こうして広がる抗議デモには、「アラブの春」との類似性が見て取れる

 2011年の「アラブの春」は、2010年末にチュニジアで抗議デモの拡大によってベン・アリ大統領(当時)が失脚したことに端を発し、同様に各国で「独裁者」を打ち倒すことを目指して拡大した。その背景には、アラブ諸国で民主化が遅れていたことなどの政治的要因もあったが、少なくともきっかけになったのは生活の困窮への不満だった。その引き金は、2008年のリーマンショックにあった。

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 2000年代の資源価格の高騰は、中東・北アフリカ向けの投資を急増させ、インフレを引き起こしていた。ところが、2008年のリーマンショック後、海外からの投資が急に引き上げたことで、これら各国では急速にデフレが進行した。

 海外の資金に左右される、もろい経済構造のもと、生活を振り回される人々の怒りは、国民生活を放置し、利権と汚職に浸る権力者に向かったのだ。

 こうしてみたとき、2014年に資源価格が急落して以来、資源頼みの経済に大きくブレーキがかかる現在の状況は、「アラブの春」前夜と共通するところが目立つ。

4つのシナリオ

 それでは、2010年前後を思い起こさせる国民の大規模な抗議は、中東・北アフリカに何をもたらすのだろうか。「アラブの春」の場合、大規模な抗議デモの行き着いた先は、大きく4つある。

1.抗議デモの高まりで「独裁者」が失脚する(チュニジア、エジプト、リビア、イエメンなど)
2.大きな政治変動は発生しないが、政府が政治改革を行うことで事態を収拾する(モロッコ、ヨルダンなど)
3.政治改革はほぼゼロで、最低賃金の引き上げなどの「アメ」と鎮圧の「ムチ」でデモを抑え込む(アルジェリア、スーダン、サウジアラビアなど)
4.「独裁者」が権力を維持したまま反体制派との間で内乱に陥る(シリア)

 今回、抗議デモが発生している各国がこれらのどのパターンをたどるかは予断を許さないが、なかでも注目すべきはアルジェリアとスーダンの行方だ。



 アルジェリアとスーダンでは「アラブの春」で抗議デモに見舞われた「独裁者」が、「アメとムチ」でこれを抑え込んだ。その意味で、良くも悪くも政治的に安定してきたといえるが、その両国政府がこれまでになく抗議デモに追い詰められる様子は、盤石にみえた「独裁者」の支配にほころびが入っていることを示唆する。

テロとの戦いへの影響

 それだけでなく、アルジェリアとスーダンにおける政治変動は、「テロとの戦い」のなかで、それぞれ大きな意味をもつ

 まず、アルジェリアにはアフリカ屈指のテロ組織「イスラーム・マグレブのアルカイダ」の拠点があり、ブーテフリカ大統領は国内のイスラーム勢力を「過激派」とみなして弾圧することで、西側先進国とも近い距離を保ってきた。

 ブーテフリカ大統領は若者が抗議デモを行うこと自体は認めながらも、「そこに紛れている勢力が混沌をもたらしかねない」と過激派の台頭に懸念を示すことで自らの地位を保とうとしている。

 これが権力を維持したい「独裁者」の方便であることは疑いない。とはいえ、「独裁者」の支配のタガが緩んだことで、それまで抑え込まれていたイスラーム過激派の活動が活発化したリビアの事例をみれば、ブーテフリカ大統領の主張に一片の真実が含まれていることも確かだ。



 一方、スーダンはアルジェリアとは対照的に、アメリカ政府から「テロ支援国家」に指定され、バシール大統領は「人道に対する罪」などで国際刑事裁判所(ICC)から国際指名手配されている。その意味で、ブーテフリカ大統領と異なり、バシール大統領の失脚は欧米諸国にとって好ましいことだろうが、他方で大きな混乱がイスラーム過激派の活動を容易にするという意味では、スーダンとアルジェリアはほぼ共通する。

【参考記事】反「人道」は加速するか:国際刑事裁判所からのアフリカ諸国の離脱

シリアの次?

 もはや多くの人は記憶していないが、40万人以上の死者を出したシリア内戦は、もともと「アラブの春」のなかで広がった抗議デモをシリア政府が鎮圧するなかで発生した。その混乱は、イスラーム過激派「イスラーム国」(IS)の台頭を促し、560万人以上の難民を生んだ。

 そのシリア内戦は、クルド人勢力によるバグズ陥落を目前に控え、終結を迎えつつあるが、そのなかでIS戦闘員の飛散は加速している。IS戦闘員の多くは母国への帰国を目指しているが、なかには新たな戦場を求めて移動する者もある。その一部はフィリピンなどにも流入しているが、アルジェリアやスーダンでの混乱はIS戦闘員に「シリアの次」を提供しかねない。

 「秩序」を強調して自らの支配を正当化する「独裁者」の論理と、その打倒を名目に過激派がテロを重ねる状況は、どちらも人々の生活を脅かす点では同じだ。シリア内戦が終結しても、中東・北アフリカの混迷の先はみえないのである。

※Yahoo!ニュースからの転載

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