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法律、アプリ、動画サービス…陳暁夏代氏が語る中国社会・カルチャーのリアル

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unsplash

政治や経済を軸とした日本との関係で語られることの多い、隣国の超大国・中国。一時期よりは日本語でアクセスできる現地情報が増えたとはいえ、まだまだ日本からでは見えにくい部分も多い。

なぜ中国では次々に新たなサービスが登場するのか、そして今、中国の若者の間でどんなカルチャーが流行っているのか。中国を専門とするマーケター/コンサルタントとして活躍し、2019年1月1日からは株式会社チョコレイトの執行役員・海外事業プロデューサーに就任した陳暁夏代氏が解説する。

中国で変わりつつある日本製品のイメージ

昨年1年は日系企業の中国進出をメインにブランディングから戦略策定まで様々な案件を手がけてきました。クライアントのジャンルは幅広く、化粧品会社からコンシューマー向け家電・プロダクトのメーカー、ビジネス関係まで様々なものがあります。

日本の商品がどれほど中国で知られているかというと、基本的には日本の知名度と現地での知名度は一致するものが多いと言って良いと思います。その一方で、アイテムでもキーワードでも国ごとに必要とされるものが違うので、日本で無名のブランドの商品が中国で売れているというケースはよくあります。

観光客が多い新宿などのドラッグストアで、店頭に陳列された外国人向けの棚にある商品が全然見たことがないものだったという経験をしたことがある人は多いと思います。あれは今言ったような国ごとに必要とされているものが違う良い例で、並んでいるのはターゲットとする国ですごく売れている商品なんです。売れるから仕入れて観光客向けに売る=インバウンド売り上げ強化ということをやっています。

昔と違って、「日本の製品=No.1」というイメージはそれほど強くなくなりました。最近は中国のオリジナル商品の質も上がっているということ、もう一つは海外市場においてはすべての国と競合しているという理由です。後者については、例えば化粧水は世界中で販売されていますが、その中から中国の消費者が良いものを買おうと思ったら、知名度のある欧米のハイブランド商品との比較になります。

日本でも「メイソウ」というショップの名前を聞いたことがある人はいると思います。日本の100均コンセプトを真似し、結果店舗展開、売り上げ共に元ネタを超える、というお店です。近年こういうケースは多岐にわたるジャンルで見かけます。中国は製造原価が格段に安いので、アイデア商品のプロトタイプをすぐに作れるという強みがあります。とにかくスピードがすごく速い。日本だと安全管理や原価の問題があるので、ここで大きな差がつく面はあると思います。

BLOGOS編集部

日本、中国と韓国の違いを考えると、この3つの国は市場の違いでそれぞれの性格が分かれているように思います。日本の強みは独自のアイデアが強いこと。二次元カルチャー、漫画・ゲーム・アニメなど、アイデアをゼロベースから作るのがすごく上手だと思います。“想像力”ですね。その一方で、長く自国の市場だけで成り立ってきたので、そうやって築き上げてたものを海外に輸出するということをやってこなかった。だからその知見がありません。日本は今後、国内で回らなくなって海外に出ていく意欲が生まれたら、そういうノウハウも蓄積されていくのかなと思います。

中国と韓国はお金や納期、「Yes・No」のハッキリした考え方がすごく似ているなと思います。それでも市場からくる性格の違いはあって、小さな市場しか持っていなかった韓国は外へ向くしかない。日本が「100」のものを作るとしたら、韓国が作るのは「50」なんだけど、それをパッケージングして外に持っていくのが得意。中国は「50」のものしか作れないけど、それでも生きていける巨大なマーケットがあります。そのため外を向く必要がなく、国内向けに現時点で「50」のものを「60」とか「70」に磨いていけば売れていきます。

納期にルーズな中国の商売相手はお金で動かす

中国に進出する会社には、大きく分けて二つがあります。一つは現地で10年、20年やっている大きな会社で、もう一つはここ5年くらい、春節の爆買いが話題になった時期から中国に注目して、参入し始めた会社です。後者は大半が自社の商品が売れていることに何かのきっかけで気づいて「中国に行こう!」という企業です。ただ、少ない割合ですが「新しいものを作って出て行かなきゃ」と考えているグループもあります。市場の考え方として、日本だけではなく中国にも韓国にもそれ以外の国にも展開していこう、という時代の意識変革が起こっているのかなと。

