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物議を醸している新作ドキュメンタリー、家族が語るマイケル・ジャクソンの真実

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「私たちが家族としてマイケルをよく知り、愛しているのと同じように、マイケル・ジャクソンを敬愛する人々、彼を知る人々はあの内容は信じない。あれは金儲けのためだけに作られた。その程度のものだ」と、マーロン・ジャクソンが言う。マーロン(上記写真の左から2番目)、ジャッキー・ジャクソン(右から2番目)、ティト・ジャクソン(右端)、ティトの息子タージ(左端)(Chris Pizzello/Invision/AP/REX/Shutterstock)

物議を醸しているマイケル・ジャクソンの新作ドキュメンタリーが放送されるのを受けて、ジャクソン5のオリジナル・メンバーであるジャッキー、マーロン、ティト、そして甥のタージが性的虐待に異論を唱えた。「マイケルが生きていても彼らはこんなことをしたと思うかい? 絶対にしなかったはずだよ」と、ローリングストーン誌のロングインタビューに応じてくれた。

マイケルの兄たちは米現地時間2月26日に家族として初めて『Leaving Neverland』について話をしてくれた。この最新ドキュメンタリーではマイケル・ジャクソンを告発した人々に焦点が当てられている。

ジャクソンズが海外公演を行っている最中だった。このニュースが投げ込まれた手榴弾のように突然爆発した。偉大なポップアイコンであり、彼らの家族だった故マイケル・ジャクソンに関する最新ドキュメンタリーに、新たに性的虐待で彼を告訴した2人の少年が加わることが伝えられたのである。このニュースに対する長兄ジャッキーの反応は「ほら、まただ」という単純なものだった。

新ドキュメンタリー『Leaving Neverland(原題)』は新たな告訴を含む二部構成の4時間番組で、マイケルの兄たちはまだ見ていない。すでに成人になっているウェイド・ロブソンとジェイムズ・セーフチャックの少年時代が描かれたこのドキュメンタリーで、彼らは1980年代と1990年代にジャクソンのネバーランド・ランチでのお泊まり会で性的ないたずらをされたと主張している。ちなみにネバーランド・ランチはカリフォルニア州サンタバーバラ郊外にあった。

HBOで米国時間の日曜日と月曜日(3月3日と4日)に放送されるこのドキュメンタリーは、2009年に他界したジャクソンから子どもの頃に性的虐待を受けたと最初に告訴した2人の元少年の記憶から始まる。1993年の民事裁判は示談になり、犯罪捜査も中止された。また2005年の刑事裁判は無罪判決が出た。

ジャクソン家の人々はどの告訴も受け入れることを拒んでおり、『Leaving Neverland』の主役の元少年2人が告発した動機は金銭と名声に対する欲だと推測する。この元少年たちは、ジャクソンの財産から弁護士が算出した数億ドルにのぼる損害賠償を請求する裁判を起こしたが、死亡者を訴えることのできる時効を過ぎての訴えだったため、裁判所に却下された。現在2人とも上告中である。

ジャクソンの財産を管理する弁護士ジョナサン・P・スタインサピアによると、この裁判が行われることになったとしても「こちらが勝訴する確率はかなり高いと考えている」と言う。

今週、ビバリーヒルズにあるホテルのレストランの個室にジャクソン家の親族が4人集まった。マイケルを擁護し、HBOのドキュメンタリーを非難するインタビューを行うためだ。4人のうち3人はジャクソン5のオリジナル・メンバーであるジャッキー(67歳)、マーロン(61歳)、ティト(65歳)で、ティトはトレードマークの山高帽をかぶっていた。

「マイケルが生きていても彼らはこんなことをしたと思うかい? 絶対にしなかったはずだよ」と、ジャッキーが強調する。「弟はもうこの世にいない。だから格好のターゲットなのさ」と。

ジャクソン兄弟の誰一人としてマイケル・ジャクソン・エステートから直接的な恩恵を一切受けていない。同エステートはマイケル・ジャクソンの財産を管理し、近年は大繁盛している。マイケルの死後、同エステートはインフレ調整後に210億ドル(約2兆3000億円)の利益を上げているとフォーブス誌が報じた。ラスベガスで公開中のシルク・ド・ソレイユのショー『Michael Jackson: One(原題)』は今年で6年目となり、ミュージカル『Dont Stop Til You Get Enough』が2020年にブロードウェイで幕開けする予定になっている。さらに同エステートはHBOを相手取って損害賠償1000万ドル(約1億1000万円)の訴訟を起こした。

