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各紙コラム読み比べで見逃せない“ホットポイント” 「産経抄」が「天声人語」に噛みついた日 「どんな手立てがあるのか、ぜひ教えてもらいたい」 - プチ鹿島

 大きな話題やニュースがあると新聞のコラムではどう料理されるか? それも楽しみの一つだ。諧謔や皮肉、意外な切り口のほうが本質らしきものがみえてくる場合があるからだ。

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 最近では日本経済新聞の一面コラム「春秋」(2月22日)。

《日本で一番早く「週刊プロレス」が売り切れるのは東京・霞ケ関の地下鉄駅売店。それは官僚に隠れプロレスファンが多いからだ。そんな話を昔聞いたことがある。》
東京メトロ・霞ケ関駅 ©iStock.com

 なぜ官僚にはプロレスの隠れファンが多いのか。

《規則、規制の世界に生きるだけに、反則攻撃さえ認められる「何でもあり」の空間で閉塞感から解き放たれ、喝采を送るのだとする解説も、妙に納得できた。》

 なるほど。この日のテーマが「最近の官僚」であることがわかる。昨年の文書改ざん発覚から統計不正まで「ミスにごまかしに忖度」。

 いま、「反則だらけ」は一体どちらの世界なのか? 読み手はヒヤッとする。

悪役のほうが正しく見え、反則はリング外にある

 そういえば先日、日本で最も有名な悪役レスラーであるアブドーラ・ザ・ブッチャーの引退式がおこなわれた。

 最後にブッチャーは観客への挨拶で何と言ったか?

「親を大事にしろ」

 であった(東スポ2月21日付)。

「若い人たちにどうしても言いたいことがある。自分の親が老いたとき、老人ホームにぶち込んで放置するのだけはやめろ。お前らもいつか同じように年を取るんだ。自分の親を大事にすることを忘れるな」(東スポ・同)

 最後に親孝行を説く最凶レスラー。悪役のほうが正しく見え、反則はリング外にある2019年。

「数字はうそをつかないが、うそつきが数字を使う」

 統計不正問題で言えば毎日新聞の一面コラム「余録」は早々と次のように書いていた。

《米経済学者のランズバーグは「数字はうそをつかないが、うそつきが数字を使う」のだという。》(1月25日)

 この一行で十分。古今東西のどんな言葉やエピソードを自身の引き出しから持ってくるか。コラム担当者の「データ」が問われる。

 3月1日の日経「春秋」は、不調に終わった米朝首脳会談のトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩委員長について。

《協議は続けると強調しているが、内政を浮揚させる手段に外交を利用しようとする姿勢では足元を見られる。》

 あれ? 似たようなのどこかで見たぞ……。すると、

《その米朝以上に、難路にあるのが安倍首相が二十数回会っているロシア大統領との交渉だろうか。》

 2回会っても進展しなかったと大騒ぎだが、プーチンと25回会っても進展しない国はどうなんだ。思わず気づく流れ。

「ノーベル平和賞ネタ」を朝毎コラムはどう料理したか?

 さて、最近で各紙コラムが張り切ったのは「安倍首相がノーベル平和賞の候補にトランプ米大統領を推薦」したらしいというあの話題だ。

 毎日新聞「余録」は、古代ローマの皇帝ネロのエピソードを持ってきた。ネロは自分を「竪琴と歌の名手」だと信じていたが歴史書では「声は小さく、しわがれていた」と書かれていた。つまり名手ではなかった。

《しかし皇帝とあらば「神の声を聞きたい」とへつらう人も出てくる。ギリシャの属州が竪琴奏者の栄冠をネロに贈ると「ギリシャ人だけが音楽を聴く耳を持つ」とご機嫌だった。》(2月19日)

 なんか、オチが見えてきたぞ。

 やはり後半はトランプ演説の安倍首相推薦話を出して

《「日本人だけが聞く耳を持つ」と言われた気分だが、》

《「皇帝」へのへつらいを史書がどう記すのかを想像すれば顔も赤らむ。》

 オチた。

 ノーベル平和賞ネタには朝日新聞の「天声人語」も反応した(2月18日)。

《米国から日本に「推薦してほしい」と打診があったという。賢く断る手立てはなかったのだろうか。》 《言われるがまま、その賞に推薦するとは、それこそノーベル賞級のお追従ではないか。いかにも外聞が悪い。》

2日後の「産経抄」がすぐさま反応

 すると2日後の産経新聞「産経抄」がすぐさま反応。

《日本の国益のために、同盟関係にある超大国の力を徹底的に利用するのは当然である。断ったときのリスクも考えれば、首相として選択の余地はない。》
《「ノーベル賞級のお追従」と決めつける朝日新聞のコラムは、「賢く断る手立てはなかったのだろうか」という。どんな手立てがあるのか、ぜひ教えてもらいたい。》

 トランプに推薦してくれと言われたらお前はどうやって断るんだ? という産経抄の反論。朝日新聞を日本で一番熱心に読んでいると思われる産経新聞の反論。天声人語に噛みつくのはしょっちゅうなので見逃せないホットポイントだ。

既視感があった「日本は盗人猛々しい」

 その産経抄は他紙の一面コラムに比べると(対朝日の件でもわかるが)感情がよく出ているので記憶に残りやすい。

 先日こういうニュースがあった。

『「日本は盗人猛々しい」 天皇謝罪要求の韓国国会議長』(産経ニュース2月18日)

《「慰安婦問題の解決には天皇の謝罪が必要」と米国メディアに語った韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長は、自身の発言に反発する日本に対し「謝罪する側が謝罪せず、私に謝罪しろとは何事か。盗っ人たけだけしい」などと批判した。》

 なんという強烈な言葉を使うのか。多くの人は引いたと思う。私もそうだ。

 しかしその一方で「最近どこかで同じ言葉を目にしたな」という既視感があったのだ。

 探してみたらこれだった。約1カ月前のコラム。

《ふと「盗人猛々しい」という言葉は、韓国にもあるのだろうかと気になった。調べると「賊反荷杖(チョクバンハジャン)」がそれに当たるという。泥棒が逆ギレし、あべこべに鞭を振り上げる様子を表す。文在寅大統領が10日の記者会見で、いわゆる徴用工問題をめぐり日本を批判するのを見て連想した。》

 1月12日の産経抄である。

 こうしてみると、韓国の政治家も日本の新聞も、互いに強い言葉を隣国にぶつけあっていることがわかる。最近の両国の様子が俯瞰で見えるようではないか。

 以上、最近気になった新聞各紙のコラム読み比べでした。

(プチ鹿島)

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