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カメントツさん&やしろあずきさんに直撃!出版社も注目、続々サポート体制を構築する「web漫画家」の世界


 日本が世界に誇る漫画文化。紙媒体のコミック売り上げが下降気味の中、拡大を続けているのが電子出版市場だ。2015年から2018年の間で約2000億円も売り上げがアップ。それに伴って、web漫画家とは、自作の漫画をツイッターやインスタなどにアップしたり、webサイトやアプリで漫画を連載したりしている漫画家や、web漫画アプリも増加している。



 人気急上昇中の"web漫画家"カメントツさん(32)は、2006年に名古屋の芸術大学を卒業後、就職。2013年に脱サラしてフリーのイラストレーターとなった。2014年にはwebサイト「オモコロ」で自身の突撃取材を題材としたルポ漫画連載を開始した。


 「オモコロ」の運営会社バーグハンバーグバーグの元代表であるシモダテツヤ氏は当時のカメントツさんについて「最初からweb漫画家でいくと言っていたのをすごく覚えている。書籍で出したいという人がすごく多い時代にそれを明言して強みに変えているのはすごいと思った」と振り返る。


 その後、小学館の『月刊少年サンデー』にて先輩漫画家を取材する連載をしてした。そんな中、疲れた友人を励ますために描いた4というコマ漫画『こぐまのケーキ屋さん』はツイッターに投稿されるや一気に拡散され、約26万いいね!を獲得。出版社からの問い合わせが殺到し、ツイートからわずか6日で書籍化が決定。カメントツさんの代表作になった。「基本的にすべての漫画はwebに掲載することをポリシーにしている。その上で、紙のお仕事もさせていただいている感じ」だという。


 web漫画家の中には、商業誌とは別の場所を主戦場としている人もいる。大人気のweb漫画家・やしろあずきさん(29)が最も力を入れているのはブログだ。自身の体験や、中二病だった過去の黒歴史などをおもしろ4コマで紹介している。「自分が好きなことを描いて収入も得られて、他の人も楽しんでくれるっていうことで、ブログは始めて良かった仕事ナンバーワンな気がする」。


 2011年に東京工科大学を卒業後、ゲーム会社へ就職。2013年に脱サラし、フリーランスとして活動を始めた。2015年に『スタバで見た小学生達の話』をツイッターに投稿、15万リツイートを獲得した。


 同作について、やしろさんは「スタバに小学生が入ってきて、ませた小学生だなと思って見ていたら、スタバの高い椅子から降りられなくなってマジ泣きし始めた。それがむちゃくちゃ面白くて、それを漫画にしたらものすごくリツイートが伸びた。実はその時の小学生と最近繋がって、今年の夏に会うことになった」と明かした。


 そんなやしろさんの最高月収はなんと500万円だという。その内訳はブログが最も多く200万円、会社役員報酬で80万円、web連載で20万円、そして企業案件で30~200万円だ。「僕は漫画版のユーチューバーだと思っている。ユーチューバーも日常の動画をあげつつ、たまに企業案件とかをやる。僕らもそれと変わらない形態だなと」。そして変わったところでは、"三角コーンリース業"で5000円ほどの収入があるという。これは「家にたくさんファンの方から届くので少量から学校や自治体にリースするようになったら、月5000円くらいの収入になった」というもので、三角コーンにサインを描いてファンに渡す三角コーン配布会も開催したことがあるという。

 一方、カメントツさんは「web漫画家という職業をやってると、悲しくなることがある。例えば職業聞かれて漫画家ですと答えると、どこの雑誌に連載しているか聞かれる。そこでwebで連載していますと答えると『夢、叶うといいっすね』みたいなテンションで、なぜか志望者扱いされる。ちゃんとした職業なんだということをアピールしていきたい」と明かす。やしろさんも「引っ越しした時、業者さんに漫画を描いてることを気づかれた。webで連載していると話すと、あとで"webでやってるらしい、誰だか分かんね"みたいなことを話しているのが聞こえた」と話した。


 拡大を続けるweb漫画市場に、少年誌を手がける各社も開拓に力を入れる。サンデー編集部は、デジタル漫画サービス「サンデーうぇぶり」を立ち上げ、web漫画に限定したコンテストを定期的に開催。受賞作は即「サンデーうぇぶり」に掲載されるという。『週刊少年サンデー』編集部副編集長の大嶋一範氏は「webは無限に載せることも可能なので、各社さんデビューさせやすい。登場しやすいような土壌になっていると思う」と話す。「レベルが低いものが集まるかっていうと、決してそんなことはない。すごい才能がきっといると思っている」。


 同誌のライバルでもある『週刊少年マガジン』編集部も漫画投稿サイト「マガジンデビュー」をスタートさせた。誰でも漫画を投稿できる上、現役のマガジン編集者たちが目を通し、かなり具体的なアドバイスも含む感想をコメントしてくれるのが魅力だ。有望な作品には、編集者から担当希望が届き、デビューに向けた第一歩を踏み出せる。編集部の仲田帝士氏は「こういう所が面白かったとか、読みにくかったということを伝えるためにコメント機能をつけさせていただいていて、それを読んだ作者も返信ができる。web上で擬似打ち合わせみたいなのができる」と話す。




 『ラブひな』や『魔法先生ネギま!』で知られる赤松健さんは、今後の漫画界について「見ていて面白いのが相当あるので脅威。いつまでもバズり続けるweb漫画家が出てくる」「同じ漫画描きなのでね。敵じゃない。日本の文化を海外に発信する仲間」との見解を示した。


 カメントツさんは「同じパイを奪い合うという発想が漫画家にはない。面白ければ面白いほど、エンタメにお金やリソースをつぎ込んでくれる。僕とやしろくんみたいに仲の良い仲間は多いし、ツイッターで絡んでたりするとファン同士が喜んでくれたりする。そういう意味でお互い仲良くなるのはすごく重要」と指摘。

 また、やしろさんも「僕やカメントツさんは周りに先輩がいないような状態からやってきた。僕たちが稼げているっていう発信をすることで、ちゃんと頑張れば稼げる業界なんだなと後から人が入ってきて、web漫画業界自体を盛り上げていってくれればと思う。描くものは漫画で同じ。どこに掲載しても面白いものは面白いし、売れるものは売れる。みんなが来てくれると嬉しい。web漫画家は仲が良くて、先駆者がいないところで、みんなで情報共有しながらやっていこうというところもある。僕たちもそうだし、他の作家さんも集まったりとか飲んだりする。雑誌で描いてる人は敵意を持っているんじゃないかなと思っていたが、赤松先生ほどの方が仲間だと思ってくれているというのは、非常に安心した」と話した。


 盛り上がりを見せるweb漫画業界。紙媒体の漫画家にとって脅威となるのか、あるいは共に漫画を盛り上げる仲間となるのだろうか。web漫画の未来に注目が集まりそうだ。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶放送済み『AbemaPrime』は期間限定で無料配信中

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