だが2月にサンダンス映画祭で初公開されたこのドキュメンタリーは、マイケルの光輝くレガシーを曇らせ、死してなお人気が衰えない現在の勢いに影を落とす可能性がある。2013年に人気振付師のロブソンが最初の裁判を起こしたのは、ラスベガスのシルク・ド・ソレイユのショーで不採用が決まったあとだったと、ジャクソンの家族が指摘した。また、ロブソンもセーフチェックも、一度もマイケルから虐待を受けていないと過去に証言している。

マイケルにとって最も力強い擁護者は甥のタージ・ジャクソン(45歳)だろう。ティトの息子のタージは、彼自身も子どもの頃に(母方の叔父からの)性的虐待を受け、そのトラウマに打ち勝った過去を持つ。ローリングストーン誌のインタビューではタージも叔父たちに合流して話をしてくれた。

原告と同世代のタージは、子どもの頃に何度もネバーランドでお泊り会を楽しんだと言い、ロブソンのこともよく知っていると話した。ジャクソンズの他の叔父たちと同様に、タージ自身もマイケルに対する告訴を信じられないと言う。そして、他界してしまったマイケルに代わって、彼の名声と評判を守るのは家族の役割だ、と述べた。「僕たちはユニットなんだよ。こんなふうに嘘が広まったときには、みんなで力を合わせて防衛するのさ。だって僕たちは真実を知っているのだから」とタージが述べた。

―このドキュメンタリーについて話そうと思った理由は何ですか?

マーロン:もう他界してしまった弟の名前を汚そうとする輩が出現したら、誰でも弟を守ろうとするよね? あれはマイケルじゃない。彼はあんな人間じゃない。私たちは弟のことをよく知っているし、あのドキュメンタリーは偏っているし、あのドキュメンタリーが描いていることを裏付ける事実は一切ない。

―家族の中ですでにドキュメンタリーを見た人はいますか?

マーロン:見たいとすら思わないね。見る価値などないものだから。

タージ:脚本は読んだよ。僕は見たい。放送前に見たかったんだけど、彼らは絶対に見せてくれなかった。どんなことかを知っているから、僕はその話題について自由に発言できると思っている。だって僕の世代の話だから。ウェイド・ロブソンはよく知っている男だしね。

―このドキュメンタリーが製作されていたことは知っていましたか?

マーロン:いいや、知らなかった。

ジャッキー:2〜3週間前にオーストラリアにいたときに聞いた。私は兄弟たちと一緒にツアー中で、マネージャーが私たちに「君たちの兄弟に関する番組が放送される。好意的な内容ではないようだ」と教えてくれた。だから私は「ほら、まただ」と言ったよ。その話を聞いたときにこのドキュメンタリーが気がかりになったし、ここで取材を受けているのも弟を助けたいからだよ。

―ネバーランドには頻繁に行っていたのですか?

タージ:僕はよく行っていたよ。たぶんトータルで200回を超えている。

―他の方々もあそこで過ごすことは多かったのですか?

マーロン:私たちは成人していて、子どもたちがいる。やらなければいけないことがあるから、マイケルを追いかけ回すことはしなかったよ。

ジャッキー:あそこにはけっこう行っていたね。

マーロン:つまり、ネバーランドには行っていたけど、ネバーランドに滞在することはなかったっていうことだよ。

―この類いの告訴が起きたのはこれが初めてではないですよね。人々もそれを記憶していて、それを踏まえてこのドキュメンタリーを見るはずなので、それが先入観となる可能性もありますよね。

