- 2019年03月01日 11:41
被曝基準緩和に使われる宮崎・早野論文に不正嫌疑(藍原寛子)
2/2【解明するのは簡単】
伊達市は2月4日、同市から宮崎・早野両氏への個人情報提供が個人情報保護条例等の法律や規則等の手続きに抵触しないか、研究倫理から適正かどうかを検証する独立の第三者による「伊達市被ばくデータ提供に関する調査委員会」(委員長・駒田晋一弁護士)を発足させ、本格検証に入った。
伊達市議会は市の調査委員会開催を受けて同日、会派代表者会議を開き、今後、論文を執筆した宮崎・早野両氏と、問題を提起した黒川氏を招いた「勉強会」を開催すること、「市の調査委員会の結果に納得がいかない場合には、議会の特別委員会を設置して調査を進める」など、真相究明を続けていくことを確認した。
同日、市内で開かれた議会報告会に出席した市民からは、「論文に自分のデータ使用を許可・同意した覚えはない」「ガラスバッジの結果を論文に使うという説明を全く受けていなかったので、受け取ってもその辺に置いたままにしていた。データ自体が正しく測定されていないのではないか」と論文に疑義を唱える声が挙がった。
一方、住民同意がない個人情報を論文に使った可能性について昨年、住民から申し立てを受け、論文不正調査に入るかどうか「予備調査」をしていた東京大学は同日、当事者からの聞き取り調査も含めた「本格調査」に入ることを決定した。申立人代理人の柳原敏夫弁護士は「不正の有無を調べるだけの十分な理由があると判断されたことは重要なことだ。ただ、本格調査に入るか否かを決める期限の原則1カ月より、かなり遅れた。相当な議論があり紛糾したことが推測される。東大としても、ちゃんと調べないとマズいということになったのではないか」と語った。
東大同様に申立を受けた福島県立医科大学は2月7日、「調査を本格的に進めるか否かの検討中で、近く結論を出す」という。
筆者の取材に対して、早野名誉教授は2月8日、「本格調査に入っておりますので、コメントは差し控えます」とメールで答えた。
同意書の問題の解明には、科学の専門知識や複雑な方程式は要らない。論文の共著者が、日付の入った被験者自筆署名入りの同意書の束を示すだけで良い。仮に同意取得の簡略化が倫理審査委員会で認められていたとしても(筆者は発見できていない)、調査前と後の被験者説明会の日時や場所などの広報や、議事録など記録を示せば良い。「ないものを証明せよ」などという難解な「悪魔の証明」は、この論文疑惑解決の“方程式”にはあてはまらないのだから。
(藍原寛子・ジャーナリスト、2019年2月15日号)
追記:福島県立医科大学も2月21日、研究不正調査委員会を設置して、本格調査に入ることを決定した。



