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人とのつながりで、薬物依存症から回復へ

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変われないことが咎となり、自ら命を絶つ人も

施設内は毎日笑いが絶えず、アットホームな雰囲気。「今日一日ベストを尽くし、今の自分に出来ることに取り組んでいます」(出原さん)

「薬物依存症の人は、真面目で考え込んでしまうタイプの方が多いのではないか」と出原さん。

「周囲から『薬に手を出す自分が悪いんや』と言われることもありますが、本人たちも薬物依存症になりたくてなっているわけではないんです。自己肯定感が低く、体や心の痛みから逃れるために薬に依存してきた人も多いです。薬を使って『使ってしまった』とさらに自己肯定感が下がり、負のスパイラルに陥る人も少なくありません」

「ダルクは全国に61箇所ありますが、関わった利用者の方が年に何人かは命を落としています。オーバードーズ(薬の過剰摂取)で亡くなる人もいますが、自分自身が変われないことが咎となって自ら命を絶つ人も多いんです」

「薬物依存からの回復=人とのつながり」

閑静な住宅街の中にある入寮施設「ネクサス3」。現在3か所に分かれている入寮施設を統合した新施設の建設を予定しているが、地元住民の反対により難航。「薬物依存症には、強い偏見や差別が残っている。当事者たちが普通に生活している様子を見てもらえたら」(出原さん)

「薬物依存からの回復」=「人とのつながりを持つこと」だと出原さんはいいます。

「孤独に追いやられれば追いやられるほど、薬が止められなくなっていく。誰も信用できず、家族に嘘をついてまで薬物に手を染めてしまう。僕自身、自分が薬を使っていた時のことを思い出すとすごく寂しい。自分も誰も信じることができないし、薬仲間も誰も僕のことを信じていないし、『こんなことがいつまで続くんや』と心の底から寂しかった」

年末には毎年餅つきを行う。「京都ダルクを卒業していった方が、ご家族と一緒に来てくれたりします」(出原さん)

「ダルクでは、一緒に回復を目指す人たちを『仲間』と呼んでいます。ここに来て同じ薬物依存症の人と出会い、話を聞いて初めて『俺と同じこと思ってる』『自分と同じや』と共感できた瞬間、『自分だけじゃなかった』とほっとして、居場所を感じることができる。ある利用者さんは、刑務所を出てここに来て、初めて『気持ちわかるわ』といわれ、それで安堵したと話してくれました。気持ちをわかってくれる仲間が周りにいること、そしてその仲間も共に回復を目指していることが大きな励みになります」

「他に行くところがなくても、ダルクはいつでも回復を目指す人を受け入れています。うまくいかなくてここを出たとしても、いつでもここに戻ってきて、人生を立て直すきっかけをつかんでほしいと願っています」

「正しく自分たちのことを知ってほしい」地域とも積極的に交流

地元で開催されたお祭りに、利用者の皆さんとボランティアとして参加。ゴミ回収を担当した

「社会の刷り込みもあり、薬物依存症は差別や偏見にさらされやすい。テレビドラマなどでも薬物依存症の人が現実とかけ離れた姿で描かれることがあり、心を痛めています」と出原さん。

「『こわい人たちなのではないか』とか『意味のわからない言動をするのではないか』と思われている方も少なくないと思います。だからこそ、身近なところで、僕たちを知って欲しい。薬物依存症の人が回復して戻っていく先は、それぞれの地域です。実際に接し、触れ合ってもらうことでしかわかってもらえないことがあると思っていて、そういった意味でも、地域の方たちと接点を持っていくことが差別や偏見を取り払う一助になると思っています」

薬物依存で苦しんでいる人へ、回復へのメッセージを伝えるチャリティーキャンペーン

チャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN」(京都)は、京都ダルクと1週間限定でキャンペーンを実施し、オリジナルのチャリティーアイテムを販売します。「JAMMIN×京都ダルク」コラボアイテムを1アイテム買うごとに700円がチャリティーされ、薬物依存症により苦しみ、病院に入院したり、拘置所や刑務所に収監されたり、更生保護施設に入寮している人たちへ、回復へのメッセージを届けるための資金になります。

「失敗や絶望の中で『変わりたい』と一歩を踏み出そうとする人を私たちはいつでも受け入れているということと『回復はできる、未来はある』ということを伝えていきたい」(出原さん)

「JAMMIN×京都ダルク」1週間限定のチャリティーアイテム。写真はベーシックTシャツ(全11色、チャリティー・税込3,400円)。他にもボーダーTシャツやキッズTシャツ、パーカー、トートバッグなどを販売中

JAMMINがデザインしたコラボデザインに描かれているのは、ツギハギの旗。たとえ破れたりほつれたりしても、また縫い合わせれば正々堂々とはためくことができる。「人生はいつでもやり直せる」、そんなメッセージを表現しました。

チャリティーアイテムの販売期間は、2月25日〜3月3日までの1週間。チャリティーアイテムは、JAMMINホームページから購入できます。JAMMINの特集ページでは、より詳しいインタビュー記事を掲載中!こちらもあわせてチェックしてみてくださいね。

薬物依存により居場所をなくした人が人とのつながりを取り戻し、依存症からの回復を目指す〜NPO法人京都DARC

山本 めぐみ(JAMMIN):
JAMMINの企画・ライティングを担当。JAMMINは「チャリティーをもっと身近に!」をテーマに、毎週NPO/NGOとコラボしたオリジナルのデザインTシャツを作って販売し、売り上げの一部をコラボ先団体へとチャリティーしている京都の小さな会社です。創業6年目を迎え、チャリティー総額は3,000万円を突破しました。

【JAMMIN】
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