マーロン:そうじゃないことを願うよ。事実をチェックしたら、そんな先入観は消えるから。事実はこのドキュメンタリーが伝えることとはまったく違うんだよ。

タージ:僕たち家族はこの件に関して沈黙を続けてきたけど、その理由は侮辱は無視せよと教わってきたからだ。そのため、20年間に渡ってたくさんの嘘が流布されたし、それが世間の見方の一部となってしまったが、これらの嘘は嘘でしかない。多くの人が知らないことは、1993年の告訴は性的虐待じゃなかったってことだ。あの裁判で問われたのは過失だけだった。刑事裁判ではあの少年の証言を止めるものが何もなかった。あの少年は金がほしかったし、彼の父親も金がほしかった。

だから金が支払われると、彼らはあの裁判のことなどすっかり忘れてしまったんだ。カリフォルニア州の地方検事が証拠を手に入れれば、刑事訴訟をいつでも始められる可能性は消えていないが、FBIが10年間捜査を続けても何も出てこなかったんだから。(編注:1993年のジャクソンに対する民事訴訟は当初、性的暴行、誘惑、意図的な違法行為、精神的苦痛を意図的に与えたこと、詐欺行為、過失を問うもので、最終的にこの裁判は示談となり、罪状は過失のみとなった)

僕はネバーランドに何度も行っていたし、あの頃の叔父はネバーランドが盗聴されていると恐れていた。だから10年間調査しても……当時マイケル・ジャクソンはまだ生きていたけど、証拠は一切出てきていない。

―それに対してマイケルは何かしましたか?

ジャッキー:かなり落ち込んでいたよ。ネバーランドは奇襲にあったんだ。彼の牧場に横付けされたパトカーをテレビで見ただろう? 彼らがあれをしたとき、マイケルはツアー中でネバーランドにはいなかったんだよ。

タージ:警察は叔父のコンピュータなど、すべてを押収したのに、証拠となるものは何も見つけられなかった。子どもを対象にした性的虐待者というのはコンピュータに証拠を残すことが知られていて、コンピュータから証拠が発見されることが多い。ネバーランドを奇襲したのは70人の保安官と保安官代理たちだった。まるで麻薬捜査でもしているようだったよ。僕たちはその様子をテレビで見ていた。でも、彼らはマイケルが幼児性愛者という証拠は一つとして見つけられなかった。

ロンドン滞在中のマイケル・ジャクソンとジミー・セーフチャック, 1988年。

マーロン:そして、(ダン・リードが)HBOに売ったドキュメンタリーが出てきた。リードは、真実を語っているとウェイドを信用し、セーフチャックを信用した。彼らを信用することが悪いわけじゃない。でも、検証すべきなんだよ。HBOは大企業だ。そんな企業が適性評価をしないと思うかい? 自分たちが世間に広めるものの真偽を確認しないと思うかい? ところが、彼らの発言に真実は微塵もない上に、リードが取材しているのはウェイド・ロブソンと彼の家族、セーフチャックと彼の家族だけだ。ジャクソン家には一切連絡がなかったし、リードは他の子どもたちにも連絡していない。

ジャッキー:マイケルの友人にも、マイケルを知っている人たちにも、マイケルが大好きな関係者には一切連絡なしだ。そういう人たちへの取材はなかったんだよ。

マーロン:そういう人たちへ取材するつもりはなかったのさ。リードは自分が作り上げている番組の情報を漏らしたくなかったし、偏った内容にしたかったんだよ。一方的な話にね。これは嘘じゃない。すべては金のためなんだよ。

―誰のための金ですか?

マーロン:ちょっと待ってくれ、「誰のための金」ってどういう意味だい?

―つまり、テレビ局なのか、元少年2人なのか、それとも……。

タージ:そういう人たち全員だよ。僕たちが住んでいるのは人気の度合いを金銭で示す世界だ。フォロワーやソーシャルメディアを通して、人気が上がれば手に入る金も増えるのが現実だよ。それに、今になってウェイドとジェイムズが主張し始めたのも偶然じゃない。遺産が何百億ドルにも膨れ上がっているから、マイケル・ジャクソンを虐待者だと告発することに興味を示したのさ。そこにダン・リードの思惑も合致した。だってマイケル・ジャクソンを扱って有名になったジャーナリストがこれまでもたくさんいるから。あのドキュメンタリーのディレクターですら、リードは世間の耳目を集めている事例を探していたと言っているくらいだ。これ以上にリードの思惑をはっきり表す言葉はないと思うよ。

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