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子どもだけで通学させることは世界の非常識?/徒歩通学のメリットや必要性を考え始めた国々の動き

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アメリカで推進されている「フリーレンジ・キッズ」運動

アメリカでは、作家のレノア・スケナジーが「フリーレンジ・キッズ(放し飼いの子どもたち、の意)」運動を推進、子どもたちだけで通学することで自立心を育てようと呼びかけている。

「2008年のことです。9歳だった息子に地図と地下鉄パスを与えて、一人で地下鉄に乗せました。ヤケになったわけではなく、もうそんなことができる年齢だと思ったからです。息子は誇らしそうな顔で帰宅し『僕はもう大人だね』と言いました」とスケナジーは語る。


© Pixabay


「ほんのわずかでも子どもが危ない目に遭う可能性があるならそんなリスクは取りたくない、大抵の親はそう考えます。でも、過保護であること、いわゆる『ヘリコプターペアレント(*)』であることが、子どもの肥満や孤独感、時には鬱病の原因となっていることが見過ごされています。変質者に襲われるわよ、命を狙われるかもよと親からしょっちゅう聞かされると、気も滅入ります... 」

*いつも子どもの周りをつきまとい、観察・管理・干渉する過保護な親のこと。

「アメリカで徒歩通学する子どもは全体の13%です。治安の悪さで名高いニューヨーク市も、殺人率は70年〜80年代をピークに、現在は60年代初頭レベルまでが下がっており、危険度は他の都市とそれほど変わりません。また、通学中に事故に遭う子どもの50%は、親の車による事故が原因です。

「私がニューヨークの公立小学校で教えていた頃、生徒のアクティブ・トランスポーテーションを推進するプログラムを企画しました。弟と二人でバスに乗ってみたある生徒は言いました。最初は何もかもが不安で、大声で助けを求めたかったけど、徐々に落ち着き、このバスで合ってますかと運転手に聞いてみた。すると、このバスじゃないよと教えてくれ、新しい切符をくれたと。彼はその切符をクラスメイトの前で見せてくれました。彼にとっては勇気と自立の証、それからもずっと持ち歩いていました」

ギリシャでも始まりつつある徒歩・自転車通学を推進するための研究

ギリシャでは、子どもたちのアクティブ・トランスポーテーションに関する研究はただ一つ、体育学のコンスタンティノス・カラカツァニス教授によるものがある。

「肥満対策および運動を促す手段として、徒歩あるいは自転車通学を推進するための研究です」と教授は説明する。

「身体を動かして通学することには多くのメリットがあります。何より、子どもたちが自分が住んでいる地域のことをよく知るようになります。道路に穴がある、歩道が損傷しているといったことから、新しい公園を発見する、庭先から香る花の匂いに気づくなど、実にさまざまなことに気づきます。地域のことに関心を持つことで、より能動的な市民になるでしょう。我々の研究からも、徒歩通学する子どもたちは運動量も多く、不安を克服できるようになり、逞しくなるので、問題にもぶつかりにくいことが分かりました」


© Pixabay


「大きな障害となるのは距離です。わずかな距離を、とても遠く感じる生徒もいるでしょう。それはなぜか? 親が不安に思っているから、とにかく時間がないから、都市計画が不十分だからです。」

「研究の結果、歩行者エリアを利用できる学校は29.54%のみでした。さらに、56.64%の校長が『学校の近くに危険な交差点が一つ以上ある』と回答しました。アクティブ・トランスポーテーションについて社会の意識を高め、子どもにとって安全な通学路を確保しなくてはなりません」

徒歩通学には多くのメリットがある、と小学校教師のフロソ・ハトグルーは言う。「私はキオス島の人口500人の小さな村で教師をしていましたた。家からそれほど遠くなく、道路も安全なのに、ほとんどの親が車で送り迎え。おかげで諍いや事故も多く、1日の始まりに相応しくない環境でした」

「そこで、車以外の方法で通学することを奨励する欧州のプログラム『トラフィック・スネークゲーム』(参考)に参加することにしました。生徒たちは、徒歩・自転車・車の相乗りで通学するとシールをもらえ、ヘビのマスコット『バッキー』の絵が描かれたポスターに貼っていきます。」

「このプログラムのおかげで、生徒の半数が徒歩通学を始めました。プログラムとして大きな成果を上げただけでなく、生徒たちの自信にもつながりました。『学校までひとりで来たの』と得意そうに言ってくる生徒もいます。こうした経験は、彼らが大人になってからも効いてくるでしょう。人生の困難に直面した時、いつも親が手を差し伸べてくれるわけではありませんから」

「野外学習」で子どもは街を知り、コミュニティには一体感が生まれる

ハトグルーは続ける。「週に3回、グループウォークもしています。学校から1マイル(1.6km)ほど歩き、近くの森や野原を探検するのです。野外で授業をし、話をしたり歌を歌ったり。子どもたちがその存在を気にも留めていなかった古いオリーブの木の下に集まったり、自分たちで発見した洞穴に名前をつけたり。村に育つ木や花を知るようになり、友達への気づかいを学び、絆を深めることができます。カフェに座っていたお年寄りが私たちに話かけてくれることも。私たちがバスに乗ると、村の人たちもうれしそうです。コミュニティとしての一体感が生まれるようです」

「昨年からはラフィーナという町(アテネから25km)の小学校で教えていますが、子どもたちを校外に連れ出しましょうと提案したところ、親御さんが不安がったため、最初はパトカーに同行してもらったんですよ。20人もの小学生が、学校の外で素直に先生についていくとは思えなかったみたいです。子どもを守るには、自分のことは自分で対処できるように教えることがベストで、私たちの取り組みはまさにそれを目指しています。今では図書館やスーパー、ビーチ、いろんなところへ出掛けています。」

アテネのエクサルヒア地区にあるコミュニティ・スクールの教師、ハラランポス・バルタスも、生徒と街に出た時のことをこう語る。

「街の人たちも、教師と子どもらが外で一緒にいるのを見てうれしそうでした。いろんな人が近寄ってきて、コミュニティが作られるのを感じます。道路の安全性、歩行者や普段気にかけない人まで『信頼』することを学べるのです」

「今では生徒の8割方が徒歩で通学しています。通学路で目にしたものについておしゃべりをするなど、子どもたちの観察力も鋭くなっています。他方、親に車で連れて来てもらう子どもは、看板やポスターはじめ、周りのものをいろいろ見過ごし、知識も限定的になりがちです。」

Translated from Greek by Christina Karakepeli
Courtesy of Shedia / INSP.ngo


※参考動画(原題:Japan’s Independent Kids)

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