- 2019年03月06日 18:25
安い! 広い! 面白い! 「欧州民泊漂流記」家族旅行編(2) - 高井浩章
2/2「スーパーホスト」の絶景フラット
さて、ベルファストの宿です。実はこちらは、行く前から「当たり」という自信がありました。なぜなら、初めて「スーパーホスト」の部屋を確保できていたからです。
スーパーホストはエアビー公認の「素晴らしいホスピタリティを提供するホスト」のことです。宿泊先を選ぶ際にスーパーホスト限定と条件付けすることもできます。ただし、当然ですが、そうすると物件数が限定されます。私の場合は、まず前述した自分なりの条件で絞り込んでから、スーパーホスト物件が空いていたら選択するようにしています。
スーパーホスト物件の確保には、別のハードルもあります。ホストによる承認です。エアビーには、「すぐ予約可能」な部屋と、ホスト側が承認するまで予約が確定しない部屋があります。ホスト側にゲスト(宿泊客)を選ぶ権利があるのです。
いわゆる「評価経済」らしいシステムで、こんな仕組みになっています。
宿泊後、部屋を借りたゲストは、エアビーの運営から総合評価や設備、ホストによる情報提供など項目別に5段階評価のアンケートへの回答を求められます。同時並行で、ホスト側もゲストについて評価やコメントをエアビーに提出します。両者の評価が出そろうまで、双方の評価は公表されません。正直に低評価を付けても、報復で低評価を付けられる心配はありません。
スーパーホストともなれば、低評価が付いている札付きの客を泊めなくても、高い稼働率をキープできます。一方の泊まる側も、お行儀良くして「良いゲスト」として定評ができれば、審査を通りやすくなります。
例えば、エアビーの部屋の利用ルールには「パーティー禁止」というのがよくあります。近所迷惑なほど大騒ぎしたり、羽目を外して家具を壊したりする輩は、ブラックリスト入りとなります。バカ騒ぎもせず、部屋を綺麗に使う傾向がある日本人ゲストには有利(?)な制度だと思います。「来た時より綺麗に」がモットーの高井家はもちろん、優良ゲストであります。
さすがのスーパーホスト案件で、ベルファスト西部の住宅エリアに位置する6階のペントハウスは、ゆったりした3つのベッドルームと3方向に開けた素晴らしい展望の広々とした豪華なリビング、2つのバスルームを備えた素晴らしい部屋でした。内装や家具も手入れが行き届いていて、居心地は抜群で、お値段は1泊3万円ほど。
ここのチェックインは「お出迎え方式」。インターホンを鳴らすと家主さんがカギを引き渡すついでに部屋を案内してくれて、設備やセキュリティー、観光の交通アクセスなどを直接、教えてもらえます。リビングの眺望に家族が「うわー!」と歓声を上げると、ホストがかなりドヤ顔になったのが印象的でした。アイルランドの英語は独特の訛りがあってなかなか苦労するのですが、さすがはスーパーホスト、標準的な発音で手際よくレクチャーしてくれて助かりました。ウェルカムワインも用意する周到さ。できるな……。
ベルファストの観光は、定番ではありますが、「タイタニック・ベルファスト」(タイタニック博物館)が期待を超えて家族に大評判でした。カソリック住民の居住区を隔てる「ピースウォール」の壁画や、北アイルランド紛争時に政治犯も収容されたクラムリンロードの刑務所跡地の見学など、英国・アイルランドの複雑で暗い歴史に触れる良い機会にもなりました。
「ただいま」という気分
私が民泊で特に気に入っている点として、「我が家感」を挙げたいと思います。エアビーは「いろんなわが家に旅しよう」というキャッチコピーを使っています。これ、よく考えると、矛盾しているような、変なフレーズですよね。
変なのですが、これは実にうまい表現です。実際、2~3泊もしていると、部屋に戻ったとき「ただいま~」という気分になるのです。ホテル滞在の「前線基地に帰還した」という感覚とは、微妙な、でも大きな違いがあります。
天気が悪いときや疲れ気味で、「今日は午前中は部屋で休憩しようか」というときなんかに、この感覚の差はもっとはっきりします。ベッドと小さなテーブルがあるぐらいの普通のホテルの部屋だと「閉じ込められてる感」がどうしても強く、貧乏性の私は時間を浪費しているような気になってくるのですが、居心地の良いソファやバルコニーのテーブルでコーヒーやビールを飲みながら家族と過ごしていると、「ま、これはこれでアリか」という余裕が生まれます。私は遅寝・早起きな人間なので、女性陣がベッドルームで朝寝している間、ゆっくりリビングでお茶をしながら読書ができるのも、有難い。
さて、連載1回目と2回目は成功体験ばかりお伝えしてきましたが、世の中そんなに甘くはありません。
次回のシチリア島(イタリア)旅行では、そこそこ手痛い失敗が待っていました。古都パレルモの旧市街の絶景フラットに潜んでいた意外な落とし穴とは……。
お楽しみに!(つづく)



