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法律、アプリ、動画サービス…陳暁夏代氏が語る中国社会・カルチャーのリアル

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中国の法律は新しいサービスに優しい

日本にあまりないサービスはいろいろなジャンルでありますが、特に注目しているのは医療系と教育系のサービスです。なぜかというと、日本でも同じ需要があるはずなのに、これらの領域のサービスがあまり見られないからです。

平安好医生 公式サイト

イメージとしては、オンライン上で塾の先生と一緒に勉強したり、医師のオンライン診療が受けられたりというものですね。医療系サービスの広がりを見て思うのは、日中の法整備の仕組みの違いだと思います。ユーザーの急激な需要に対応して、サービスがリリースされそれに伴って法律が整う、という順番で進んでいくことが良くあります。

優先されるのは市民のニーズなんですね。明らかにネガティブに違法でない限りは、変化する市民の需要に伴ったサービスが出てきます。どこの国でも、今ある法律ではカバーされていない需要領域があると思いますが、中国の場合はサービスが登場してから法律の「抜け」を整備するというイメージです。そこが日本とは大きく違うと思います。

ユーザーが一気に増えるような現象が今の日本では生まれにくいのも、この辺りのことが関係しているのかなと。日本は8割が適度に完成されている国なんです。何か新しいサービスを作って残りの1、2割を救いたいという時に、本当に頑張って法律を変えてまで、そのマイノリティを救う必要があるのか、という判断が難しいのではないかと感じています。

医療系を例に挙げると、中国だと人口の数に対して病院の数が明らかに足りないという現状があります。朝病院に行くとオープンと同時に100人くらいが、ショッピングモールのセールのように押し寄せてきます。そういう現状を皆が社会問題として捉えていて、それを解決するために現行の法律では認められていないオンライン上のサービスを展開しようと思った時に何が起こるか。そこで登場したサービスは、社会課題を解決していることが明らかなので、法律の対応も優しくなることが多いですね。

だから日本と中国の違いは次のように説明できると思います。社会課題を解決しているのか、サービスを作っているか、という違い。中国には解決しないといけない社会問題、課題が沢山あるから次々に新しいサービスが登場する。だから社会の進化が速い。でも、日本はその時代はもう10年前に過ぎているんじゃないかなと思っています。

中国の若者にとってはネット動画がマスメディア

中国で今、一番見られているエンタメはやはり動画です。これは日中のマスメディアの捉え方の違いで、日本ではまだテレビが主流だと思いますが、中国は日本と比べて平均年齢が10歳くらい下がるので、マスメディアの概念がインターネット上のものになるんです。動画を見る時は、時間に縛られない動画プラットフォームを見るというスタイルが、一番大きなボリュームの若い年齢層には合っていると捉えていいと思います。

テレビ番組でも同時にオンライン上にアップされるのが一般的なので、テレビと動画サイトと区別する感覚もありません。この番組が見たいと思った時に検索するという感じの視聴方法なので時間に縛られる必要もなく。

例えば音楽番組でも、ユーザーが欲しいようにアップされています。1時間の番組があるとして、放送すべては見たくないけど、ある歌手の部分だけ見たいということがあると思いますが、オンラインではその人のパフォーマンスの部分だけでアップされています。そう言った権利側の対応力も、メイン対象ユーザー=若年層の需要から来ています。

BLOGOS編集部

動画プラットフォーム自体がマスメディアだからこそ、そのユーザー層に適した動画の作り方に慣れているんですね。テレビと同じ番組でも、オンライン上のプラットフォームに適した形で公開するという。でも、今後日本でそうなるとも思いませんし、需要に攻められた結果の問題なのかなと。

ネットがマスメディアなので広告も自由度が高いです。テレビ番組も同時にネットに上がるのでCMはまず見てもらえません。そのため、広告は番組内にプレイスメントしたり、番組を買いきったりと様々な手法があります。

広告に関して言うと、KOL (Key Opinion Leader)というキーワードがあります。日本だとインスタグラマーのような属人的なものをイメージしますが、KOLは「影響力のある発信元」と理解するのがわかりやすいのかなと。KOLは人に紐付いているわけではなく、情報アカウントやメディアなども含まれています。

プラットフォームもプレイヤーも多様化しているので、ある情報を出すときに、動画なのかSNSなのか選択肢が沢山あります。プレイヤーで選ぶときは、その人が何に強いかを見て決める。この組み合わせが無数にあって、日本のPRよりも複雑だと感じています。日本から中国に行って起こりがちなミスで、フォロワー順に芸能人のリストが出てくるような場合、日本の感覚だとフォロワー数でGoサインが出ることもあると思いますが、中国では属性や強い分野、露出のある場所間など、フォロワーだけじゃない要素を考えることにも大きな意味があります。

私は去年1年で10社以上をクライアントに日系企業の中国進出のブランディングや企画立案などと動き、知見もかなり溜まっているんですけど、コンサルの仕事は1対1なので自分でできることには限界がある。それよりは自分の持っている知見やノウハウを作品、何かしらコンテンツに落とし込んで世に出した方が、より多くの人に届くのではないか、そういう方向に自分もシフトしていきたいと思い、今年株式会社チョコレイトにジョインしました。

弊社は映像コンテンツを軸としたIP開発をメインに行っています。これまで説明したように、中国は今動画がメインストリームです。だからこそ日本からコンテンツを持っていって色々な展開ができるなと考えています。私自身も企画から運用まで携わっていて、企画段階から中国ではこう、韓国ではこうと、リージョンごとに展開できるコンテンツを作っていこうと動いています。

すでにあるものを見せ方を変えて現地でウケるのは、当たっているものだけなんです。それはごく一部で、量産したところで二番煎じになる。だけど、企画から現地で展開できるものであれば、準備ができます。扱っているカテゴリは様々ですが、例えば料理動画なんかは日本と中国で重なる部分もあります。そうしたものを動画コンテンツ、番組、企画として展開したり、料理番組であればそこからさらに広げていったりできればと考えています。
(構成・島村優)

プロフィール

陳暁夏代(ちんしょう なつよ) @chinshonatsuyo
DIGDOG代表/CHOCOLATE執行役員
内モンゴル自治区出身、上海育ち。幼少期から日本と中国を行き来する。上海・復旦大学在学中からイベント司会・通訳を行い、その後上海にて日本向け就職活動イベントの立ち上げや日系企業の中国進出支援に携わる。2011年より北京・上海・シンガポールにてエンターテインメントイベントを企画運営。2013年東京の広告会社に勤務。2017年、DIGDOG llc.を立ち上げ、日本と中国双方における企業の課外解決を行い、エンターテインメント分野や若年層マーケティングを多く手がける。2019年よりコンテンツスタジオCHOCOLATE Inc.で、オリジナルコンテンツの開発やグローバル展開の仕組みづくりなどを担当している。

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