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下降線のときにもサステイナブルな社会を

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そうした観点に立つとき,先般の臨時国会で急遽上程され成立した入管法改正案による拙速な外国人労働者導入の急拡大は,あまりに無理の多い政策である。今まで研修や技能実習名目で,外国人労働者を奴隷労働のように働かせてきたことは反省し,大きな改善をなすべきであることは言うまでもない。しかし,外国人労働者を日本に馴染ませる努力やその仕組みの制度設計を後回しにして,人数のみを急拡大するのでは,日本社会に大きな軋轢を生む可能性がある。

少なくとも日本語を理解し,多少なりとも日本人と触れ合った経験のある外国人であれば,意外に日本社会の考え方・在り方に共鳴するところはあるし,馴染むところは必ず出てくる。しかし,そのような努力や仕組みがない中で人数だけを急拡大すれば,日本社会とは断絶したコミュニティが形成され,日本人との間で強い軋轢が生じかねない。

もう一つ,日本ではまだ意識されていないが,欧州では,宗教上の理由から,イスラム系移民の出生率が格段に高いため,そう遠くない未来に,欧州の人種構成が変動し,欧州がそれまでの歴史的連続性を持った欧州とは全く異なったものとなるであろうと言われ始めている(詳しくはダグラス・マレー「西洋の自死」)。

日本という国の人口構成が大きく変動すれば,今の日本とは全く異なった社会が生まれることになる。そのことを,今の経済的必要との天秤で,国民がリスクを甘受して選択するのであればそれはそれでいい。しかし,先頃の法案導入にあたっては,お世辞にも国民に対してわかりやすく説明や問いかけがなされたとは言い難いし,国民的議論がなされたという事実はなかった。外国人労働者に対する日本語教育などの制度が確立されるかどうか,受け入れ数値が過大とはなっていないか,などを含め未来を見据えた制度の検証が,これから受け入れが始まっていくと同時になされていかなければならない。

最後にもう一つ,忘れてはならないのは,サステイナブルな社会を目指す中には,国や地方自治体の財政の持続可能も含まれているということだ。国民に対する人口減少対策ともなるベーシックサービス(教育費無償化や子育て給付金など)の拡充が,負担の先送りである国債発行に過度に依存してはならない。やるのであれば,消費税・法人税の税率引き上げや,他の支出(よくいわれる防衛費だけではなく歳出全般)の削減を含め,国民全体もしくはどこかの既得権益層に痛みを伴う政策導入として行わなければ真に未来を見据えた持続可能な政策とは言えない。

負担もなく,サービスだけが拡充される,そんな都合のよい話はどこにもない。あったとしたら,必ずどこかに隠された問題があり,やがてその問題が新たなる問題を生むのだ。

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