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裸の王様「特捜検察」を即刻解体せよ

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GHQがメディアに強制した自主検閲



GHQが行った検閲は、旧日本軍部の言論統制のように検閲した部分を黒く塗りつぶすような稚拙なやり方とは異なり、メディア側の自主検閲という巧妙な仕掛けで行われた。すなわち、検閲行為は存在していたにも関わらず、そのことは一般国民にはわからぬように仕組まれたのだ。GHQは、メディアに対して検閲のガイドラインを示し、それに従わぬ報道機関は、有無を言わさず取り潰すという圧力を加えた。その結果、日本のメディアは検閲ガイドラインを念頭に置きつつ、あたかもタブーを自己増殖させるような形で閉ざされた言語空を形成していった。日本のマスメディアの多くは、何かを伝えようとするのではなく、逆に伝えてはならないタブーを常につくりだし、そのタブーを中心とした、閉ざされた言語空間の「空気を読む」ことで生き延びるという道を選択したのだ。

そして、ここ数年で手の内がすっかり明らかになってしまった特捜検察とメディアの共犯関係も、この占領期の闇の時代にその原型が形作られた。特捜検察が獲物を捕らえると、メディアが総動員で検察からのリーク情報をもとに血祭りに上げ、裁判がスタートする以前に犯罪者としてのイメージが作り上げられてしまう。この基本構造はGHQの占領政策の下で政官支配のために仕組まれたものであるが、占領時代が終わっても特捜とメディアの共犯関係はそのまま存続したのである。

実はそうした共犯関係に基づく特捜事件およびその報道とは、日本というムラ社会にある種のカタルシスをもたらす祭りのような機能を果たした。これまでの特捜事件を通じて逮捕、起訴された政治家、官僚、経営者は、その祭りのスケープゴートにされたといってもよい。

特捜とメディアの共犯関係の底流にある祭りの構造



もちろん、これまでの特捜事件が全て冤罪であったなどというつもりはない。しかし、この国の人々が、特捜検察によって新たなスケープゴートが祭り上られる度に喝采の声を上げてきたのは紛れもない事実であり、生け贄の血を欲したのは、特捜検察やメディアというより、この国の人々のほうなのだ。

郵政不正事件をめぐる村木厚子さんの冤罪事件などに関わることを通じて、冤罪を生み出すものとは結局何なのかと折ある毎に考えてきたが、多くの場合、冤罪を最初から意図的に仕組む極悪人がいたわけではない。冤罪が生まれるきっかけとなっているのは、検察組織の中で上層部の見立てには逆らえないというサラリーマン根性であったり、特捜にいるうちに手柄を立てて昇進コースに乗りたいというような卑しい出世欲であったりする。

そうした小さな劣情の連鎖が、結果として冤罪を生み出し、無実の人間の人生を大きく狂わすわけだから、法曹人はより高い品性を持って仕事をしなければならないというのは当然だ。しかし、そうした議論以前に、そもそも特捜という組織が、日本ムラの生け贄祭りの祭司として機能しているのだとしたら、その構造自体が冤罪を生み出す土壌、根本要因になっているといえよう。

歴史的使命を終えた特捜という組織



特捜の本来のミッションは、占領時代が終了した時に終わっている。ところが、その後も組織はゾンビのように存続したために「お天道様」として振る舞わざるを得なくなり「検察無謬神話」が作り上げられていった。しかし、その無謬神話に縛られたことで、逆に冤罪をつくりだし、証拠を改竄し、供述を捏造するような組織に成り下がってしまった。さらに、ライブドア事件など最近の経済事件などにおいては、郷原信郎氏などが指摘しているように、時代錯誤な法律運用や経済音痴による弊害ばかりが目につく。今や裸の王様と化した特捜は即刻解体すべきだ。

特捜検察に屠られたスケープゴート、例えば、江副浩正、鈴木宗男、堀江貴文といった人たちは、国策捜査のまさしく被害者だと考えているが、ここで繰り返し指摘しておきたいのは、彼らが成功者の座から引きずり下ろされる姿を見て喝采していたのは、他ならぬ私も含めたこの国の愚かな国民だったということだ。もういい加減、特捜検察に「世直し」を期待したり、彼らを世の不正の全て暴いてくれる「お天道様」に準えたりすることからは卒業しなくてはならぬ。我が心の「特捜」を解体することこそが特捜検察解体の第一歩となる。

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