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- 2012年04月06日 23:12
中国の軍事技術開発ペースを予測するのは難しいことなのです
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米国による中国の国産兵器開発に関するインテリジェンス(情報活動)がこれまで不十分であったことを反省しなくてはならない、というレポートが、米議会諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」から発行されました。
中国国産兵器の代表例として、元級潜水艦、衛星攻撃(ASAT)兵器、対艦弾道ミサイル(ASBM)、そしてJ-20 戦闘機が挙げられています。これらの兵器の存在はかねてから認識していたために大きな衝撃こそなかったものの、米当局やアナリストたちが想像していたよりも開発ペースが速く、その点で過小評価してしまっていた、という分析内容です。
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2004年7月に初めて確認。現在4隻稼働中。5番艦が洋上試験中で、2012年に就役の見込み。ロシア製キロ級と中国国産の宋級の特徴を併せ持ち、武装は宋級に似ている。20隻ほど建造されるという予測がある。
2007年以降、非大気依存(AIP)推進能力を付与されたという情報が取り沙汰されている。2009年には米海軍情報局(ONI)レポートと米国防総省の「中国に関する年次報告書」が元級のAIP搭載疑惑を指摘。現時点で元級にAIPが搭載されているかどうかは不明であるが、中国の造船会社がパキスタンと協力して6隻のAIP搭載潜水艦を設計・建造しており、中国のAIP設計能力を暗示している。
【情報開示・漏洩の “拒否” 】
元級の出現は情報をずっと追っていた者にとってさえ開発ペースは予想以上に早いものだった。現在も元級に関する情報は限定的。中国の政府及び軍の透明性の欠如が、元級の開発状況を正確に予測することを難しくしている。
また、確認できているわけではないが、元級の建造は完全なる地下施設で秘密裏に行われており、今後も情報は秘匿されるだろう。元級にまつわる秘密性は、「拒否と欺瞞(denial and deception)」のうちの「拒否」の例である。すなわち、国家機密に関する情報を敵国から隠す努力である。
【中国防衛産業部門の能力】
元級潜水艦に関する正確な情報分析を妨げているもう一つの要因が、90年代から2000年代初めにかけての中国の防衛産業における変化を米国が読み誤ったことである。将来予測とは過去に正確性が証明された現象の延長線上に弾き出されるものだが、80年代と90年代初頭に中国の防衛産業に目立った進歩は見られなかった。
しかし、90年代末の制度改革にともない、中国の防衛産業はパラダイムシフトを遂げたと見られる。防衛産業部門を改革しようという中国政府の政策とグローバルマーケットとが結びついて外国の製造業のノウハウが持ち込まれ、結果として中国の国産兵器製造能力が劇的に変化したのだ。この傾向は90年代にはまだ明らかになっておらず、2000年代の半ばに現れ始めた。
防衛産業部門にはまだ多くの問題があるものの、70~80年代の旧弊な官僚的構造は取り払われたと見て良いだろう。依然として政府の管理下にあるものの、構造改革と技術革新によって、近代兵器製造能力は20年前とは比べ物にならない。
◆ 衛星攻撃(ASTA)兵器システム(SC-19)
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2007年1月11日、地上から打ち上げたミサイルを人工衛星に直接体当たりさせる直接上昇方式(Direct Ascent)の衛星攻撃(ASAT)兵器試験に成功し、中国の気象衛星「FY1-C(風雲1号C)」を高度約530マイル(853km)の軌道上で破壊した。この実験で発生したスペース・デブリは、人類が単一の事例で発生させたものとしては最大である。米国をはじめ国際社会は宇宙環境への悪影響を懸念。さらに、米国の衛星システムの脆弱性への不安が高まることになった。
中国国産兵器の代表例として、元級潜水艦、衛星攻撃(ASAT)兵器、対艦弾道ミサイル(ASBM)、そしてJ-20 戦闘機が挙げられています。これらの兵器の存在はかねてから認識していたために大きな衝撃こそなかったものの、米当局やアナリストたちが想像していたよりも開発ペースが速く、その点で過小評価してしまっていた、という分析内容です。
Indigenous Weapons Development in China’s Military Modernization [PDF]◆ 039A/B/041型(元級)ディーゼル潜水艦
U.S.-China Economic and Security Review Commission Staff Research Report, April 5, 2012.
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2004年7月に初めて確認。現在4隻稼働中。5番艦が洋上試験中で、2012年に就役の見込み。ロシア製キロ級と中国国産の宋級の特徴を併せ持ち、武装は宋級に似ている。20隻ほど建造されるという予測がある。
2007年以降、非大気依存(AIP)推進能力を付与されたという情報が取り沙汰されている。2009年には米海軍情報局(ONI)レポートと米国防総省の「中国に関する年次報告書」が元級のAIP搭載疑惑を指摘。現時点で元級にAIPが搭載されているかどうかは不明であるが、中国の造船会社がパキスタンと協力して6隻のAIP搭載潜水艦を設計・建造しており、中国のAIP設計能力を暗示している。
【情報開示・漏洩の “拒否” 】
元級の出現は情報をずっと追っていた者にとってさえ開発ペースは予想以上に早いものだった。現在も元級に関する情報は限定的。中国の政府及び軍の透明性の欠如が、元級の開発状況を正確に予測することを難しくしている。
また、確認できているわけではないが、元級の建造は完全なる地下施設で秘密裏に行われており、今後も情報は秘匿されるだろう。元級にまつわる秘密性は、「拒否と欺瞞(denial and deception)」のうちの「拒否」の例である。すなわち、国家機密に関する情報を敵国から隠す努力である。
【中国防衛産業部門の能力】
元級潜水艦に関する正確な情報分析を妨げているもう一つの要因が、90年代から2000年代初めにかけての中国の防衛産業における変化を米国が読み誤ったことである。将来予測とは過去に正確性が証明された現象の延長線上に弾き出されるものだが、80年代と90年代初頭に中国の防衛産業に目立った進歩は見られなかった。
しかし、90年代末の制度改革にともない、中国の防衛産業はパラダイムシフトを遂げたと見られる。防衛産業部門を改革しようという中国政府の政策とグローバルマーケットとが結びついて外国の製造業のノウハウが持ち込まれ、結果として中国の国産兵器製造能力が劇的に変化したのだ。この傾向は90年代にはまだ明らかになっておらず、2000年代の半ばに現れ始めた。
防衛産業部門にはまだ多くの問題があるものの、70~80年代の旧弊な官僚的構造は取り払われたと見て良いだろう。依然として政府の管理下にあるものの、構造改革と技術革新によって、近代兵器製造能力は20年前とは比べ物にならない。
◆ 衛星攻撃(ASTA)兵器システム(SC-19)
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2007年1月11日、地上から打ち上げたミサイルを人工衛星に直接体当たりさせる直接上昇方式(Direct Ascent)の衛星攻撃(ASAT)兵器試験に成功し、中国の気象衛星「FY1-C(風雲1号C)」を高度約530マイル(853km)の軌道上で破壊した。この実験で発生したスペース・デブリは、人類が単一の事例で発生させたものとしては最大である。米国をはじめ国際社会は宇宙環境への悪影響を懸念。さらに、米国の衛星システムの脆弱性への不安が高まることになった。



