- 2019年03月05日 11:05
『ビバリーヒルズ高校白書』デュラン役ルーク・ペリーが脳卒中の合併症で逝去、享年52歳

『ビバリーヒルズ高校白書』クールで人を惹きつけてやまないディラン・マッケイ役を演じた、ルーク・ペリーが脳卒中に伴う合併症によって逝去した。52歳だった。ルークは、当時24歳から演じ始めた"ディラン"というティーンエイジャーの役を、世界的なアイコンにまで昇華させ、人々を魅了した。
ウエスト・ビバリーヒルズのバッドボーイ、ディラン・マッケイとしてルーク・ペリーが初登場した『ビバリーヒルズ高校白書』は、ペリーの24歳の誕生日と同じ日に放送された。他の共演者と比べるとまだ若かったものの(ガブリエル・カーテリスはシーズン1の途中で30歳を迎えた)、ペリーには貫禄と役にふさわしい体つきが備わっていた。1990年代にかけて放送された米FOXテレビの青春ドラマでブレイクしたスター俳優は、大の大人を雇って高校2、3年生役をやらせる、というジョークの格好の標的となった。
そして今、そんな策略は痛ましくも覆されてしまった。ルーク・ペリーは脳卒中に伴う合併症によって52歳で死亡したのだ。あまりにもはやすぎる死だ。ましてや、大人としての人生とキャリアを通してボーイッシュな役柄を演じてきた人物にとってはなおさらだ。
2時間の『ビバリーヒルズ高校白書』のパイロット版にペリーが出演していなかったのは、コメンテーターのほとんどが同作を1990年代の秋から次々と放送された青春・学園ドラマの後出しジャンケン的な作品としてとらえていた理由のひとつかもしれない(他には『フェリスはある朝突然に』のテレブ向けスピンオフ作品、『Parker Lewis Cant Lose』という『フェリス』のまがいもの、『Hull High』というティーンミュージカル作品がある)。
大多数の作品が埋もれていくなか(実際、『フェリス』よりも『Parker Lewis Cant Lose』のほうが作品として優れていただけでなく、長期的な人気を博す結果となった)、ペリーの存在感のおかげでパイロット版以降も『ビバリーヒルズ高校白書』は10シーズンにわたって続いた。さらには『メルローズ・プレイス』というビバヒルよりも人気を博したスピンオフ作品——もともと両作はディランを通してリンクしていた——を生んだ。米CWネットワークが手がけた『メルローズ・プレイス』は、5シーズン続いた。
ペリーが脳卒中に倒れた後には、『ビバリーヒルズ高校白書』のオリジナルキャストによる『ラリーのミッドライフ★クライシス』を彷彿とさせる作中劇をテーマとしたテレビシリーズの予定が発表されていた。
どの世代にも心をときめかせてくれたティーンアイコンが存在する。1960年代から70年代に生まれたX世代(ジェネレーションX)にとって、ディラン・マッケイがまさにそんな存在だった。クールで人を惹きつけてやまないペリーは、まじめに文化の衝突を描こうとしたコメディータッチの作品をよりメロドラマ的な、視聴者を虜にする連続ドラマへと変化させた。
やがてディランという役の存在感はあまりに大きくなり、制作側でさえ、どう扱っていいかわからなくなったほどだ(他の登場人物が大学2年生になっても、ディランは盗まれた遺産を取り戻すため人を雇って奮闘していた的な設定)。そうした初期の時代やとりわけ様々な三角関係にとらわれる役柄は、何十年経った今でもビバヒルを社会現象へと昇華させたのだ。
ハリウッドという世界は、イメージが定着した役者には同じ役を与え続ける場所だ。とりわけ、キャリアのスタートに過ぎなかったディランという若者を演じてペリーほど有名になった人物にとってはその傾向が強かった。年を重ねるごとにペリーは芸能界が彼に押し付けようとした殻を打ち破るため、できる限りの努力をした。
米HBOの初ドラマ『OZ /オズ』では投獄されたテレビ宣教師としてすばらしい演技を披露し、暴力的な番組で事実上2回殺される唯一の登場人物となった。アニメ『ザ・シンプソンズ』ではスタントで重傷を負ったクラスティの腹違いの兄弟の声優を務め(「僕の顔! 僕の大事な顔が!!」と叫ぶセリフが有名)、セレブリティーのなかでも早々に同作で風刺の対象となった。ドラマチックな役を与えられると全力で取り組み、時にはイメージに反する役も進んで引き受けた(テレビドラマ『John From Cincinnati』でのタレントスカウトなど)。
でも、いつもそうとは限らなかった。ここ最近、ペリーはビバヒルの作者たちが夢見ることさえできなかったほどクレージーな学園ドラマ『リバーデイル』の主人公アーチー・アンドリューの父フレッド役を演じていた。何もペリーはウィンクしながらフレッド役を演じたわけではない。そこには、アーチーと同い年だった頃には同じくらいワイルドなことを経験した、とはっきり感じさせるものがあった。
俳優としてのキャリア通じて、ペリーは自身の知名度と特定の世代からの人気を快く受け止めていたようだ。最新のリバイバル計画には関わっていなかったが、きっと『リバーデイル』の仕事で忙しかったからだろう。それに、超特別ゲストとしてウィンクをキメながらもみあげについてジョークを交わすペリーの姿を想像するのはなかなか難しい。ウエスト・ビバリーヒルズ高校の1993年のクラスが卒業してから長い月日が経った今、そこにペリーが参加したり、仕事の後に顔を出したりすることはもうないのだ。
後からだから言えることだが、24歳という年齢はティーネイジャーを演じるには決して歳をとり過ぎているわけではない。でも、52歳でルーク・ペリーがこの世を去るのはあまりにはやすぎる。
- Rolling Stone Japan
- 音楽カルチャーマガジン米Rolling Stone誌の日本版



