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私が立ち上げた「#KuToo」運動キャンペーン - 石川優実

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写真AC

「#KuToo」という言葉を知っていますか?
職場におけるパンプスやヒールのある靴の強制を辞めてもらうように行っている署名活動、そしてそれに対する意見をつぶやくときなどに用いられるものです。

#KuToo 職場でのヒール・パンプスの強制をなくしたい!

最近では様々なメディアに取り上げられ、少しずつハッシュタグ自体の知名度も上がり署名も1万3千人を突破しています。 この署名活動――実は始めたのは私です。

署名活動に至った経緯

私はグラビア女優・ライターの仕事をしながら、それだけでは食べていけないので葬儀のアルバイトをしています。1月は忙しく、連日の立ち仕事で足と腰が死にそうだったので昔のことを思い出してTwitterでこんなことを呟きました。

私は高校を出て、観光の専門学校に入学し、学校の研修でホテルのラウンジに泊まり込みでバイトをしていました。その時、パンプスで足を怪我しまくったので(靴擦れ、小指の爪が削れる・血が出る、足の指の変形)、私はその研修が終わった後に専門学校ごとやめてしまいました。多くのホテルが女性はパンプス・ヒールが必須と聞きました。こんな仕事、私には無理だと思いました。 靴がペタンコで、つま先がもっと広いものだったらよかったのにな、とも思いました。

みんなはすごいな、我慢できない自分はダメなのかなぁとか甘いのかなぁとか、なんで合うパンプスに出会えないんだろうってその後14年間ずっと思ってきました。

そして今、葬儀のアルバイトもパンプス指定です。プレーンのパンプスでストラップ付きは禁止、ヒールは一応5センチくらいをと言われましたが、ごまかしつつ3センチくらいの「幅広」と書かれて売っていたものを使っています。

行き帰りはスニーカーに履き替え、現場入りする前にパンプスに履き替えます。ただでさえ荷物が多く遠くの現場まで行くのに、邪魔だなぁ、けど会社で決められていることだし、というか世間一般的にそういうものだし、と思ってアルバイトをしていました。

そのバイト中、同じ現場で働く男性スタッフが靴を脱いで和室に上がっていたので、何気なくその男性の革靴を揃えました。その時に思ったのです。

「私もこの靴で働きたい…羨ましいな」と。

ホテルの仕事も今の葬儀の仕事も私としてはすごく好きなお仕事ですが、いつも足の痛みと戦っています。正直、「なんでこんなところに労力を使わなければいけないの?」という気持ち。仕事をする上で、解決方法を考えるところ・お金をかける大事なところはもっともっと他にあるように思えたからです。

そんな中、先ほどのツイートを何気なく呟いたところ多くの方から共感をしてもらえました。
同じように感じている人がこんなにいたんだと、とても嬉しく思いました。

そして、賛同してくださったセンスのある方が、「靴(くつ)+苦痛(くつう)+#MeToo」を掛け合わせて「#KuToo」という言葉を作ってくださったわけです。

ダジャレかよとバカにされることもたまーにありますが、ラップみたいに韻を踏んでいるんです。かっこいいでしょ。 そこから署名活動に至ったわけです。

パンプスやヒールが指定されることの問題点

私が思う、パンプスやヒールが指定されることの問題点をまとめます。
大きく二つの問題が私の中であります。

1、同じ業種の中で男女の履物に違い・差があること。
私が今回、この呟きをしたきっかけは自分が男性の靴に注目したことでした。「同じ業種でなぜ男性は革靴で、女性はパンプスやヒール指定なのか」。男性もヒールを履いていたら、「この業種にはパンプスやヒールが必要な意味があるんだな」と思います。それを踏まえての抗議になります。

しかし私の件は違いました。
男性がパンプスでもヒールでもないならば、この仕事にパンプスやヒールは必須ではないわけです。私の希望はまず、「男性と同じ革靴にしてほしい」。そう感じました。

私の想像ではパンプスやヒールよりは革靴の方が足に負担がなさそうだと感じるからです。革靴もつらいと言っている男性が「俺もつらいんだからヒールやパンプスを履きたい!」と言ってこないのがその証拠なんじゃないのかなと感じます。というかパンプスだって革靴だっつーの。その革靴にヒール生やしてつま先をもっと狭くして甲のホールドをなくしたら私たちの履いているパンプスの出来上がりです。どちらが履きたいですか?

2、身体に負担のあるものを仕事をする上で強制することの意味。
そして、二つ目の問題点が身体に傷つけるものを仕事上で強制することの意味は?ということです。本当にその仕事を発展させて行くためには必要なのか、むしろ無くした方が効率が上がるのではないのか。

論点がズレていると感じる意見もたくさん来ました。

一つ言いたいことは、先ほど例に挙げた問題点1を飛ばして2に行こうとすることに、私はとても違和感を感じるということです。 私に来たリプに、「革靴だってつらい」とか、「男性とか分けるから意見を聞く気が無くなる」「差別の仕返し」などがありましたが、私は今回同じ職種なのに男性と女性の靴が違うことについて言及をしました。男性がつらいと言っている革靴を私は履きたいのです。 男性より楽をしたいわけではありません。男性と同じにしてほしいのです。

なぜ、「女性が男性と同じにしてほしいと訴えること」が差別にあたるのでしょうか。
「ビジネスの場なのだから、なんでもかんでも廃止にできないのが社会というもの。歩み寄りが必要だ」というリプも来ましたが、男性の革靴がビジネスの場で許されているのだから、そこに私たちが揃えることがなぜ叶わないのか。私はTPOやマナーや制服をなくしたいわけではありません。「葬儀のバイトにスニーカーで行きたいでーす!」なんて一言も言っていません。

「履かなくて良い仕事を選べば良い」に関しては、このような理由で職業の選択が狭まること、そしてそこに性差があることを私は問題点としています。ただでさえ、

・女性は妊娠によって強制的に一時的に仕事を休まなければいけなくなる、時には入試で公平に扱われない
・幼い頃から女の子なんだから勉強しなくていいと言われ続ける
・仕事するなら家事と育児は完璧にね…結婚したら仕事辞めるんでしょ?と言われるなど、

男性と同じように働くことが難しい日本です。それが更にパンプスによって選べる仕事が減る…それってどうなのかしら?

男性はホテルの仕事を選ぶときに、「パンプスを履けないんだったらこの仕事を諦めろ」とは言われないわけです。

私がパンプスやヒールについてツイートをしたとき、本当にたくさんの「男性だって」というリプが来ました。男性も困っているならば、そのときそのときに声をあげてください。意見を言った女性を黙らすための道具として使うのはもうやめてください。

よく言いますよね、男性は解決脳・女性は共感能。いやいや、全然解決に導いてくれてないんですけどー。不毛中の不毛な会話なんですけど(男性と女性の脳の作りに差があるということは今はもう嘘だったという説が有力です)。

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