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最高裁 離婚後の共同親権が憲法違反であるという上告に門前払い

 離婚後の子の親権について単独親権を規定する現行民法は法の下の平等に違反し、違憲なのか、このような理由での上告に対し、最高裁は、上告理由にはあたらいと判断しました。
「単独親権」憲法判断示さず  最高裁、夫側の上告棄却決定」(毎日新聞2019年2月28日)

「妻と子の親権を争う夫が「一方の親から子の親権を奪うのは法の下の平等を定めた憲法14条に違反する」と訴えた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は26日付で夫側の上告を棄却する決定を出した。」
 この件は、上告時にも報道がありました。これに対する私の見解はこちらです。

離婚後の共同親権は弊害しかない 単独親権にこそ合理性がある 単独親権違憲訴訟にみる

 法の下の平等という発想が最初から子ども不在の発想でしかありません。父と母を平等にせよ、そこにどこに子の立場からの観点がありますか。子に対する支配の概念がそのまま親権という発想に結びつているとしかいいようがありません。

 この上告棄却の判決に対して、代理人の作花知志弁護士のコメントが弁護士ドットコムに掲載されています。

「共同親権」最高裁は憲法判断せず 作花弁護士「残念だが、将来への大きな一歩」

 全体として論旨不明なのですが、特にこのコメントの中でよくわからないのはこの部分。
「ちょうど訴訟が行われている際、全国各地で悲惨な児童虐待事件が続きました。今この瞬間でも、全国で泣いている子供たちがいることを考えると、現在の離婚後単独親権制度が完全なものだとは、私にはやはり思えないのです」
 何で今起きている虐待が離婚後の共同親権制度が不完全だという主張に結びつくのでしょう。

 最近、起きた虐待事件は、両親そろった中での犯行でしたし、多いのは連れ子を虐待する再婚相手の夫というパターンでしょう。母が単独で子育てをしている中での虐待事件がどれほどあるのか、あるいは離婚後も共同親権であれば虐待が防げるという発想も全くわかりません。

 普段、面会していれば虐待しているかどうかわかるって?

 それとも抑止力になる?

 それは面会のルールの話でしょう。それに本当に虐待しているのであれば親権変更などを求める手続もあれば児相への対応を要請すべき場合です。むしろ母親が1人で子育てをしなければならないストレスや孤独感などが原因であることも多く、それと他方親の子との面会は無関係です。

 離婚後の共同親権をバラ色にものに思い描いている人たち(弁護士も含む)が一体、どのような場面を想定しているのか、本当に理解しがたいものがあります。離婚後の共同親権を主張している人たちの主張は本当に具体性がないのが特徴なんです。

 当たり前か、そこにあるのは「子はオレのものだ」という主張でしかありませんから。

 親子の関係に憲法の保障はないのか、人権侵害だ、みたいな議論も聞くことがありますが、いやはや一体、何の人権ですか。何の憲法保障ですか。

 意味不明な主張なわけです。人権だというのですが、本来、人権保障は国家が人権を制約できるのかということの問題です。

 あくまで子や元配偶者との関係の調整の問題ですから、これを憲法論で議論することの意味がまるでわからないわけです。

 それを元配偶者との関係で不平等な扱いだという主張だというのであれば、その点は前述したとおりで、子に対する支配の観点しかないという批判があてはまるわけです。

 実際の監護という観点を全く理解しない、言い掛かりの主張でしかありません。

 しかも、こうした主張には、現在の家庭裁判所の面会原則実施論に立った運用を本当に理解しているのかなという疑問さえ沸いてきます。

 子を連れ去れた、それきり会えない。

 という主張がネット界(ツイッターなどで私に絡んでくる人たちのツイッター主の紹介文にはそのように書かれているものが結構、ありますね。)でよく見かけますし、この元国会議員である弁護士の見解(2017年4月のものですが)も、はっきりと疑問符ばかりなんです。
子供の連れ去りの問題についての認知なくして理解なし。」(ブロゴス 三谷英弘弁護士)

「離婚をすることが、すなわち一方の親と子供との今生の別れであるがごとき原則を変えていく必要がある、ということ。ここが最も大事な部分です。」
 単に面会させたくないという我が儘な理由は現在の調停では全く相手にされません。審判に移行しても同様です。実際に面会が実現できていないのは、相応の理由がある場合です(中には面会が不当な理由で実現できていない案件があるということを否定するものではありません。)。

 むしろ問題のある案件ですら裁判所が面会を強要することの方こそ問題が大きいのです。

 従って、この弁護士の主張は前提が全くの疑問符なんです。

離婚後の共同親権は離婚後も相手を支配するための道具になるんだよね


 離婚後の共同親権などは百害あって一利なしです。よくよく考えましょう。

離婚後の共同親権とは何か 子どもの視点から考える

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