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東京から広島に通勤「副業会社員」の収入

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■遠い広島まで遠征「なぜそこまでして副業したいのか?」

とはいっても本業のある身。月に4日勤務とはいいながら本業に支障を来すことはないのか。

「福山市役所勤務には木曜日、金曜日の連日2日ずつ月に4日間をあてています。その分、本業の仕事を固めて処理したり、いない間の引き継ぎをしたりと最初は大変でした。でも、逆に時間に制約があるのでムダな仕事を省いたり、効率を考えて仕事をしたりするようになり、よい意味で割り切れるようになった。意外とできるものだなと実感しています」(野口氏)

じつは野口さんは福山市の副業をきっかけに岩手県の水産加工会社の組織づくりや農業系会社の支援など副業先が広がりつつある。野口さんにとって副業の魅力は何なのか。

「もちろん今の会社でいろんな経験はできますが、それでも一つの組織、一つの文化の中でのキャリアです。副業は自分で選択して違う文化に飛び込むことです。敷かれたレールではなく自分で選んだ自由がある。自由があるからがんばれると思うし、副業を言い訳にすることなく今の会社でもしっかりやろうという気持ちになります。やり始めたときは意識していませんでしたが、今は自由を手に入れた解放感のようなものを感じています」

家族は妻と去年の夏に生まれたばかりの子どもが一人。今は二人三脚で子育てをしているが「副業ができているのは妻のバックアップのおかげ」と感謝する。

■2人の子を育てながら広島で副業する都内在住39歳女性のスキル

子育てでは5歳と3歳の娘を抱える西依清香(にしより・さやか)さん(39歳)も負けてはいない。


※写真はイメージです(写真=iStock.com/RichLegg)

都内の自然エネルギー関連会社に勤務しながら子育てと福山市の副業をこなす。応募の動機はこうだ。

「ビズリーチ主催の福山市の副業の説明会の案内を夫がメールで転送したのがきっかけです。私が中小企業診断士の資格を持ち、地域支援事業の手伝いをした経験があるので、夫から『興味があるんじゃない?』と言ってきたのです。私も子育てしているので地域の少子化対策にも興味がありました」

福山市の宿泊出張の際は、夫が保育園の送迎など世話をしてくれる。「私がいない日は子どもにご飯を食べさせて寝かしつけてくれますし、夫の理解と協力に感謝しています。内心、副業のメールを転送して(本当に働きだしてしまって)失敗した、と思っているかどうか知りませんが」と笑う。

西依さんの主なミッションは女性・母親視点を生かした子育て施策の拡充と市役所内の働き方改革のサポート。

「子どもを持つ母親の負担を少しでも軽減することや子どもを持つことを不安に思っている若い世代に対する施策の提案もさせてもらっています。最初は行政の仕事のやり方や流れを知らないので試行錯誤でしたが、提案する以前に協力体制を築くことが大事だと思うようになりました。また、受け入れの窓口である企画政策課をはじめ新しい人たちの出会いからも刺激を受けましたし、副業を通じて世の中に対して意味のある仕事をしてみたいという思いに改めて気づかされたことも大きな収穫です」

■「市役所の職員も5人の働きぶりを見て刺激を受けています」

昨年の11月には地元の新聞にも取り上げられた福山市立大学の学生と企業を巻き込んだセミナーをプロデュース。「就活の会社研究ではなく、30歳までに結婚・出産を含めた仕事とキャリアをどう考えるのかというワークショップを開催したところ、学生や企業からも高い評価をもらった」(西依氏)ことも自信につながったと言う。

副業を含めた自身のキャリアについて西依さんはこう語る。

「私はこの道一筋で昇進したいというキャリア観は持っていません。自分がおもしろいと思ったら、それに向かってフレキシブルに動けることがすごく重要だと思っています。3~5年の経験を経て、仕事の幅を広げるために次のステップは何かを考えて自分で決め、結果的に何かの役に立っていることになるといいなと思っています」

福山市は引き続き5人の副業者に働いてもらいたい意向だ。前出の中村部長は語る。

「5人の方に来てもらってよかったと思います。行政の課題は1年程度では答えが出ませんし、2~3年かかるような事業もあります。市役所の職員も5人の働きぶりを見て刺激を受けています。職員の意識改革も副業者の受け入れのもう一つの目的ですが、一緒に仕事をすることによって大きな効果が生まれると信じています」

先のパーソル総研の副業者調査によると、副業をやることの本業への最も大きい効果として、「既存のやり方にこだわらず、よいと思ったやり方で仕事をするようになった」「自分の仕事のやり方や経験を定期的に振り返るようになった」と答えている。民間企業と自治体という異文化で二足のわらじの経験がもたらす意義は大きいと感じた。

(ジャーナリスト 溝上 憲文 写真=iStock.com)

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