長く中国でやっている大手の会社と、ここ5年くらいの新規参入の二つがあると言いましたが、私はその両方と一緒に仕事をさせてもらっています。中国で長くやっている会社がなぜ私に声をかけるかと言うと、中国の社会変革が激しいので、毎年マーケティングやブランディングの方法、商品の売り方を変えていかなければならないからです。2019年はどうしよう、次の2020年はどうしよう、という「0→1」を小刻みにやっているイメージで。それは大手でも新規でも同じ悩みを抱えています。

写真AC

中国の変化が速いということはよく言われていますが、商品でも芸能人でもとにかく速いサイクルで消費されていきます。情報量が多いので、新しいバズにどんどん刷新されていく。日本だと絶対的な情報量が少ないので、同じ人がずっと売れているということが起こりますが、中国はプラットフォーマーも、プレイヤーもたくさんいるためトレンドの移り変わりが速い。

中国に進出した企業は、一度は皆同じ失敗を通るのではないでしょうか?それはいたって普通のことで発注したメーカーから上がってくるもののクオリティが低いとか、現地の人とのやりとりがうまくいかないとか。

コミュニケーションがうまくいかないのは日本語と中国語の違いの問題でもあるんですけど、中国は「Yesか、Noか」の文化で、日本は「大丈夫か、そうじゃないか」という文化がある。その日本的なコミュニケーションで進めていると、意図していたものと全く違うものが戻ってくるというエラーがよく起こります。

ビジネス習慣でいうと、納期の感覚が全く違いますね。日本は仕事を事前に進めていくイメージですが、中国はデッドラインのそのまたデッドラインが締め切りくらいの感覚でやっているように思います。これ以上は、というデッドを超えたあたりで出してくるというか。できないものはできない、頑張ったりはしないという感覚ですね。

もし多少ムリなことをお願いするときは、お金で解決するしかないですね。「お願いします」では作業してくれなくて、着金したらすぐにでも作業を始めてくれる。あとはポジショニングをしっかりとることですね。どちらの立場が上かを明確にすること。そういうことに気をつければ、中国人はメリット・デメリットがハッキリしているし、支払いもハッキリしています。納期だけハッキリしていないんです(笑)。

中国の若者が夢中になっているアプリは?

若者が使っているアプリでいうと動画アプリは欠かせないですが、中でも短尺動画アプリだと1位が「快手」で2位が「抖音(TikTok)」。その下に有象無象のサービスがひしめいているという状況です。

BLOGOS編集部

動画サイト(VOD)は大手3社のものが強いですね。バイドゥの「爱奇艺(iQiyi)」が1位で、アリババの「优酷视频(youku)」が2位、これは日本でも名前が知られていますね。それからテンセントの「騰訊視頻」が3位です。どんなジャンルでも、基本的に2強か3強になっていきますね。各社、その力関係の中でターゲットを変えて、載せるコンテンツを変えています。

SNSはやはり「WeChat」がメインです。1端末1WeChatという感じ。WeChatはスマホみたいなもので、あまりアプリとして捉えていない気がします。スマホを買ったら入っている「総合プラットフォーム」ですね。「weibo」は情報メディア兼Twitterといった立ち位置のサービスなので、必要のない人もいます。だからそこにインフラは積まれていない。

Instagramのようなアプリでいうと、weiboのタイムラインとWeChatのストーリー機能がその役割を担っています。Facebook的なサービスは、年代ごとに分かれたソーシャルプラットフォームがあって、それを使っている人が多いですね。

Google、YouTube、Facebook、Twitter、LINEなんかもそうですが、国内のサービスを成長させるために、中国では海外のトップサービスは使えません。だから必要のない多くの中国人は、わざわざ使うことはしていないと思います。ペルソナや個人の関心によって違うという前提はありますが、海外の情報に興味がある中国人も一定数います。(中国の場合はその一定数がすごく多いんですけど)。

ただ、どの国でも基本的には自国のコンテンツを消費するものだと思いますが、何度も言っているように中国はとにかく情報量が多いので、あえてそれ以外の情報を取りに行く必要もないのかなと思います。それでも日本と同じような広がり方で海外エンタメが流行ることはあります。例えば音楽だったら、TikTokですごい使われている曲があって、多くの人がそれを聞くようになるとランキングに登場して、テレビ番組によく出るようになってという流れですね。

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