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学校はスマホを禁止するより教えるべきだ

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「厳格な統一的ルール」で子供を縛る必要はない

さらに読売社説は大阪府の独自指針案の中身を「緊急時の連絡手段としてのみ使用を許可する。登校中や校内ではかばんに入れる。管理は子供が行う」と具体的に示し、次のように指摘する。

「文科省は『様々な懸念、問題にも一定の配慮がされている』と評価するが、にわかに首肯できない。特に問題なのが、具体的運用を現場の判断に委ねたことだ」
「学校ごとに対応に差が生じ、混乱を招く可能性がある。仮に解禁するとしても、厳格な統一的ルールが不可欠である」

なぜ、具体的運用を現場の判断に委ねてはならないのか。学校によって環境も違うし、登下校の仕方や時間など地域によって学童や生徒の生活様式も異なる。

また管理を子供に任せれば、子供は自らを律することを覚える。自分を自分で律することができるようになって初めて大人になれる。

なにも「厳格な統一的ルール」で子供をがんじがらめにしなくともいいと思う。

最後に読売社説は「スマホとの付き合い方について、まずは親と子が向き合って、それぞれの家庭でのルールを決めることが大切だ」と家庭でのルール作りを優先的に求めているが、家庭でそれができにくくなっているからこそ、学校でのスマホ教育が求められるのだ。

毎日も「副作用の論議が足りない」と否定的

1月11日付の毎日新聞の社説も「副作用の論議が足りない」(見出し)と否定的である。

毎日社説は「大阪府教育委員会は緊急時の連絡用にスマートフォンを学校に持っていくのを認める方針を決めた」と書き、「ただし、小中学校へのスマホ持参は文部科学省が原則禁止とする通知を出している。府教委の決定は独自に『解禁』するものだ」と指摘して主張する。

「このため、スマホの携帯の是非について十分な議論が必要となる」

2月19日には、柴山文部科学相が「スマホ持ち込み禁止」という通知を見直す考えを示すわけだから、毎日社説は実に見通しが甘い。「このため議論が必要になる」との論拠を失ってしまう。

毎日社説も読売社説と同様、スマホのデメリットを強調する。

よくここまでスマホ批判の言葉が出てくるものだ

「たとえば、学校でのスマホの管理をどうするか。校内での使用は禁止するため学校側で預かることが考えられるが、保管場所の確保や破損、盗難の防止対策が必要だ。日々の回収など先生の負担増にもつながる」
「気がかりなのは、登下校時の利用だ。緊急時の対応が目的なのに、歩きスマホをしたり、友だちとゲームで競い合ったりすれば、本来の目的とはかけ離れていってしまう」
「スマホを持たない子どもが疎外感を味わったり、親がスマホを持たせるのを強要されたと感じたりすることもあるのではないか」

よくここまでスマホ批判の言葉が出てくるものだと感心させられる。

逆に、これだけデメリットがあるのだから小学生のうちにスマホの正しい使い方を授業で教える必要がある。誰からもスマホの使い方を教わっていないから、さまざまな問題を引き起こすのだ。

新しいものを一方的に否定するべきではない

朝日新聞も大阪府の学校持ち込みの解禁を受け、昨年12月9日付の社説で「スマホと学校 子どもを交えて議論を」との見出しを掲げ、こう訴えている。

「だが、懸念や課題は多い」
「まず、『校内では使わない』をどう実行するかだ。先生が生徒からスマホを預かることが考えられるが、先生の負担増、紛失や盗難、破損に伴う責任のあり方など、難しい問題がある」
「府の方針を受けて、子どもがスマホを持たない親からは、さっそく『持たせた方がよいか』との相談が寄せられているという。所有を強いることにならないよう、配慮が必要だ」

スマホには懐疑的ではあるが、最後の主張はうなずける。

「次々と登場するモノやサービスのメリットを生かしながら、デメリットは抑える。スマホ問題を、そんな意識や姿勢を養う機会としたい」

やはり重要なのは、スマホが両刃の剣であることを子供たちにどう教えるかである。新しいものを一方的に否定したり、懐疑的に見たりするのではなく、正面から受け入れて利点と欠点を判断して子供の教育に生かす。スマホにはこの姿勢で臨みたい。

(ジャーナリスト 沙鴎 一歩 写真=時事通信フォト、iStock.com)

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