内閣府は、昨日7日、1月の景気動向指数の速報値を発表し、景気がすでに後退期に入った可能性が高いことを表す「下方への局面変化」に基調判断を引き下げた、と報じられています。
中国経済の減速で生産が落ち込み、景気の現状を示す一致指数(2015年=100)が、前月比2.7ポイント低下の97.9と、5年7ヶ月ぶりの低水準になりました。政府は、1月の月例経済報告で、2012年12月から景気拡大が続いて、従来の記録の6年1ヶ月を抜いたと事実上宣言をしていますが、「最長の景気拡大」に疑問符がついた形になっています。
専門家は「景気は2018年中に”山”をつけていたと判断される可能性が十分ある」という意見と「一時的、短期的な調整にすぎず、景気後退局面にはならない」という見方に分かれているようです。なぜ、内閣府の見解と政府の見解が違うのかは、内閣府の景気動向指数は、多くの統計から経済活動を指数化して機械的に出すのに対して、月例経済報告は、指数を基にはしますが、判断が入り、政府の意向に沿うようになる可能性がある、と専門家は述べています。
中国の経済が米国との対立を背景に急減速していて、半導体や産業機械を中心に日本から中国への輸出は今年1月、前年から17%も落ち込んだ、とのこと。景気後退に入ったかどうかを内閣府の研究会が確定するのは、早くても1年先になるそうです。
菅官房長官は、昨日の記者会見で、景気拡大が戦後最長を更新したという見解に変更はない、と強調しています。しかし、毎月勤労統計の不正など、政府の統計への不信感が強まっているだけに、政府は恣意的にデータを解釈している、という議論が国会でも見られそうです。
この景気後退局面を受けて、10月の消費税増税の三たび延期という話も出ています。景気拡大といわれている時期でも、勤労者の所得は下がっていて実感がなかったのですから、景気後退となれば、増税反対という人が増えることは予想されます。しかし、社会保障を維持、拡充するために消費税を5から8%へ、8から10%へと2段階で上げることになっていて、あとの2%分は保育士や介護従事者の給与が低すぎて人手不足になっている中で処遇を改善するなど、安心できる社会保障のために必要なものです。この点を、メディアもしっかり報じて、みなさんも受け止めてほしいと、法案を通した時の社会保障の責任者として願っています。