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"申請しないと損をする"親の介護費医療費

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■介護費用が高額なときに利用したい制度

介護費用が高額になったときに、利用したいのが「高額介護サービス費」。1カ月の自己負担額が一定ラインを超えると払い戻しを受けられる。たとえば住民税課税世帯の1カ月の限度額は4万4400円。年金収入が280万円以上の自己負担割合は2割なので、要介護5で30万円分のサービスを使った場合は月6万円を支払うが、高額介護サービス費を申請すると、超過分の1万5600円が払い戻される。高額介護サービス費は、最初に申請すると、翌月から自動的に市町村で処理してくれる。医療費も高額になった場合は、年間の介護費と医療費を合わせて払い戻してもらえる「高額医療・高額介護合算療養費制度」もあるので加入医療保険に問い合わせてみよう。

身体障害者手帳の交付を受けられれば、等級に応じて税金の減免や公共交通機関の割引等も受けられるが、親の介護で手帳の有無にかかわらず、受けられる可能性があるのが「高齢者の障害者控除認定」だ。

「扶養家族に寝たきりや認知症の高齢者がいる場合、たとえば寝たきりの期間が6カ月以上続いていて、排便に介護が必要、あるいは認知症の程度に応じて、市町村から『障害者控除対象者認定書』を発行してもらうと、障害者控除や特別障害者控除が受けられます。障害者控除は、所得金額から、所得税は27万円、住民税は26万円、特別障害者控除では40万円と30万円がそれぞれ控除されるので、介護が必要な老親を扶養する現役世代には大きな節税になります。認定の条件は市町村により異なり申請が必要なので、親御さんの住む自治体に確認してみましょう」(おちさん)

同居している親を介護している場合、「世帯分離」をすると負担が抑えられるケースもある。

「介護費用の軽減制度は、世帯全員が住民税非課税だと、さまざまな優遇が受けられます。が、現役世代と同居していると課税世帯となりがちです。そこで、実際は同居していても、住民票上の世帯を分けて、親の介護費用の負担を下げている人もいます。ただし、場合によっては、世帯分離しないで同居扶養控除などを受けたほうがお得になることもあるので、プラスマイナスをよく計算することです」(おちさん)

■親の介護費用は、親のお金を使うのが原則

親の介護費用は子どもが出すべきか迷うところだが、黒田さんは「親の介護費用は、親のお金を使うのが原則」だという。子どもはお金より、ケアマネとの連絡役や事業者の選定、高額介護サービス費の請求など、介護環境の整備や情報収集に注力して、親がオトクに安心して介護が受けられるよう見守りたい。

親自身のお金で医療費や介護費を賄ってもらうためには、老後資金は少しでも増やしてあげたい。公的年金は支給開始年齢を遅らせると、もらえる年金額が繰り下げた月数×0.7%増額される(ただし、老齢厚生年金を繰り下げると、妻の加給年金は消滅する)。また、国民年金のみの自営業の人は、月400円ずつ付加保険料を納めると、納付月数×200円が将来もらえる年金額に上乗せされる。いずれもすでに受給している場合は利用できないが、これから年金をもらう親がいる場合は、利用を検討してみよう。

最後に考えておきたいのが、終末期医療の問題だ。希望に沿ったケアを受けるためにも、富家さんは「患者自身が終末期医療の方針を示す『事前指示書』をつくっておくといい」という。

「胃ろうなどの経管栄養を利用するか、人工呼吸器をつけるか、蘇生術を受けるかなど、自分の意思を明確にしておくことが大切です」

厚生労働省も、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」を改定。2018年4月の診療報酬改定では、患者から事前指示書を取得した医療機関に対して医療費を加算し、普及を進めている。

治療方針は、お金がかかるかどうかで決めることではないし、人の気持ちは変わるものだ。指示書を書いたときと実際に医療を受けるときとでは、医療に望むものが変わることもある。1度書いたら、その通りにしなければいけないものではないが、親が望む形で最期を迎えるために、事前指示書を書いておいてもらうのも1つの手段だ。

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おちとよこ

医療福祉ジャーナリスト

高齢者問題研究家。高齢者介護、医療、福祉などをテーマに活躍。著書に『一人でもだいじょうぶ 仕事を辞めずに介護する』(日本評論社)など。 



富家 孝(ふけ・たかし)

医師、ジャーナリスト

東京慈恵会医科大卒。開業医、病院経営、日本女子体育大学助教授を経て、医療コンサルタントに。新日本プロレス・ドクター。著書に『ブラック病院』など65冊以上。 



黒田尚子(くろだ・なおこ)

ファイナンシャルプランナー

CFP1級FP技能士。日本総合研究所に勤務後、1998年に独立系FPに転身。著書に『親の介護は9割逃げよ』『入院・介護「はじめて」ガイド』など多数。 

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■▼「世帯分離」で得する仕組み

(フリーライター 早川 幸子 撮影=大杉和広 写真=PIXTA、iStock.com)

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