- 2012年04月09日 10:00
日本経済と貧困を救うキーワード「BOP」って何?
一方、年間所得2万ドル以上の層、つまり所得ピラミッドの上部にいる人びとを トップ・オブ・ザ・ピラミッド(TOP)と呼ぶ。 欧米などの先進国を中心に約2億人がいる。 BOPとTOPの中間にあるのがミドル・オブ・ザ・ピラミッド(MOP)だ。 およそ20億人いる。
日本企業は、これまでTOPを対象にビジネスを展開してきた。 ところがここ数年、途上国の経済発展によりMOPが拡大し、新たなマーケットに なってきた。しかしながら、日本企業はそこでやや出遅れていると言われる。
さてBOPだが、もともとは援助の対象であり、ビジネスの対象ではなかった。 ところがここにきて、欧米の多くの企業がBOPビジネスを展開するように なってきた。出遅れがちな日本の企業も、この市場に参入し始めているようだ。 たとえば、ヤクルトには、中国やインド、ブラジルなど海外14カ国で 乳酸飲料「ヤクルト」を売り込む現地女性の訪問販売員「ヤクルトレディ」がいる。 現地女性がもつ販売網の活用で売上を拡大させているのである。 同時に、現地女性を雇用することで地元の貧困層の雇用にも繋がる。 ほかにも味の素、明治製菓、住友化学、ヤマハ発動機、パナソニックなどが さまざまな挑戦をしている。
「BOP」という言葉を僕が初めて聞いたのは、4年前のことだった。 経済産業省での取材で耳にしたのだが、そのときから僕は取材を始めた。 ところが、BOPビジネスを始めた日本企業を取材しようとすると、 ほとんど断られるのである。 貧しい国でビジネスをすることに「恥」あるいは「後ろめたさ」を感じているようで あった。 これに対し、欧米の企業は積極的に取材に応じてくれた。 彼らはBOPビジネスに誇りをもっていた。彼らは、貧困地域を救い、その地域の人びとを 豊かにするのは意義のあることだと語ったのである。
4月2日の「日経新聞」朝刊で、「世界の低所得者 開拓」「40億人 将来の成長市場」
という見出しの記事が掲載された。
BOP ビジネスが広がり、日本企業もこの新しい市場に参入し始めたという内容だ。
このような記事が出たということは、日本の企業が取材に応じるようになってきた
証しだろう。
かつてBOPビジネスを「恥ずかしい」と思っていた認識が確実に変わってきているようだ。
「失われた20年」などともいわれる長い経済の低迷のために、日本企業の経営者たちは
みな守りに入っている。しかし、この厳しい状況を脱するためには、攻めの姿勢が必要だろう。
日本企業は市場のニーズを掴み、こまやかな対応をするのが得意だ。
BOPビジネスでもきっと成功できるはずだ。日本企業の復活と日本経済の再生の可能性は、
BOPビジネスの開拓によって大きく高まるに違いない。
長所を生かし、攻めの姿勢でチャレンジしてほしいと僕は思う。
40億人という新しい市場を見逃す手はない。日本経済の再生の鍵は、BOPにある。



