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『離婚後の共同親権とは何か 子どもの視点から考える』

 新しく出版されたものですが、とてもよい文献です。離婚後の共同親権論がいかに危険な制度かがよくわかります。
『離婚後の共同親権とは何か 子どもの視点から考える』
(梶村太一・長谷川京子・吉田容子編著)



 離婚後の共同親権には百害あって一利なしというものですが、諸外国との比較でも丁寧に論じられています。諸外国(オーストラリア、米国)の失敗は、離婚後の共同親権は、決して理想でも世界の流れでも何でもないことがよくわかります。

 共同親権を離婚後の面会交流に結びつける人たちがいますが、あまりにナンセンス。子のためではなく、自らの支配を貫徹したいという思いばかりが伝わってきます。

 この一節(p46)ですが、ある日、突然に妻が子を連れて出て行ったという主張は、「同居しているにもかかわらず、身近にいるパートナーが悩み続けていたことに全く気づかない無頓着さ、無関心さ、自己中心的発想が「ある日突然」という自白なのである」というのは、問題の所在を突いています。

 文献の中の紹介ですが、現在の家庭裁判所は面会原則実施論に立っているのに面会が実現しないのは、その当人に問題があるのではないかという指摘です。

 なお、本著の中で、でっち上げDVについての指摘もありましたが、本著ではそのようなものはないと断言していましたが、そこは言い過ぎでしょう。でっち上げ事例が皆無とは申しません。しかし、一般的ではないだろうし、仮にそのような事例があったとしても、現状では前述したとおり家庭裁判所の運用がそれがDV事案であろうと面会強制に傾いていますし、それでも面会が実現しなかったのであれば当人の問題という指摘があるとおりです。

でっち上げ事案があるから全体を問題視するのは行き過ぎであり、むしろDV案件である可能性があるものについては予防的にも面会要求を拒絶できるように制度化すべきです。
離婚後の単独親権制維持 親の子に対する懲戒制度の見直しは当然だ

 それにしてもこの離婚後の共同親権の検討を始めるとも報じられていました。
 他方で、山下法務大臣、安倍総理が何故か否定的な答弁をしています。これにはびっくりでしたが、離婚後の共同親権に弊害しかないのは明らかであり、このような制度改悪は断固として反対していかなければなりません。

 今後の喫緊の課題は、離婚後の共同親権導入を阻止すること、仮にこれが選択制であろうと同じで、導入などもってのほかです。
 この本著は、非常に考えさせられました。引き続き、この問題について考察を続けたいと思います。

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