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規制緩和勢力の既得権化を体現する竹中平蔵氏と大田弘子氏(佐々木実)

新自由主義の潮流は、英国のサッチャー首相(1979年就任)、米国のレーガン大統領(1981年就任)が「小さな政府」を掲げ、市場原理主義的な政策を遂行した1980年代から本格化した。だが、旗ふり役をしてきた両国はいま、英国がEU(欧州連合)離脱に揺れ、米国ではトランプ大統領の保護主義によって中国との緊張が高まっている。リーマン・ショック以降、新自由主義には逆風が吹き始め、現在、世界の潮流には確実に変化が生じている。

そうした趨勢を鑑みれば、日本の状況はいささか異様である。いまもって、安倍晋三政権が新自由主義的な改革を手際よく実現させているからだ。

さきの国会だけみても、外国人労働者の受け入れを拡大するための入国管理法改正、水道の民営化に道を開く水道法改正、漁業権を付与する際に漁業協同組合や漁業者を優先する規定を廃止して企業の参入を促す漁業法改正――世論を二分するような改正案が矢継ぎ早に成立した。

平成の規制緩和史をふりかえれば、政府が行政改革委員会内に規制緩和小委員会を設けた平成7年(1995年)4月を起点と見なすことができるだろう。以後、行政改革会議、規制緩和委員会、規制改革委員会、総合規制改革会議と看板をかけかえながら、政府内に指定席を確保した規制緩和の実行部隊が存在感を増していった。

注目すべきは、「構造改革」を掲げる小泉純一郎政権下、総合規制改革会議が社会的規制に手をつけたことである。選挙で選ばれたわけでもない“有識者”たちは、それまではタクシー業界の参入規制緩和など経済的規制のみを対象とする節度を保っていた。

それが「構造改革」という国是に意を強くし、医療や教育、農業あるいは福祉などといった社会的規制の領域にまで進出して、「岩盤規制」を打ち壊しはじめた。

後世からふりかえれば、平成は「社会の市場化」プロジェクトを闇雲に推進した時代とみなされるのではないだろうか。

この一大プロジェクトの息の長さを体現するふたりが、竹中平蔵氏と大田弘子氏である。それぞれ未来投資会議の民間議員、規制改革推進会議の議長として安倍首相が推進する「社会の市場化」を支えている。

竹中氏は小渕恵三政権で経済戦略会議入りしたのを皮切りに、小泉政権では閣僚として構造改革の司令塔役を果たした実績の持ち主。大田氏は規制緩和の起点となった規制緩和小委員会に参加して以来、規制緩和に関与しつづけ、第1次安倍政権では経済財政政策担当大臣に抜擢された。

既得権者を指弾するのが規制緩和論者の常套手段だが、ふたりの長年の活躍は規制緩和勢力こそが既得権者になっていることを雄弁に物語っている。

平成が終焉を迎えようとしているいま、よくわからないのが「社会の市場化」プロジェクトの収支決算である。

検証のない市場化プロジェクトは謎が多い。何を得て何を失ったのか。平成の収支決算を政府は速やかに開示すべきである。

(ささき みのる・ジャーナリスト。2019年1月25日号)

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